プレスリリース

439号(13年3月)
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への要望を提出しました

全地婦連発第137号
2013年3月13日

内閣総理大臣
安倍 晋三 様

全国地域婦人団体連絡協議会
会長  柿沼 トミ子

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への要望

 TPP交渉は、2010年10月に菅首相(当時)が所信表明演説において、交渉への参加検討を表明し、2011年11月には野田首相(当時)が交渉参加に向けて関係国と協議に入る考えを明らかにしてきました。
 また、2013年2月の安倍首相訪米を機に、TPP交渉への参加の動きが加速しています。
 この交渉への参加の是非をめぐっては、国内を二分するといっても過言ではないほど、国民的関心を呼び、論議の的となってきましたが、これまでの経緯と様々な分野における論点が、必ずしも国民にわかりやすい形で情報開示されてきたとは言えません。
 つきましては、今後の論議を進めるうえで消費者保護の観点から、十分に配慮いただきたい分野につきまして、下記のとおり意見(要望)提出をいたします。

■医療分野について
 TPP協定交渉の21分野に医療分野はなく、直接の議論の対象とはなっていませんが、物品市場アクセスや知的財産の分野で扱うことは可能であること、これまでの米国政府の対日要求に医療の市場化に関係する事項が含まれていることから、下記の論点を注視しているところです。
  • 営利企業による医療機関の経営
  • 混合診療の全面解禁
  • 医師・医療関係者の相互認証
  • 医薬品・医療機器へのアクセス向上と特許権の強化
 とりわけ世界でも優れたセーフティネットとして評価されている国民皆保険制度の縮小・崩壊につながるのではないかと、営利企業による医療機関の経営と混合診療の全面解禁には懸念がぬぐえません。
 政府におきましては、安易に医薬品分野に関する規定を設けることには慎重に臨んでいただくよう要望します。

■農業と食品安全について
1. 農業
 TPP参加による影響について、政府(各府省)の試算が「壊滅的打撃」と「影響はわずか」という正反対の結果や不一致を出していること、TPPに関する具体的な情報が不足していることなどから、国民の間の議論を困難にしていると言えます。
 日本の農業は、担い手の減少と高齢化、耕作放棄地の増大等の問題を抱えていますが、食料の安定供給をどのように確保するかの観点、日本の農業の活力維持の観点からの十分な検討が必要です。
2. 食品安全
1) 食品安全の分野では、下記の2点については慎重な検討を要望します。
@ WTO・SPS(衛生植物検疫)協定上の権利義務の変更について
 「措置の同等」(輸出国の措置が輸入国の措置とは異なるが、同レベルの保護準達成の証明となった場合は、これを同等の措置として輸入国が認める概念)と「地域主義」(病害虫発生国であっても、病害虫発生のない清浄地域で生産されたものであればその輸入を認める概念)について、これが適用された場合には、WTO・SPS協定にしたがい個別案件毎に科学的根拠に基づく検討が困難になります。
A SPS措置について
 TPPとの調和が義務付けられた場合には、TPPよりも高い検疫上の保護水準を導入・維持できなくなり、WTO・SPS協定上の各国の権利の行使が制約を受ける恐れがあります。
2) 個別案件について
 TPP参加国から懸案の個別品目の輸入解禁や輸入条件の変更等の要請・要求のでる恐れがあります。
 遺伝子組換え食品や牛肉輸入、残留農薬基準や食品添加物の表示などの個別案件については課題が多く、拙速な結論を出すことなく日本国内の食品の安全確保に万全を払うことを要望します。
以上

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