524号(20年4月)

民法(債権法)の120年ぶりの大改正について

顧問弁護士 菅谷貴子氏

山田・尾ア法律事務所
(全地婦連顧問弁護士)菅谷 貴子先生


 2017(平成29)年5月、「民法の一部を改正する法律」(以下、「改正民法」という)が成立し、2020年4月から施行されます。
 民法には、総則、物権、債権、親族、相続等、様々な分野がありますが、今回、施行されるのは、主に、契約等に関する基本的なルールを定める「債権法」です。債権法の分野は、現在民法が制定された1896(明治29)年から本日まで、120年もの間、改正が行われていませんでした。その結果、取引の複雑化、高齢化、情報社会の進展等、社会的・経済的変化に合っていないことや、時代に合わない部分、規定が十分でない部分が判例等によって解釈され、運用されており、分かりづらいという問題が生じ、今回の改正となりました。
 具体的な主な改正点としては
@消滅時効については、債権や業種ごとに異なる短期の時効が規定されていましたが、原則として、「知った時から5年」とする、時効期間の判断の容易化
A現在の法定利率は年5%ですが、市場の金利と乖離していることから、年3%と引き下げた上で市中の金利の動向に併せて変動する制度を導入するという法定利率に対する不公平感の是正
B連帯保証人になることによる負担の過多を是正するため、事業用融資については、経営者以外の保証人については公証人による意思確認を必要とする、また、極度額を定めない個人の根保証契約は無効とするなど、安易に保証人になることによる被害の発生防止
C約款について、定型約款を契約内容とする旨の表示があれば契約内容となるものの、相手方を一方的に害する条項は無効とし、一方的な変更についても一定の要件を求めるなど、取引の安定化や円滑化を図っています。
 その他、より分かりやすいルールとするための改正として、法律行為をするために必要な意思能力に関するルールや、賃貸借における敷金返還のルールなど身近な法律のルールも民法で明記されるようになりました。
 最後に債権法のほか、相続法の分野も配偶者居住権が認められるなど、様々な改正がありましたので、併せてご確認いただければと思います。(法務省改正概要民法(債権関係)の見直し参照)