511号(19年3月)

実務者向け研修講座「消費税率10%に上昇 実務はどう変わる?」(全国婦人会館)

 2月13日、一般財団法人全国婦人会館の公益事業の一つである実務者向け研修講座が開催されました。秋の消費税増税を目前に、全国の会長や事務局などから28人が参加しました。講師は、税理士法人日本タックスサービス(加藤一郎代表)の税理士松宇和江さんです。
講師の松宇和江さん(右)と加藤一郎代表

 まず、基本的な消費税の仕組みについてです。
 消費税は平成元年4月から導入されましたが、「消費という行為に対して課される税金」です。納税義務者は、すべての法人と事業をしている個人で、基準期間の課税売上高が1000万円以下は免税事業者ですが、1000万円を超えると課税事業者となります。
 課税期間は消費税の計算期間を指し、通常、個人であれば1月1日〜12月31日、法人であれば事業年度です。基準期間は、納税義務の判定の基準となる期間を指し、原則として個人事業者であれば前々年(2年前)、法人であれば前々事業年度(2期前)を指します。
 生産・流通の段階で、二重に課税されないよう、課税売上に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除します。納付する消費税は、原則として「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引くことで計算されます。全ての事業者がこの計算方法により計算した消費税を納めることで、納める消費税の合計は消費者が支払った消費税の額と一致する仕組みになっています。
 下図を参考にハンドバッグを購入するまでの流れを例に教えていただきました。また、取引における、課税・非課税・不課税について学び、例題に沿って判定をしました。
 続いて、10月から実施される消費税増税に伴う導入スケジュール、軽減税率について学びました。

軽減税率ってなに?

【消費税の負担と納付の流れ 国税庁のHPより


 軽減税率制度は消費税引き上げと同時の今年10月1日から実施されます。標準課税は10%、軽減税率は8%のままですが、現在の消費税8%とはその内訳である国税と地方税の割合が変わります。軽減税率の対象品目は、酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行される、定期購読契約に基づく新聞です。
 外食やケータリング等は軽減税率の対象とならず、テイクアウトや飲食料品の出前・宅配等は対象となります。「外食」か「テイクアウト」かは、飲食料品を提供する時点で、事業者が顧客に意思確認を行います。すなわち、軽減税率が適用されるかどうかの判定は事業者が取引を行う時点で決まります。
 軽減税率制度は、軽減税率の対象品目を取扱う事業者の方だけでなく、消費税の申告の必要がない免税事業者を含め、すべての事業者の方に関係のある制度です。飲食料品の取り扱い(販売)がない事業者についても、消費税の軽減税率制度実施後は「区分経理」が必要になります。現行の記載事項に加え、売上・仕入(経費)を税率ごとに区別して帳簿に記載しなければなりません。
 軽減税率制度実施後の仕入税額控除の方式は、2023年10月から「帳簿」と「適格請求書等」の保存が要件となる適格請求書等保存方式となりますが、2019年10月から2023年9月までの間は、これまでの記載事項に税率ごとの区分を追加した帳簿や請求書等(区分記載請求書等)の保存が要件となる区分記載請求書等保存方式となります。
 免税事業者は、自身の消費税申告は必要ないため、仕入税額控除を行うことはありませんが、課税事業者との取引に際しては、課税事業者が仕入税額控除を行うための、区分記載請求書等の交付などの対応が必要になる場合があります。
 慣れるまでは大変かもしれませんが、国税庁のホームページや、税理士に確認しながら進めていきましょう。

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