503号(18年7月)

消費者団体との意見交換会(食品安全委員会)「トランス脂肪酸を理解するために」

 内閣府食品安全委員会では、リスクコミュニケーションの一貫として関係者相互の幅広い情報共有や意見交換の場を設け、消費者団体、事業者や報道関係者等と定期的に意見交換会を実施しています。

【テーマ】トランス脂肪酸を理解するために

食品安全委員会のホームページから

 6月8日に開催された意見交換会は、「脂質の摂取〜トランス脂肪酸を理解するために」と題して、食品安全委員会委員の山添康さんから、脂質性質と吸収について、トランス脂肪酸についてなどの最新情報をうかがいました。
 以下は、その要旨です。

 脂質は三大栄養素の一つであり、また体に必要なビタミンAやビタミンDの吸収を助ける促進剤的な役割をもっています。その一方で、体の外へ出るのに時間がかかり、脂肪組織・副腎等へ蓄積するなど、体のどこかに留まることが多くなります。トランス脂肪酸は、水素を添加することで液体から固体・半固体にする処理(部分水素添加油脂)により作られた油脂のことです。
 トランス脂肪酸の中にはヒトの体の中でエネルギー変換しやすいものと変換しにくいものがあり、諸外国における研究結果によればトランス脂肪酸の摂取により、心筋梗塞、狭心症等の冠動脈疾患症、肥満・高脂血症・高血圧のリスクが高まる可能性があります。
 WHO世界保健機関は、勧告(目標)基準としてトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の比1%未満としています。食品事業者の低減対策取り組みの結果、欧米諸外国でも高かった数値が、目標値の1%付近まで下がっています。また、日本人の平均摂取量はこれを下回っており、0・31%です。通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられます。
 国内の食品中のトランス脂肪酸、脂質の濃度調査結果をみても、トランス脂肪酸の濃度は低い傾向で、中でもマーガリン、ショートニングは激減しています。しかし、日本人の飽和脂肪酸の摂取量をみると、目標値(厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準で、成人の摂取エネルギーに占める割合として7%以下)を超える年齢層もあることから、留意が必要です。脂質は重要な栄養素のひとつでもあるので、トランス脂肪酸だけでなく、脂質の過剰摂取を避け、バランスの良い食生活を心掛けることが大切と考えます。

→環境・食生活