527号(20年7月)

「男女共同参画週間」」に向けて〜いい人生は、いい時間の使い方〜

内海房子氏

独立行政法人国立女性教育会館
理事長 内海 房子


 今年の「男女共同参画週間」は、新型コロナウイルス感染の影響を受け、例年のような活動はできませんでしたが、新しい日常の中で、今できることを真剣に考え工夫を凝らした各地での取組から、男女共同参画を進めようとする力強い思いが伝わってきました。多くの人たちの共感を得たことと思います。
 この3か月余り、みなさんはどのようにお過ごしでしたか。外出できない、職場に行けないというのはとても大きなストレスでしたね。家で過ごす時間を何に使おうかと悩んだり、慣れない在宅勤務では仕事と生活のバランスを保つのに苦労したりと、今までに経験したことのない生活を余儀なくされました。
 在宅勤務を始めた最初のころは、自宅で仕事ができるのだろうかと疑問に思っていた人も多かったと思います。しかし、実際にやってみると意外に仕事の効率が上がったり、通勤時間の節約などからゆとりが出てきて、暮らしも仕事もゆったり進めることができたりします。何といっても混雑した通勤電車に乗らなくてよいのは最大のメリットですね。
 そして、最もよかったことはこれまで仕事にどっぷりつかっていた人たちも家に戻ってきたことです。こうした人たちにとって暮らしの中で仕事をするという経験は新鮮だったと思います。こんな世界もあった、と気づかせてくれたのではないでしょうか。
 先日発表された内閣府のコロナ禍における生活意識の調査によると、子育て世帯はテレワークなどで夫の働き方が変わり、家事・育児で夫の役割が増えたとの意見が31・7%ありました。
 ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が推奨され、あちこちで働き方改革の議論が進み、関連する法律も整備されつつあることはみなさんご承知の通りです。しかし、長時間残業が当たり前のような職場環境に長く身を置いて仕事をしている人たちにとっては、頭ではわかっていても、仕事が終わらないのだから仕方がない、上司が帰らないので帰りにくいなどの理由から、働き方の改善がなかなか進まないのが実態です。ここに風穴を開けることができたら、我が国は大きく変わることができるでしょう。
 「そっか。いい人生は、いい時間の使い方なんだ。」とは、今年の「男女共同参画週間」キャッチフレーズの最優秀作品に選ばれた標語です。自分の人生をかけがえのないものにしていくために、何に時間を使うのがよいのか、この機会に真剣に考えてみましょう。このコロナ禍での新しい働き方・暮らし方が私たちのいい人生、いい時間の使い方につながることを心より願っております。