500号(18年4月)

第56回全国消費者大会開催

地域から発信、全国で共同〜消費者の対話、選択、行動が未来を変える〜

 3月16・17日、東京・四谷の主婦会館プラザエフで、第56回全国消費者大会が開催されました。毎年3月15日の世界消費者権利の日の前後に開かれますが、今年度のテーマは「地域から発信、全国で共同〜消費者の対話、選択、行動が未来を変える〜」。2日間で延べ445人が参加しました

第56回全国消費者大会=四谷・プラザエフ

被災から7年福島・宮城の報告も

 特別分科会では福島県生協連の佐藤一夫さんとみやぎ生協の千葉淳子さんが、東日本大震災被災地の現況報告をしました。また、弁護士の太田伊早子さんは講演「改憲でくらしはどうなる?」で、民主党政権時の2012年に、自民党が発表した憲法改正草案を分かりやすく解説されました。
 以下は、全地婦連の参加者の報告です。

消費者政策分科会

 ネット取引の「落とし穴」〜アクティブシニアも若者もトラブルにまきこまれないために〜
 福井晶喜さん(独立行政法人国民生活センター)、原田由里さん(一般社団法人ECネットワーク)、池本誠司さん(弁護士)

 ネット取引の「落とし穴」と題し、トラブルに巻き込まれないためにはどうしたらよいかが主要なテーマでした。
 福井さんより最近のネット取引のトラブル事例が紹介され、スマートフォンなどの普及によって高齢者の被害が増加している現状を知り、体がザワザワしました。
 原田さんのお話では、新しいサービスが次々出てくるネット社会の中で、積極的な情報収集(世の中のことを「きちんと」知ろう)と、ネットリテラシー(使いこなす能力)の向上が必要と痛感しました。
 池本弁護士は、消費者を守るための法律面の知識を紹介されましたが、トラブルに巻き込まれたら、消費生活センターへともかく相談に行くことが一番大事と思いました。
 トラブルを防ぐためには、私たち自身の情報収集能力向上とともに、公正なデジタル市場の確立を切に願います。
 冒頭、実行委員の皆さんにより上演された寸劇は、スマホデビューをしたばかりのアクティブシニアが巻き込まれたネット通販の定期購入トラブル事例で、大変分かりやすく楽しいものでした。(千葉県事務局 吉田良子)

環境分科会

 持続可能な地域環境づくりの目標に向けて〜SDGSから考える〜
 福井陽一さん(環境省)、百瀬紀子さん(ユニー株式会社)、高橋巧一さん(株式会社日本エコロジーセンター)

 持続可能な地域環境づくりの目標に向けて、SDGSから考える、このような素晴らしい目的を掲げて、環境分科会は開催されました。
 100年後に安心・安全な美しく豊かな地球を子どもたちに残しておいてあげるには、今をスタートにして、何から始めればいいのでしょうか。
 私たちの脳裏に浮かぶのは、まず、世界中の食べるものがなく、3歳にも満たないうちに命を落としてしまう子どもたちを救うこと。豊かな私たちの国の食品ロスをなくし、そういう国の子どもたちが餓えて命をなくすことがないように、熱い心を持ち、賢いシステムを考えていかなければならない。
 空気も水も一生物としての私たち人間が健康に生きていくために、また、動物や植物にとっても重要なものである。
 100年後の子どもたちが健全に生き続けていくためには、あらゆる政府、経済界、研究者、団体一人ひとりの消費者がすぐにできることを始めなければならない。(鹿児島県会長 伊佐幸子)

食分科会

 食べることから見えるエシカル〜カフェで語ろう〜
 柿野成美さん(公益財団法人消費者教育支援センター)、吉澤真満子さん(NPO法人APLA)、松本英明さん(日本生活協同組合連合会)

 初めて消費者大会へ参加し、分科会のテーマ「エシカル」とは何なのか、期待をもって臨みました。
 エシカルは倫理的な、とか道徳上の、という意味で、「エシカル消費」は地域や環境、社会や人びとに配慮してものやサービスを利用する消費のあり方のことです。
 事例として、「チョコレートを選ぶときに何を基準に選びますか」と聞かれ、当然私は安くておいしいもの、と考えましたが、安い価格の背景には原産国の子どもたちの不当な労働があると話されました。発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の持続的な生活の向上を支える仕組み「フェアトレード」を知りました。
 グループ討議では、私たちがすでに実施している「エシカル消費」にどのようなものがあるか話し合い、地産地消、ゴミを少なくする、エコバッグの利用、ものを大切にする、3Rなどが挙げられました。これらの行動は「もったいない」や「おもいやり」の心遣いだと思いました。
 毎日の消費生活の中で、できる範囲でよりよい選択をすることの大切さを学びました。(広島県会長 佐藤浩子)

雇用・貧困・社会保障分科会

 女性・若者の働き方と貧困〜社会保障と税のあり方を考える〜
 竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学教授)

 ”嫁福祉”の突破が貧困を解決する!と題した講演で竹信さんは、嫁福祉とは、「世帯主の男性が家族を扶養できるという無意識の前提のもとに、女性など被扶養を無意識の前提にした人々に無償ないし経済的自立が難しい労働条件でケア(福祉)を担わせること」と定義され、日本社会は「嫁福祉」に依拠してきたとしました。
 保育や介護といった家事的な労働の賃金がなぜあんなにも安いのか。これまで保育・介護は家庭で妻が担い、タダ働きが当たり前だったことが根強く、カネにならなくて構わないという家事蔑視が背景にあります。
 現代の嫁は、自身が介護を担うことをはっきり断るようになりました。外部に引き受ける器がないため、家の中に働かなくていい人を置き、子や孫が面倒を見る。親の経済力を前提とした若者介護の結果、ついに就職できず、若者の貧困、最終的には厄介者扱いとなってしまうと話されました。
 グループディスカッションでは、誰もが納税者になれる社会の仕組みをつくる、女性一人でも子どもが育てられる働き方と産業づくりが必要、問題化して行動できる組織が必要、組織化して政策に影響を、といった意見が出されました。

全体会

 講演「都内の消費者団体交流会から見えてきたこと」
 釜井英法さん(弁護士)

 講演に先立ち、初日に行われた特別分科会を含む5分科会の報告があり、消費者団体が幅広い分野で活動をしていることに気づかされました。
 日弁連消費者問題対策委員会委員である釜井さんは、弁護士になって30年、最初から取り組んできたテーマは「多重債務」。サラ金、クレジット業者の3K(過酷な取り立て、高金利、過剰与信)をなくすための法改正運動に取り組んできた過程で、市民、消費者の側から動きを作っていく必要があるのではないかとの疑問から、都内の消費者団体と交流。地方の消費者行政を充実させて、被害を防ぐ社会、自分たちの町をつくる運動が必要ではないか。動くのは弁護士、司法書士等の専門家ではなく、パワーある消費者団体ではないか、と話されました。
 1960から70年代の不買運動、告発、訴訟型運動で中心となった地域型の消費者団体ですが、70年代に30歳代だった方が現代も活動されている。高齢化によりこれ以上の負担、手を広げられない、消費者団体を地域から変えていくには諸団体と連携、それには自分たちが元気になり、共同の輪を広げ、継続することで人と人の輪が広がり、その中で知識、経験を活かせるのではないでしょうか。
 これらは婦人会活動も同じ課題であり、消費者団体の悩みは婦人団体の悩みでもあると、全体会を通して感じました。
 1962年3月15日、米国のケネディ大統領によって「世界消費者権利の日」が明確化されたことを記念し、毎年この時期に開催されている全国消費者大会に参加し、地域が安全で安心して暮らせるための消費者活動を、これからも続けたいと思います。(青森県副会長 外崎れい子)

→消費者問題・経済生活