492号(17年8月)

消費者団体との情報交換会(カフェインについて)

 7月27日の食品安全委員会では、「カフェイン」について、情報提供と消費者団体との情報交換会が行われ、消費者団体は全国消団連、主婦連合会、東京地婦連、全地婦連が参加しました。

 意見交換に先立ち、内閣府食品安全委員会の佐藤洋委員長から、カフェインを含む代表的なものの一つコーヒーについて、「コーヒーと健康」のお話、また、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第3室長登田美桜さんが、「カフェインに関する諸外国での対応状況と中毒の課題」について話されました。

カフェイン中毒で死亡

 日本で「カフェイン」が注目されたきっかけは2015年、深夜勤務に就いていた20代男性の死因が、眠気防止にカフェイン入りの清涼飲料水や錠剤を多量摂取したことによるカフェイン中毒であったとの報道でした。
 当時は特殊な例だと思われていましたが、日本中毒学会が行った全国の救急医療機関に対する調査で、2011年度からの5年間で少なくとも101人がカフェイン中毒で救急搬送され、3人が死亡していたことが、2017年7月に報告されました。

過剰摂取には十分注意

 眠気覚ましなどをうたったカフェイン入りの清涼飲料水が多数販売されていますが、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。カフェイン入りの飲料やサプリメントに頼りすぎないようにしましょう。
 意見交換で全地婦連は、死亡事故に至ってはじめてカフェインの過剰摂取による中毒が認知されてきた現状でも、エナジードリンク商品の広告は、疲れた時や頑張りたい時に飲むものとのイメージで作られている。しかし、ホームページを見ても飲み合わせや過剰摂取についての注意喚起は見受けられない。関係省庁にも呼びかけていきたいし、食品安全委員会からも呼びかけてほしいと発言しました。

カフェインに関する諸外国での対応など
登田美桜さんのお話

 カフェインを何から摂取しているかというと、第3類に分類される医薬品、食品ではカフェインが天然に存在するコーヒーやお茶、カフェインを添加させたエナジードリンクやサプリメントがあります。これらに共通する問題は、どこでも誰でも好きに買えてしまうことにあります。
 日本国内には、カフェインについて摂取許容量のような基準はありません。欧州食品安全機関は、安全性に問題のないカフェインの摂取量について、大人は1日400rまでとし、妊婦の場合、胎児の発育に影響する恐れのあることから、200rまでとしています。日本人は体格が小さいためそれより少ない量がよいと考えられますが、これはあくまでも目安であり、感受性には個人差があります。自分にとって悪影響がない1日あたりのカフェイン量を知り、自分の体調に合わせ飲む量をコントロールしていくしかありません。
 諸外国では、カフェイン入りエナジードリンクとアルコールを混ぜて摂取することによって、興奮・覚せい作用が感覚的に増すことが若者の間で流行り、日本より前から問題となっていました。その結果、諸外国の公的機関では、(1)注意喚起、警告(2)食品中濃度/摂取量の調査(3)最大基準値の設定(4)表示義務(カフェイン量、注意書き)がされるようになりました。
 また、飲料業界では、過剰摂取を防止するためのガイドラインも定められています。具体例を挙げると「(ConsumeModerately)適度に飲みましょう」という内容を表示したり、過剰摂取とならないよう250mlで販売する、スポーツドリンクと同じデザインや売り方をしない、12歳以下の子ども向けには売り込まない、サンプル配布しない、などがあります。
 登田さんは、カフェインについて注意すべきこととして、(1)摂取する「量」(2)過剰摂取は有害な影響につながることを認識する(3)自分がどのくらい摂取しているかを普段から気にする(4)上限量を知っておく(5)多すぎたら控える(6)妊娠や授乳中の女性や子どもは、特に注意が必要(7)医薬品は添付文書をよく読み、1回/1日服用量を必ず守ること。決してカフェインを摂るなというものではありません、とまとめられました。

コーヒーと健康
佐藤洋委員長のお話

 コーヒーの歴史は諸説ありますが、イスラム教国の説では、ヤギがコーヒー豆を食べて興奮しているのを観察した修道僧が、眠気覚ましに使用したといわれています。13世紀後期には豆を炒って煮出すようになり、イスラムの飲み物であったコーヒーは17世紀初頭にキリスト教徒にも飲用され、北アフリカ原産のものが18世紀には南米、インドネシアやハワイなど、世界各地に栽培が広がりました。
 カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、アデノシンが本来結合する場所(アデノシン受容体)にとりついて、アデノシンの働きを阻害することにより神経を興奮させます。
 カフェインは、コーヒーや茶葉、カカオ豆など天然に含まれている食品成分の一つです。また、苦味等を加える食品添加物として、コーラ等の清涼飲料水に使われており、サプリメントや眠気防止などの医薬品にも使われています。
 コーヒーは、適切に摂取すればがんを抑えるなど、死亡リスクが減少する効果があるという科学的データも知られていますが、カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器官の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。
 長期的な作用としては、人によっては高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。
 近年欧米では、注文時にデカフェと呼ばれるカフェインを取り除いたコーヒーの選択が可能です。カフェインを取り除く方法は有機溶媒を用いる方法、水を用いる方法、二酸化炭素を用いる方法の3つが世界的な主流となっていますが、日本では主に超臨界二酸化炭素抽出法が用いられるそうです。
 佐藤委員長は医学の祖といわれるドイツのパラケルススの、「すべての物質は毒である。毒でないものはない」という言葉を引用し、量が毒か薬かを決める。カフェインに限らず量を見極めることが重要。その際どのような物質(成分)と一緒にとるかも重要で、特定の成分のみを濃縮したものには注意が必要、と結ばれました。


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