484号(16年12月)

2016年度 全地婦連幹部研修会

全国から約100人参加
埼玉県嵐山町・国立女性教育会館

 11月28日、2016年度全地婦連幹部研修会が埼玉県嵐山町の国立女性教育会館(NWEC)で開催され、全国から約100人が参加しました。今年度は、「製品安全対策」「地域防災」「北方領土問題」について学びました。また、29日の理事会では「熊本地震6カ月後」の特別報告が、熊本県の東家武子会長と冨田セツコ副会長からありました。

富山県が作成した地図を転載(平24情使第238号)

講演1
製品安全政策の概要と動向

監物英樹さん
講師:経済産業省商務流通グループ
製品安全課 係長 監物英樹さん

 毎年全地婦連の皆さまには、経済産業省の委託事業「製品安全セミナー」にお取り組みいただきありがとうございます。
 経済産業省による製品安全施策の大きな柱は、(1)事故の未然防止(2)事故が起きた場合の被害の拡大防止(3)事故の再発防止です。
 長期間の使用に伴い生ずる劣化による製品事故を未然に防止するために、平成21年4月、長期使用製品点検制度が導入されました。
 消費者自身による点検が難しく、経年劣化により重大な危害を及ぼすおそれの多い9品目を特定保守製品に指定しています。石油給湯機、ビルトイン式電気食器洗機、屋内式ガスふろがまなどが対象です。対象製品を購入した際に所有者登録を行うと、適切な時期にメーカーから点検通知が届きますので、点検を受けてください。また、所有者の承諾があれば、販売者が代行記入をすることもできます。
 製造事業者・販売事業者だけでは製品安全の確保はできません。消費者は安全な製品を選択し、正しい使い方をしなくてはなりません。事業者・消費者に行政が加わって、それぞれが役割を果たすことが重要です、と結ばれました。

講演2
防災の原点は「地域」

秋本敏文さん
講師:公益財団法人日本消防協会
会長 秋本敏文さん

 日本の消防は独特で、国でも県でもなく市町村で組織されているため、阪神・淡路大震災の際に全国から駆け付けた消防隊は、指揮命令系統がない、ホースが合わないなど混乱を極めました。
 これらの教訓から、全国の消防機関による応援を速やかに実施するため、阪神・淡路大震災直後、秋本さんが消防庁長官時代に、緊急消防援助隊が創設されました。
 全国的な応援体制は作られましたが、被災地に到着するまでにはどうしても時間がかかります。災害発生直後は、地元の人びとで何とかしなくてはならないのです。また、東日本大震災後も、これまでの常識では考えられないような災害が各地で次々と発生しています。災害は、「いつ、どこでも、なんでもある」時代となり、消防署、消防団員だけが担うのではない、地域の防災体制が必要になりました。
 そして平成25年、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が制定され、地域の防災組織としての「女性防火クラブ」に関しても明記されました。
 災害を最小限に食い止めるには、災害に関する情報の把握が不可欠です。局地的な雨雲、上流で発生している豪雨などにも注意が必要です。

戸ア良一さん

 震災時、放っておけば腐ってしまう冷蔵庫の中身を持ち寄り、それらから非常食を作った、というのは男性では思いもよらないこと、と女性ならではの例を紹介されました。全国各地で起きた災害を例に話していただき、参加者からは活発な質問や、各地の取り組みなども報告されました。
 次の講演に先立ち、来賓の内閣府北方対策本部調査官の戸ア良一さんからご挨拶があり、内閣府での取り組みや新しくなったホームページ等について紹介がありました。

講演3
海から見た北方領土

山田吉彦さん
講師:東海大学海洋学部教授 山田吉彦さん

 富山県が作成した、環日本海東アジア諸国図=上方に掲載=を見ると、日本が持つ土地の力がよく分かります。アジアの上に鍋ぶたのように横たわっている日本。アジアの国が世界を目指そうとすると、常に日本列島を横切らなくてはなりません。
 日本に紛争を起こそうとすれば、相手国に対し日本は海域を封鎖できるのです。地政学上、日本は国土がある限り紛争にはならず、土地を守ることで紛争を防ぎます。
 極東開発を進めたいロシアですが、ロシアの企業に融資をする国はなく、日本を通過しなければ物資も運べず、日本と手を組むしか道はありません。また、世界で孤立したロシアに対し、それぞれの国に仲裁に入れるのは日本だけであり、ロシアにとって日本は、われわれが感じている以上に大切な国となっています。
 愛国心が強かった旧ソ連と現在のロシアはまったく別の国と考える必要があります。ソ連崩壊後に教育を受けた人たちは、ビジネス第一でプーチン政権の屋台骨を支えています。また、本土と比較し給料や年金が倍になるという四島に住む人たちにとって、北方領土はふるさとであるという意識はありません。子どもが大きくなれば島から出ていくのです。
 日本をパートナーとして極東開発を進めたいプーチンは、日本を熟知しており、北方領土問題の進展なくして日ロ関係の真の友好はないと認識しています。
 元島民の平均年齢は80歳を超え、日本人の半数以上が北方領土問題に興味がないという調査結果もあり、ロシアは早くカードを切らないと宝の持ち腐れになってしまいます。経済を再生したいプーチンと名を残したい安倍首相にとって、領土問題の進展は今がチャンスです。最後の局面を一緒に見られますように、と結ばれました。

ビザなし交流訪問事業の参加者報告

 今年度のビザなし交流訪問事業に参加した、佐藤浩子広島県理事と石本知恵子徳島県理事が報告しました。
 佐藤さんは、「議論をしに行くのではなく、友好を深めに行くのです」という団長の言葉を胸に、交流に努めた。今回の経験を女性会の仲間や地域に伝えていきたい、と話されました。
 石本さんは、異文化に驚くことが多々あったが尊重した。歴史の勉強はしていたが、現状を知らずに訪問し、今日の講演を聞いていろいろなことが納得できた。皆さんも機会があればぜひ参加してください、と話されました。(2人の訪問記は「全地婦連」10月号(482)にも掲載しています)
 夕食交流会では、国立女性教育会館のボランティアスタッフから、「40年前の当会館設立時に、婦人会の皆さんの1円玉募金によって植えられた桜並木が見事に成長し、春には素晴らしい眺めで、来館者を楽しませてくれています」と、謝意が込められた紅葉のしおりのプレゼントがありました。

佐藤浩子さん 石本知恵子さん
夕食交流会の様子
紅葉のしおり
特別報告をする熊本県・東家武子会長(右)と冨田セツコ副会長

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