486号(17年2月)

第4回 健康カフェ 胃の健康のために(全国婦人会館)

講師の村田洋子さん

〜ピロリ菌の検査と除菌〜

 全国婦人会館の公益事業、女性の生活力向上のための教養講座「健康カフェ」が1月25日に開催されました。テーマは、「胃の健康のために〜ピロリ菌の検査と除菌〜」。講師は胃腸病の早期発見と治療に尽力されている消化器内視鏡の専門医村田洋子さんです。

除菌しなければ一生胃の中に

 ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせん形の細菌です。胃には強い酸(胃酸)があるため、昔から細菌はいないと考えられていましたが、その発見以来、さまざま研究から、ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍などの病気に深く関わっていることが明らかになってきました。一度感染すると、除菌しない限り、一生胃の中に住み続けます。
 感染経路はまだはっきりしていませんが、大部分は口から体内に入ると考えられています。5歳以下の乳幼児期は胃酸を分泌する細胞が十分機能していないため、ピロリ菌が生き延びやすいと考えられています。したがって、堅い食べ物を親が噛んで柔らかくし、口移しで子どもに食べさせることなどは避けた方がよいでしょう。井戸水は子どもに飲ませない方がよいのですが、上下水道が完備され衛生環境が整った現代では、あまり神経質にならなくてもよいでしょう。

確実な発がん因子とWHOが認定

 ピロリ菌が長期間にわたって炎症を繰り返していると、胃粘膜は薄くやせて委縮が進行し、腸上皮化生となり、胃がんが発生しやすい状況を作ります。胃がん患者の多くがピロリ菌感染者で、感染者や感染歴のある人は、未感染者に比べて150倍胃がんになりやすいことが分かり、1994年にWHO(世界保健機構)は、ピロリ菌は確実な発がん因子であると認定しています。
 常々胃の調子がおかしいと定期的に検査をしている人よりも、まったく症状がないから大丈夫、という人が感染していることは多いそうです。

除菌は体調などを考えて

 医療技術の進歩を含め、早期発見やピロリ菌の除去により、これまで上位であった「胃がん」の死亡率は確実に減っています。
 ピロリ菌が除菌され、胃の粘膜がきれいになると胃酸が増え、逆流性食道炎を起こしやすくなる可能性もあります。体調や状況によって、除菌をしたくない人には無理におすすめするものではありません。
 講座では、誰がいちばん子どもに感染させやすいか、子どもに感染させないためにはどうしたらよいか等、参加者全員で考え、活発な質疑応答がありました。先生は、「炎症をくり返すことでがんの発症率が上がります。ストレスを上手に発散すること、健康によい食事を心がけましょう。一度除菌すればもう感染しない、ということはなく定期的な検査をすることが大切です」、とくり返されました。

→研修・講座