502号(18年6月)

消費者保護基本法制定50年

21世紀型消費者政策の成果と残された課題

シンポジウム

 1968(昭和43)年5月に消費者保護基本法が制定されてから50年を迎えました。この間の消費者行政の変遷を振り返りながら、2003年に報告された「21世紀型消費者政策の在り方」の成果と残された課題について考えるシンポジウムが、全国消費者団体連絡会の主催で5月17日、東京・四谷の主婦会館プラザエフで開催されました。講師は国民生活センター理事長の松本恒雄さんです。

講師の松本恒雄さん

 消費者問題の歴史を振り返ると、1948年には不良マッチ追放運動がありました。生活に必要なものが、最低限のレベルを満たしてくれればよいという時代でした。健康被害につながる食品問題や薬害は、現在では企業の責任が明確になりますが、当時は単に「公害」と呼ばれました。
 60年代、ニセ牛缶事件がきっかけとなり、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」が制定されました。表示は最も消費者に身近な問題であり、それに対する行政の対応も早いものでした。
 70年代は天下一家の会(ネズミ講)など、お金絡みの事件が増え、後追い的に法律ができていました。
 しかし、問題が起こった後に法規制するやり方では不十分であることから、被害を受けた消費者が自ら救済を求める権利を与える民事立法として、94年に製造物責任法(PL法)が制定されました。契約に関しては、消費者契約法(00年)、食品の分野では、01年のBSE問題をきっかけに、食品安全基本法(03年)ができました。
 こうした歴史を踏まえ、国民生活審議会消費者政策部会が取りまとめた「21世紀型消費者政策の在り方について」(2003年5月)。この報告を受け、消費者の権利を位置づける方向で消費者保護基本法の見直しが始まり、「消費者の権利」を明記した消費者基本法の制定(消費者保護基本法改正)、公益通報者保護制度や消費者団体訴訟制度などが実現しました。
 消費者庁が発足し一定の権限は移譲されましたが全てではなく、省庁間の調整の難しさもあります。また、当時では思いもよらない速度でネット社会、グローバル化が進んでいます。現在のネット販売における消費者被害では、サイトの運営者、代理店、販売店などが複雑に絡み、自分はいったい誰と契約をしているのか分からない契約や、海外の店舗ともなると日本の法律が適用されるのか、などの問題も発生しています。大きな時代の変化の中で、ルールのあり方、官民の役割分担、法の執行など、これからも議論されていきます。

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