512号(19年4月)

第57回全国消費者大会開催

誰ひとり取り残さない平和な社会のために
〜消費者の学習、対話、選択、行動の継続で〜

 3月15日、東京・四谷の主婦会館プラザエフで、第57回全国消費者大会が開催されました。今年のテーマは、「誰ひとり取り残さない平和な社会のために〜消費者の学習、対話、選択、行動の継続で〜」。4テーマの分科会と全体会で延べ335人が参加しました。

第57回全国消費者大会=四谷・プラザエフ

消費者政策分科会

つながるって大事?!
〜地域で見守るくらしの安心〜

鳥三津子さん(消費者庁)、岩田美奈子さん(一般社団法人シニア消費者見守り倶楽部)、日野勝吾さん(淑徳大学准教授)

待鳥三津子さん
 
日野勝吾さん
 高齢者の消費者トラブルが後を絶たない。被害防止や被害の早期発見・救済は喫緊の課題である。被害に遭うのは特定の人に限らない。これまでの相談例から、本人からの相談より周りで見守る方からの相談が多い。
 地域での「緩やかな見守り」に加えて、「担当者による見守り」「専門的な見守り」の連携により、未然防止と早期対応が望まれる。
 高齢者・障害者・認知症等により判断力が不十分となった人などの消費者被害を防ぐため、「消費者安全確保地域協議会」の構築が必要である。
 そのためには、地域コミュニティが大切となる。なんとなくみんな顔見知り。思いがけず面白いことが起こる。用もないのに顔を出しておきたくなる「面白い」と思える「居場所」がある。「おせっかい」や、「他人事は実は自分事」と思うことも大事。
 地域コミュニティに積極的に参画しようと思ういい機会となった。(新潟県事務局長 寺瀬千恵)

環境分科会

海の豊かさを守ろう
〜あらためてプラスチックゴミによる海洋や生態系への影響を学び、私たちができることを考えよう〜

金子浩明さん(環境省)、小島あずささん(一般社団法人JEAN)、窪田とも子さん(株式会社ラッシュジャパン)

車座ディスカッション
 皆さんは鼻にストローが刺さったウミガメが救出された映像を覚えていますか。環境分科会はプラスチックゴミがもたらす様々な影響について学びました。
 まず始めに環境省の金子さんが、ワンウェイプラスチック(使い捨てプラスチック)の排出抑制とバイオマスプラスチックの利用転換が課題であり、G20での対策と共通の目標づくりが急がれると話されました。
 続いて、海洋ごみ問題の解決に取り組んでいるJEAN事務局長の小島さんが、マイクロプラスチックは水産物へ混入しており、生態系についても深刻な問題をもたらしていると強調されました。
 最後に、ラッシュジャパンの窪田さんが、ゴミになるものは極力減らしていくという企業理念に基づく取り組みについて説明されました。
 いま、ライフスタイルを見直し、使い捨てに依存しない生活について考える時がきています。地球がプラスチックごみで埋め尽くされる前に環境について考え、少しでもごみを減らす努力を続ければ世界は変わるのではないでしょうか。(岡山県事務局長 三本智子)

食分科会

この表示信じられますか?
〜子どもにも忍び寄る健康サプリ〜

蓮尾隆子さん(家庭栄養研究会)、大道不二子さん(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)、田中誠さん(消費者庁)、野崎佳奈子さん(公益社団法人日本広告審査機構)

食分科会の皆さん
 今や錠剤、粉末型の健康食品とシリーズサプリメントの国内市場は、1兆円と言われ、今にも買いたくなるようなCMが溢れています。さらに、子供にも忍び寄る健康サプリの広告には驚くばかり。私も、疑心暗鬼になりながらもCMの術策に乗せられ、あれもこれも買ってみたくなっていた矢先、この分科会に参加する機会を得ました。
 分科会のまとめとして、@子供にサプリは必要ない。A正しい情報と知識を持ち、何となく聞いていることに見極めの目を持つ。B健康食品に薬品の効果はない。Cキャッチコピーにだまされない。体験談を聞くことで買いたくなる人が40%もいる。また、自分の弱いところに付け込んでくるCMに気を付け、一歩引いて聞くこと。D疑問に思ったことなどは、行政に伝え、取り締まりをしてもらう―など初めて聞く有意義なことばかりで、多くのことを学ぶことができ、休憩も取らずあっという間の3時間30分でした。衝動買いしそうになりながらも、踏みとどまった自分に??良かった、良かったと思い、周りの人たちにも伝えなければと思いました。(石川県事務局長 東香代子)

社会保障分科会

広がる貧困・格差、このままでよいのか??

井上伸さん(日本国家公務員労働組合連合会中央執行委員)、佐々木寛さん(新潟国際情報大学教授)

講師の井上伸さん(左)、佐々木寛さん(右)
 私は社会保障分科会に参加しました。
 まず日本国家公務員労働組合井上伸さんの講演で日本人労働者の現状を知りました。アメリカ、中国に次いで世界三番目の富裕層を持ちながら、最悪のワーキングプアー大国、上位十位の中で労働賃金が最も低いのです。子どもの貧困と若年層の非正規率は比例して高くなっています。豊かさの中の貧困の現状に驚きました。
 新潟国際情報大学佐々木寛教授の、政治による国の再分配機能を強化することにより、消費税を上げる必要がないということ、また誰ひとり取り残さない平和で幸福な社会のために、もっと消費者は学び、行動し、政治を産み出す必要があるというお話に納得できました。(鹿児島県会長 伊佐幸子)

全体会

生きている憲法のかたち
〜護憲・改憲・多様な意識〜

宍戸常寿さん(東京大学大学院教授)

宍戸常寿さん
 2018年に論議された漫画などの海賊版サイト対策問題は、私たちのくらしの中の憲法問題の一つです。
 日本国憲法の中で一番重要なのは「第13条」。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」全ての法の基本となっており、憲法自体を貫く理念です。

憲法と憲法改正について

 日本国憲法は硬性憲法であり変えるのが難しい。しかし憲法とて絶対変えられないものではない。変えるか守るかに意識が集中しがちですが、具体的な提案内容が問題です。日本国憲法はこれまで改正するのではなく、運用を変えてきました。21条から民主主義、個人の尊重、13条からプライバシー・個人情報保護、9条では戦争の放棄をしながら自衛隊を持つこともしている。私たちの生活は、憲法の枠内で生きています。
 基本的人権、立憲主義、国民主権が憲法に示されています。政治を預かる者は、国民に対してきちんと説明する義務があります。憲法論議が有意義なものとなる条件として、@憲法を改正する・しないことを自己目的化しないこと。A「立憲主義」を維持しそれを発展させること。憲法の本来の役割を正しく踏まえ、時間の中で適切な対象を選ぶこと。B何を具体的に確認・変更するのかを明らかにし、幅広い観点から論議を尽くす。
 憲法改正というと「9条」改正で論議されることが多く、上の世代は護憲派が多い。「改正したい人」は9条の条文が変わらないとダメなのか、「変えたくない人」は、条文が変わらなければいいのか。仮に憲法を改正したら実施するためにどのような法令が必要なのかを論議する。
 国民投票で、自分が何について賛成しているのか、何について反対しているのかを明らかにする必要があると結びました。

→消費者問題・経済生活