526号(20年6月)

令和2年度「男女共同参画週間」にあたり(6月23〜29日)

共感する力を

有馬真喜子氏
特定非営利活動法人国連ウィメン日本協会 理事長
一般財団法人全国婦人会館 評議員
有馬真喜子


 コロナ前、コロナ後といわれるような、思いがけない大変な時代になってきました。まだ緊急事態宣言が出されている中で私はこの原稿を書いていますが、正直、この先いったいどんな時代になるのだろうと不安でいっぱいです。皆さまもきっと同じ思いでいらっしゃることと思います。
 本来でしたら今年は、あの熱気にあふれた北京会議、第4回世界女性会議から25年の、世界のすべての女性にとっての記念すべき年でした。国連でも“平等を目指す全ての世代”を掲げてパリでフォーラムの企画も。残念ながら今はそのすべてが水泡に帰しています。
 全地婦連の皆さまの中には、北京会議に参加された方も多いと思います。何しろ世界中から3万1000人、日本からも約5000人が参加し、空前絶後の大世界会議となったのですから。地方自治体もこぞって女性たちを派遣しました。そして参加した人々はその熱気、問題意識、人々の連帯の気持ちを日本に持ち帰り、そこからたくさんのことが始まりました。政府や自治体における男女共同参画推進体制の推進、女性会館の建設、女性に対する暴力防止法の制定と推進、男女雇用機会均等法の制定…。私自身について一言申し上げさせていただければ、1975年のメキシコでの第1回世界女性会議から、コペンハーゲン、ナイロビと3回の世界女性会議をメディアの一員として取材し、その後、国連女性の地位委員会日本代表を務め、北京会議には政府代表団の一員として参加しました。
 コロナ感染拡大の不安な日々の中で、私は、あの北京会議の「みんなが手を繋いで前に進もう」という気持ちをもう一度と思っています。不安を抱える中で、家庭内暴力の増加、子どもに対する暴力の増加、医療関係者などへの差別、病気にかかった方などへの人権侵害など、私たちの身の周りでは、あってはならない様々なことが起こっていると伝えられています。しかし、誰かを排除したり抹殺したりするのではなく「みんな」が手を繋ぐ以外に、私たちにはこの時代を乗り切る道はないはずです。
 こうした中で、ドイツのメルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相、台湾の蔡英文総統など、コロナから国民を守る女性リーダーの目覚ましい活躍も同時に伝えられています。この女性リーダーたちの言葉を聞いていると“日々の暮らしを営んでいる人々への共感”というような感じがひしひしと伝わってきます。その言葉を聞きながら私は、いま大切なのは「共感力」のようなものではないかと思うのです。そして私たち女性は北京で示されたように、日々の暮らしを営む中で、その共感力をたっぷり育てられてきたのではないかとも。