498号(18年2月)

ブックカフェ 電気通信・放送サービスと法(全国婦人会館)

齋藤雅弘さん

著者=弁護士・齋藤雅弘さん

 一般財団法人全国婦人会館の公益事業である「ブックカフェ」が1月30日に開催され、17人が参加しました。

 これがどこだかわかりますか?と、建物の上空に浮かぶ満天の星、スクリーンに映るパソコンのデスクトップの画像を指し、冒頭、齋藤先生は私たちに尋ねました。
 その建物は、東日本大震災で津波の被害を受けた宮城県石巻市立大川小学校でした。齋藤先生は、大川小学校生徒の遺族が起こした訴訟の原告代理人を務めています。
ブックカフェ=全国婦人会館
 控訴審判決を4月に控え、裁判と並行しながら、今回の本の執筆と、とても大変な日々だったというお話から始まりました。
 電気通信や放送は、携帯電話や光回線・有線放送など日常生活の中で誰もが当たり前のように利用しているサービスです。一方、そのサービスは技術的にも契約・取引条件の面でもとても複雑で専門性が高く、私たち消費者が正確に理解し、十分に納得して取引しているとはいえず、それゆえにトラブルが絶えません。
 齋藤先生は、電気通信サービス関係の各種委員会やワーキンググループの委員を務められ、本書は、消費者保護の観点から電気通信サービスと放送サービスの法制度を中心に、現状と問題点、考え方を分かりやすく解説しています。
 この分野はそもそも、お客さまや消費者といったユーザーを意識した法制度ではなく、「使わせてあげる」という国の発想で、NTTが民営化されるまで、「契約」という観念はなかったという歴史的背景があります。
 携帯電話の総回線は現在1億3000万回線ですが、そのうち新規と乗換は600万回線で総回線の5%。大手3社で最盛期に使われていたという販売奨励金約2兆円は、5%の人ために95%の人が負担している大数の法則といえ、携帯電話はいびつな市場を背景に、顧客の囲い込みが行われていると話されました。
 海外では、契約会社を変えても携帯電話本体を買い替える必要はありません。日本では一定期間の解約制限があったり、期前解約では違約金が必要であったり、セット販売が行われていたりと複雑な契約形態となっています。
 携帯電話の契約や乗換時に、3〜4時間かかったという話を聞くことがありますが、消費者保護のルールにより、販売時にさまざまな説明義務が課せられていることが挙げられます。
 契約時には、分かったつもりで「はい、はい」と聞いていましたが、私たち消費者のためのルール。特定商取引法、景品表示法、割賦販売法、消費者契約法など、さまざまな法律によって守られていることを学びました。

→研修・講座
→消費者問題・経済生活