504号(18年8月)

第49回北方領土復帰促進婦人・青年交流集会

 7月14日はあいにくの空模様で、納沙布岬から北方領土を望むことはできませんでしたが、根室市の北海道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)で北方領土復帰促進婦人・青年交流集会が開催され、全地婦連から67人、日本青年団協議会からは20人が参加しました。
岩田繁子会長
 集会は岩田繁子全地婦連会長の主催者代表あいさつで開会、来賓の東田俊和北海道北方領土対策根室地域本部副本部長と長谷川俊輔根室市長が紹介されました。
 長谷川市長には、納沙布岬の北方領土返還記念シンボル像「四島のかけ橋」下の「祈りの火」への募金を手渡しました。



【基調講演】北方領土の今を知る

独立行政法人北方領土問題対策協会
理事 渡邉修介さん

渡邉修介さん

 北方四島を実際に行政管轄しているのはサハリンで、モスクワやウラジオストクに比べ領土問題に対して強硬な姿勢です。サハリンの世論が変わればロシアの世論も変わると考えます。以前は石ころ一つ返さないという厳しい姿勢だったソ連でしたが、ペレストロイカを経て、ゴルバチョフが登場してから状況が変わり、現在では明らかに北方領土問題は前進しているといえます。
 北方領土は日本固有の領土です。固有の領土とは、いまだかつて一度も外国の領土になったことがない、昔から日本の領土ということです。
 人類は、一度奪われた領土を腕力(戦争)によって奪い返すという歴史を繰り返してきました。平和的話し合いで返還を求めることはこれまでの歴史にはなかったことですが、軍事力に勝るロシアに対し、日本が腕力によって北方領土を取り戻すことは不可能です。
歯舞漁協の見学
納沙布岬の「希望の道」
 まったく価値観の違うロシアとの交渉は非常に難しいことですが、ソ連の崩壊、現在ではアメリカと北朝鮮の急接近など想定外といえる国際情勢、また、東日本大震災のような想定外の自然災害と比較し、北方領土問題のハードルは低いと考えます。
 ロシアに対し、初めから四島返還を求めると、交渉は途端にストップしてしまいます。そこでまずは、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、という基本方針が取られます。
 北方領土における経済活動の5つの優先的プロジェクト@海産物の養殖A野菜の温室栽培B観光促進C風力発電Dごみ処理問題によって、四島の住民の生活向上や根室の地域経済の発展にもつながってほしいと願っています。
 プーチン大統領が、ロシアの生き残りのためには日本との新しい協力関係が必要であると考え、そのためには日本に北方領土を返さざるを得ないという状況が必要です。ロシアの事情を観察し、分析する必要があります。
 ロシアの特産品は石油と天然ガスしかないため、日本がロシアを必要とするより、ロシアが日本を必要とする度合いが高いのです。国境の中国をけん制するために、助けてくれるのは日本しかありません。日本の方が有利なのです。
 外交交渉でやってはいけないことは、焦ることです。焦って足元を見られてはいけません。ロシアの国内事情をよく観察し、タイミングを見て勝負をかけることが重要で、冷静に粘り強く交渉を続けていくことが大切です。


北方領土復帰促進婦人・青年交流集会に参加して

佐賀県会長 三苫紀美子

 これまで数回この集会に参加させてもらったが、ワーキングディナーでの内容も少し密度の濃さを図っていくべきではないかと感じたのは私だけだったろうか。せっかく若き青年たちが全国から集まって返還運動を受け継ぎ、盛り上げてくれる原動力だと思うが、内容的にはどうだろうか。
 戦後日本政府は、北方領土返還をロシアに要求し続けたにもかかわらず、進展のないまま現在に至っている。当時、四島全体の約1万7000人の日本人のうち、自力で脱出した半数以外の人々が強制退去させられ、今はわずかになった元島民の高齢の方が返還を待ち望んでおられる。
 以前、北方四島ビザなし交流に団長として参加させていただいた折、交流の場で隣にいた地区長に高齢の元島民の方を紹介し、「あの方たちに故郷を返してほしい」と訴えたが、「私もここが生まれ育った故郷だよ」「では、共有の故郷として自由に母国への墓参ができるよう考えてほしい」と願ったことを今、思い出している。その後、地区長の前向きな発言があったと聞き、喜んだものだった。
 ビザなし交流では毎回、茶道、現地の方への着付けショー、着物のプレゼントなどで日本の印象を強くしてきた。問題解決は一日も早い返還の実現にあるが、それには今の政府の動きでは、永遠に運動として続くだけなのでは?いつでも母国に墓参できる共有の故郷として、条約の締結こそが真の平和といえるのではないだろうかと期待している。
 今回一緒に参加した沖縄県の仲西郁代会長が帰宅されてお亡くなりになったことが、何よりの悲しみであった。ご冥福をお祈りしたい。

→北方領土問題