496号(17年12月)

2017年度 全地婦連幹部研修会

全国から100人が参集

2017年度 全地婦連幹部研修会

 2017年度幹部研修会が11月21日、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、100人余が参集しました。今回は、「北方領土問題」「加工食品の原料原産地表示について」を学び、消費者被害防止寸劇コンクールで最優秀賞を受けた石川県金沢市校下婦人会連絡協議会の寸劇も披露されました。22日には、理事会に先立ち、文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長の中野理美さんが、文部科学省の組織改編について説明されました。

安全保障からみた北方領土問題
 防衛省防衛研究所地域研究部長 兵頭慎治さん

兵頭慎治さん

講演要旨

 昨年12月にプーチン大統領が訪日し、領土問題に大きな進展があるのではないかと期待されましたが、結果は目に見える進展はないように思われました。では、領土問題は足踏み、後退しているのでしょうか。
 11月10日には、20回目の日露首脳会談が行われました。これは他国では例がなく、安倍首相とプーチン大統領の個人的信頼関係が確立されていることを意味します。この会談は、全体会合50分、テタテと呼ばれる通訳のみが同席する会談が15分行われ、外務省の正式なプレスリリースに、「このテタテ会談では、平和条約締結問題について相当突っ込んだやり取りが行われました」と記載されました。
 ロシアは個人的な信頼関係を重要視します。10月に行われた衆議院選挙は与党の圧勝に終わりました。私たちはこれまでと何も変わらないように思いますが、信頼関係を維持し、交渉を前進させるために大変意味のあるものといえます。
 これからの日露間の領土交渉は、「経済協力」から「安全保障」の観点で議論を重ねていくことが重要です。日本がロシアを重要視する背景には、北朝鮮による核・ミサイルの脅威、中国の海洋進出、米国の相対的な影響力低下といった厳しさを増す東アジアの安全保障環境があります。
 一方ロシアは14年のウクライナ危機以降、欧米との関係悪化で、必要以上に中国傾斜を余儀なくされました。そこでロシアは中国の軍門に降らないためにも、インドやベトナム、そして日本との関係強化を図りながら、戦略的なバランスをとる必要に迫られています。
 北方領土問題は日本とロシアだけの問題ではないことは明らかで、プーチン大統領も「日本が同盟国のアメリカに対して安全保障上負っている義務が、交渉にどのような影響を及ぼすのか見極めなくてはならない」と発言しています。
 ロシア近隣の領土問題は解決が進み、残るは対日本の北方領土問題だけとなっています。日本のマスコミは会談内容をスクープしたがり、国民も状況を逐一知りたくなりますが、ロシアの交渉は個人的な信頼関係のもと水面下で行われ、情報が表に出ることをとても嫌います。
 具体的な成果が見えないからといって、何も進んでいないわけではありません。昨年のプーチン訪日では関心と期待が尻つぼみになってしまいましたが、両国の安定政権のもと、本格的な政治交渉は来年のプーチン大統領再選・就任後のこれからが勝負といえるでしょう。
 ロシアは北方領土問題に対する日本の世論がいかなるものかよく見ています。外交交渉を支える運動を盛り上げていきましょう。

三苫紀美子佐賀県会長

ビザなし交流の参加報告
 三苫紀美子佐賀県会長

 続いて三苫紀美子常任理事(佐賀県会長)から、7月に参加したビザなし交流の報告がありました。
 「元島民の気持ちを忘れてはいけない。見たこと聞いたこと感じたことを広く皆さんに伝えていきたい。各県でも一層がんばりましょう」と結びました。

加工食品の原料原産地表示について
 消費者庁食品表示企画課長 赤崎暢彦さん

赤崎暢彦さん

講演要旨

 「原料原産地表示」制度は、これまで干物など比較的加工度の低い加工食品に限定して実施されてきました。しかし、2017年9月から、国内で作られた加工食品全てが対象となり、新しい制度が始まりました。
 表示する必要がある原材料が生鮮食品の場合はその産地が、加工食品の場合はその製造地が表示されます。22年3月までは食品メーカー等が準備をする経過措置期間とし、準備ができた商品から順次表示されます。この制度の意義は、消費者の選択のために尽きます。完全施行までに正しく理解を深め、せっかく作った制度を活用していきましょう。
 原料原産地が表示される食品とは、スーパーなどで販売されている国内で作られた全ての加工食品に、一番多く使用されている原材料の原産地が表示されます。レストラン等の外食やお店で調理された惣菜など、作ったその場で販売される食品は、原材料の原産地をお店の人に確認することができるため、この制度の対象とはなりません。
 輸入した加工食品には、原材料の産地を表示する義務はありません。従来からその商品がどこの国から輸入されたものかを示す「原産国名」が表示されています。
 加工食品は、原材料が1種類というのはまれです。原料原産地表示の対象原材料の原産地が複数ある場合、商品の顔ともいうべき代表的な原材料から原則として多い順に国名を表示します。
 原料の原産地が複数あって国別の重量順位が変動する場合、「A国またはB国」といった表示も認められています。海外はよりコストにシビアで、価格によって取り扱う原料の原産国が日によって、月によって変わることがあり、国別重量順で表示すると、頻繁な包材の切り替えが必要となり食品メーカーの対応が難しいこと、また、大量の資材を無駄にしないため、このような表示が認められました。
 「輸入」の表示は、3つ以上の外国の産地のものを使用し、かつ、その外国の産地の重量順位に変動が見込まれる場合などで、産地変動に伴うラベルの改版が困難な場合に認められます。「輸入」と表示されている場合、国産の原材料は使われていません。
 原材料が加工食品の場合は、その製造地が「国内製造」、「C国製造」等と表示されます。「C国製造」と表示されていた場合、作られた国を意味しており、産地とは必ずしも一致しません。
 一例としてチョコレートケーキを挙げると、「原材料名=チョコレート(ベルギー製造)」とある場合、チョコレートがベルギーで作られたことを意味しますが、ベルギー産のカカオ豆を使用しているという意味ではありません。
 制度として最低限必要な情報を容器包装に表示し、さらにホームページ等で情報提供する事業者もあります。誠実な情報提供は商品や事業者選択の一助になるでしょう。
 この表示制度の周知徹底を図るため、消費者庁では全地婦連にも協力をお願いし、全国各地でセミナーを実施したいと思っています。

消費者被害防止の寸劇を披露
石川県金沢市校下婦人会

「悪質な住宅リフォーム工事」を熱演

 先に行われた「消費者被害防止寸劇コンテスト」で、最優秀賞に輝いた石川県金沢市校下婦人会連絡協議会経済委員会の皆さんによる「悪質な住宅リフォーム工事」の実演が行われました。
 きっかけは石川県警からの要請により、2011年からオレオレ詐欺防止の寸劇に取り組み始めたという同団体ですが、北陸新幹線が開業してからは上京型詐欺防止の一環としての出前講座など、年間15〜16回行っているとのことで、さすがの熱演でした。

若い担い手を育ててください

 コンテスト審査員の公益財団法人消費者教育支援センター総括主任研究員の中川壮一さんから、次のような実演およびコンテストの講評をいただきました。
 消費者教育啓発活動の担い手は女性が多いのですが、男性、特に若い方の参加が望まれます。詐欺がなくなることはもちろん大切ですが、若い担い手を育てることも大切です。地域の消費生活センターや社会福祉協議会など、見守りを含めた連携が有効です。
 人前に出て演技をするのは恥ずかしいという人は、小道具の作成や絵を描くなどで演者を支えることもできます。シナリオ作りでは騙されたパターン、見守りの人が発見したパターンなど、起承転結、真面目なばかりでなくオチも含めたシナリオを作ってみてください。替え歌はとても盛り上ります。
 消費者被害は減っていないのが実情です。関心を持ってもらうこと、情報を届けることが大切です。

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