495号(17年11月)

第65回全国地域婦人団体研究大会(島根県)

松江市に1500人余が参集

第65回全国地域婦人団体研究大会=島根県松江市 島根県会長
田儀セツ子
全地婦連会長
柿沼トミ子

 10月26・27日に、全国地域婦人団体研究大会が島根県松江市で開催されました。テーマは「温故知新歴史に学び今を見つめて文化のまつり〜一人ひとりが学んで気づき行動を変え実践できる社会づくり〜」。会場の島根県民会館には全国から1500人余が参集しました。

 大会は島根第九男声合唱団の歓迎セレモニーで幕を開けました。特別講演はNPO法人出雲学研究所藤岡大拙理事長の「出雲の魅力」、続いて分科会とフィールドワーク(歴史探訪)、夜はホテル一畑で、懇親会が開かれました。
 2日目の全体会は、育英幼稚園と育英北幼稚園年長児の愛らしいマーチングバンドの登場で開会しました。分科会報告に続き、開会行事では、柿沼トミ子全地婦連会長、田儀セツ子島根県連合婦人会長が主催者あいさつを行いました。
 来賓の内閣府渡邉清大臣官房審議官、文部科学省生涯学習政策局中野理美男女共同参画学習課長、厚生労働省雇用環境・均等局堀井奈津子雇用機会均等課長、溝口善兵衛島根県知事から祝辞をいただきました。

 記念講演は中村俊郎さんの「空想の翼で駆けて」。中村さんは義肢装具士で中村ブレイス株式会社代表取締役です。
 アトラクションでは都治神楽社中の石見神楽「大蛇(おろち)」が披露されました。須佐之男命が櫛稲田姫を八岐大蛇から救う勇壮な神楽でした。
 「宣言」「決議」を採択後、次期開催県の岐阜県地域女性団体協議会が「岐阜へおんさい(いらっしゃい)」と呼びかけ、閉会しました。
 ※「決議」は4面に掲載します。

分科会

第1分科会

 環境問題 楽しみながらできる省エネ「足し算の省エネ」

 講師:島根県環境政策課小池誠さん/寸劇・実践発表:島根県環境政策課・島根県連合婦人会

 これまでの省エネは、「省く、やめる、下げる」といった我慢やマイナスのイメージでしたが、島根県連合婦人会は県と連携して、生活を楽しみながら「加える、始める、上げる」をイメージし、楽しくて盛り上がる「足し算の省エネ」の普及啓発に取り組んでいます。
 県環境政策課職員が「省エネ伝道師スマートライフマン」に扮した寸劇で、楽しみながらできる省エネを紹介、また、地域ぐるみの取り組みを江津市波積地区婦人会が演じ、紹介しました。
 今年で3年目を迎えた足し算の省エネは、県民の約1%に当たる7000人もの市民が具体的に取り組み、電気の使用量が前年比3%以上も削減されたと報告されました。長年にわたり、地域に根ざした婦人会だからこそできる取り組みだとあらためて認識しました。

第2分科会

 女性の活躍 食卓には地球を変える力がある〜婦人会だからできるんです〜

 講師:出雲地域婦人会会長(正食料理研究家)浅津知子さん

 世界に誇る日本の伝統食が失われつつありますが、その土地でとれる旬のものを食べ、その環境に適した体を作りましょう。野菜の皮、ネギのひげ根、ゴボウの灰汁も捨てずにうまく料理すれば、旨味にも栄養にもなり、生ゴミも減ります。
 化学物質をなるべく摂らず、自然な穀物や野菜、無添加の加工品、天然醸造のしょうゆ、味噌、自然塩を使用しましょう。全国の婦人会員の食卓が変われば、「食」だけでなく「環境」も変わり、日本どころか地球を変えることもできます。「食卓」を見直しましょう。
 10月25日、講師の浅津知子さんの著書『ようこそ!夢の食卓。』が、ふるさと自費出版大賞優秀賞を受賞されました。

第3分科会

 人づくり 婦人会どうする次期会長

 講師:島根県教育庁岩本悠さん

 婦人会員が全国的に減少傾向にある現在、「人づくり」をテーマに、ワークショップ形式でグループ討議を行いました。
 「婦人会長のやりがいって何?」「よい婦人会長はどんな人?」「どうしたらよい婦人会長をつくっていけるか」に対し、(1)視野が広がる(2)自分たちが選んだ会長なので助け合う(3)会長はあらゆる場もうまくまとめる力を持った人(4)グーッと我慢ができる人(5)勇気ある行動をとれる人(6)公共団体からの補助金を残さず使いこなす人(7)お金と暇がなければできないなど、意見が出ました。
 岩本さんは、よい会長とは(1)確たるビジョンを持っている人(ブレない問題意識を持っている)(2)チーム作り、仲間づくりの上手な人(最小のチームは3人から)(3)盛り上げる力、任せる力量、聴く力、周りとうまくやれる人、を目指してほしい。
 次の会長づくりに向け、現在の会長がすることは、できること・やるべきこと・やりたいことを上手に次へ伝え育て、1歩でも前に行動してほしい、と結ばれました。

アトラクションの石見神楽「大蛇」

第4分科会

 領土問題 竹島問題を学ぶ

 講師:島根県総務部竹島対策室南山尚理さん、島根県教育庁植田道さん/紙芝居:杉原由美子さん

 南山竹島対策室長から竹島の歴史、国に先駆け平成17年に島根県独自に「竹島の日を定める条例」を公布、領土権の早期確立を目指した運動、国民世論への啓発活動などの説明がありました。
 次に県教育庁の植田主事は、学校教育で大切にしたい竹島に関する学習、それは教育基本法に基づき、日本固有の領土であることを知る、解決するための考えを持つ、子どもたちに正しく理解してもらうには指導者も歴史的事実に照らして自ら学ぶ必要があります。小中学校の社会科に、尖閣・竹島がわが国固有の領土として初めて明記されたのは記憶に新しいでしょう。
 そして、隠岐島出身の杉原由美子さんの絵本『メチのいた島』を紹介し、少年たちとメチ(ニホンアシカ)とのかかわりを通じ、いかに竹島が重要な漁場で生活の支えの場であったかを訴えました。最後に第7回「竹島・北方領土問題を考える」中学生作文コンクールで島根県知事賞に輝いた赤田遥さんの作文が朗読されました。
 日本の領土問題は政府間交渉によって解決されるものですが、それを後押しする力が必要で、その一翼を担う役割は私たち婦人会にもあると考えさせられる研修でした。

第5分科会

 地域防災 地域防災における女性の役割〜主婦は防災のキーパーソン〜

 講師:林防災危機管理事務所林繁幸さん

 (1)防災備蓄品は主婦の目線で備えることが重要(2)わが子や孫は学校が守る。むやみに迎えに行ったりしない(3)訓練時から非常持ち出しを心がけよう(手ぶらでは訓練にならない)(4)危険と思えばすぐ行動しよう。女性は最悪の事態になれば肝が据わる。女性は地域防災のキーパーソンです。
 避難のタイミングと避難方法については、テレビやラジオから流れてくる天気予報に対し、現時点でどのような行動をとるか、ワークショップを行いました。災害時には即断即決が重要。発表者を決めるのは1分以内で、との指示があり、各グループが即決していました。
 林さんは、(1)いかにして生き延びるかを考え、自然の力には絶対に勝てないと認識する(2)行政に依存せず、自分のことは自分で責任を持つ(3)過去の歴史から学び、危機管理意識を高める――が、災害から身を守るために必要ですと結ばれました。

フィールドワーク 歴史探訪

神魂(かもす)神社=松江市大庭町

 松江城=4層5階の最上階に上ると、360度の見事な眺望で、遠くには名峰伯耆大山もかすんで見えます。全国で現存する12天守の一つで、1611年築城の祈祷札発見により、2015年国宝に指定されました。県民の熱い思いが成就し、その喜びはこの上ないものだったでしょう。
 神魂(かもす)神社=イザナミノミコトを主祭神とし、本殿は現存する大社造りの最古のものといわれ国宝に指定されています。巨石を積み上げた石段を上ると出雲の神々の里らしい空気が漂い、厳かな落ち着いたたたずまいでした。神様の性別により千木の切り口が定められているということも、新しい発見でした。
 八重垣神社=縁結びの大神で、若いカップルには鏡の池占いが大人気です。子や孫のために占う会員もちらほらいました。境内にある3本の連理玉椿は愛の象徴として神聖視され、木が枯れても境内には二股の椿が発生すると伝えられています。
 幸運にも神在月の出雲路めぐり。古代の歴史や文化に触れる機会に恵まれ、実り多い訪問となりました。
 石川県婦人団体協議会
 理事浅見裕子

特別講演

藤岡大拙さん

出雲の魅力

NPO法人出雲学研究所理事長藤岡大拙さん

 日本の代表的な神話に、「国引きの神話」「八岐大蛇」「因幡の白兎」「国譲りの神話」などがありますが、これらはすべて出雲神話で古事記や日本書紀に載っています。中でも国引きの神話は誇りに思い、出雲の魅力と考えています。
 出雲、石見、隠岐の3つの国から成り立つ島根県が一つにまとめられたのは明治14年。県人口の7割ほどを占める出雲は不思議な国で神々が多いといわれます。
 松江に来られて、出雲大社までは行く時間がないという方には神魂(かもす)神社を紹介します。イザナミノミコトを主祭神とし、本堂は国宝になっていますが、静寂さを守ろうという宮司によるものか観光地化していません。昭和40年ごろ『ビルマの竪琴』の作家竹山道雄が神魂神社を訪れ、半日たたずんでいたとのこと。簡素な美しさはこの本殿に勝るものはないのではないかと記し、松江、島根の人々にも知られるようになりました。外部の人が出雲の魅力を発見してくれた例です。
 作家の渡辺淳一は『みずうみ紀行』で、宍道湖の落日の美しさは抜きんでていると記しています。周囲が山に囲まれていたら、夕日はすぐに山の向こうに落ちてしまいますが、周囲の山が低いため、夕日はいつまでも水面に輝き、残影となります。みなさんも、ぜひご覧になってください。

記念講演

中村俊郎さん

空想の翼で駆けて

〜義肢装具づくりの半世紀〜
村ブレイス株式会社代表取締役中村俊郎さん

 5人きょうだいの末っ子に生まれ、比較的羽振りのよい家庭でしたが、私が子どもの頃の暮らしは大変でした。それなのに母は、町のためにと地域の婦人会活動にいきいきと出かけていくのを思い出すと、自分の今の活動につながっているのではないかと思います。
 縁あってアメリカで義肢装具について学んでいた頃、交通事故で命を失いかけました。後で聞いた話では、救急治療室ではなく霊安室に寝かされていたそうです。この経験も、「他人さまの役に立て」という意味だと考えるようになりました。
 過疎化が進んでいた故郷に戻り自宅前の納屋を改装し、起業。売り上げはほとんどないところに事情を察した伯父が注文してくれたコルセットが評判を呼びました。起業して10年ほどの頃、松本清張が石見銀山の取材帰りにたまたま工房を訪ねて来られ、その時の色紙には「空想の翼で駆け現実の山野を往かん」。
 義肢装具は、購入して終わりではありません。発展途上国の子どもたちに高価な義足を寄付できても成長期の子どもにはすぐにサイズが合わなくなってしまいます。フィリピンでは家屋や工芸品でふんだんに使われていた竹を用い、現地の職人の技術を生かしながら、安く手に入る義足を作ることができました。
 2年前、島根県の全国大会を引き受けた島根県田儀セツ子会長が、即、記念講演をお願いしたいと考えたという中村俊郎さんは世界屈指の義肢装具士です。お母さんが大田市大森の婦人会長だったというご縁もあり、講演依頼に二つ返事で快諾されたそうです。

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