481号(16年9月)

第1回 防災推進国民大会

 8月27日、東京大学本郷キャンパスで、第1回防災推進国民大会が開催されました。内閣府に設置された防災推進国民会議、内閣府、防災推進協議会が作る実行委員会の主催で開催されたものです。

防災実践者によるディスカッション=8月27日、安田講堂

 安田講堂で開催された防災実践者による分野別のディスカッション「熊本地震と東日本大震災に学ぶ地域の防災力」のパートには、熊本県地婦連の東家武子会長が登壇し、体験と実践について報告しました。また、熊本地婦連の冨田セツコ副会長は、熊本県女性防火防災クラブ連合会の会長として登壇、益城町の状況を含め報告しました。

余震が続けばプ口の炊き出しも必要

 その中で東家会長は、地震発生直後から県内の婦人会の伸間たちが炊き出しなどのボランティアに参加したいと次々と申し出があったが、激しい揺れが続く中で、もしものことがあったらと考え、婦人会としての炊き出しは行わなかった、直後の混乱時には、やはりプロによる炊き出し等が被強だと強調しました。また、避難所では、被災者をお客さまにせず、皆で協働することの大切さを話しました。

学効率よく支援受けることも視野に

 冨田副会長は、女性防火防災クラブでは支援の訓練を続けていたが、被災時には、効率よく支援を受けることも視野に入れていかなければならないと実感した、と話しました。
 このディスカッションでは登壇者が多く、一人の発言時聞が短く、今回の貴重な体験報告から、今後に向けての発言ができなかったのは大変残念でした。
 全地婦連として、熊本県の皆さんの体験を基に、今後の減災対策にどう取り組んでいくかが課題となりました。

地域から見た防災対策=8月27日、東大理学部1号館
 8月27日に開かれた第1回防災推進国民大会の全地婦連のブースでは、野田法子全地婦連副会長をコーディネーターに、「地域から見た防災対策〜避難所マニュアル、炊き出しネットワーク〜」の活動報告をしました。3部構成で、東日本大震災の体験を今後の災害対策に活かす活動を続けている岩手県の佐々木美代子さん、その体験を学び、新たな防災対策に積極的に取り組んでいる香川県婦人団体連絡協議会の皆さん、地元の高校生と一緒に身近な材料で防災ずきん作りに取り組んでいる竹中昌子岐阜県会長らが話しました。
野田副会長
木下理事

 防災推進国民会議企画チーム担当の木下幸子全地婦連理事(福岡県会長)は、「実際に大きな災害が起こったら、その場にいる人々で初期の対応をしなければならず、すベての人がその心構えを持つためには日頃の準備が必要です。この報告会を備えを進める一助にしてほしい」と、開会挨拶をしました。

報告(1)

今後の災害にどう対処するか
〜東日本大震災の経験から〜

岩手県陸前高田市地域女性団体
協議会幹事 佐々木美代子さん

佐々木美代子さん

 震災直後から5年間、陸前高田市の婦人会会長を務めた佐々木さんは、まず震災時の支援にお礼を述べ、現在の市の様子を写真で紹介。災害公営住宅も含め、個人の住宅造成は多少進みましたが、公共施設はまだほとんどありません。
 「近い将来巨大津波がくる」−実際の地震と津波は予想をはるかに超える想定外のものでしたが「予測通り」でした。日本各地で予想されている地震は必ず来るものと重く受け止め、過去の記録や資料から学び、公的機関、団体や個人、それぞれの立場で具体的な防災対策を準備すべきです。万全な上にも万全を期して備えてほしいという陸前高田市民の願いです、と話しました。
 刻々と変わる津波予報、壊れた防災無線、あっという間に防潮堤を越え市街地に襲来した津波。これらから、津波の第1報は小さな値でしか発表されない、警報の前に津波がくる、目で見てから逃げたのではもう遅い、より高い場所へ逃げる、自然災害に対しては人の力では太力打ちできないと学びました。
 体力的に弱い女性は犠牲者も多く、被災によって、「嫁」という立場の不安定さも浮き彫りになりました。女性が人間としての尊厳を守るために地位向上を目指すことは当然です。防災対策は女性の視点が必要といわれますが、男性にいわれてやるのではなく、女性が主体となって行動しないと課題は解決しません。防災とは、命を守ること。一過性ではなく、生涯をかけてやり続けなくてはなりません。
 復興が進んだといわれますが、震災から5年経ち、ようやく重い口を聞いた人たちがいます。目の前の人を助けてあげられなかったという精神的負担、生活不活発症候群の状況はまだまだ続いていることを知ってほしい、と結びました。

報告(2)

地域から見た防災対策
〜避難所マニュアル・炊き出しネットワーク〜

香川県高松市婦人団体連絡協議会
副会長 吉田静子さん
理事 中山節子さん

吉田静子さん
中山節子さん

 吉田さんは、過去の災害で明らかになった課題を活かして作成した、避難所運営のあり方をまとめたハンドブックを紹介しました。
 2013年に女性防災会議を立ち上げた高松市婦人団体連絡協議会は、東日本大震災の被災者から体験談や意見の聞きとり調査を実施。「避難所運営への女性の参画」「女性の視点から見た避難所づくり」を目指し、会場班、食事・物資班、心と体のケア班、総務班に分かれ、行政・医療従事者・被災者らを招いた研修会や調査・研究、炊き出し訓練などを重ねました。
 これまでの震災報告による教訓をもとに調査結果を集約し、イラストや写真を多用、大きな文字で見やすく、人に優しくを心がけたハンドブックは、地域に合ったコミュニティー版として利用できるよう、余白がたくさんあります。皆さんの地域で作成する際の参考にしてください、と話しました。
 中山さんは、大規模災害の発生時に、人材や救援物資を融通し合い、より効率的な災害支援につなげることを目的とした香川県女性防災ネットワークの取り組みについて報告。「皆でがんばりましょう」と言主だけでなく、具体的数値目標、対策を掲げたマニュアルを作成し、食や心と体のケアについて学び、女性団体としてできる支援活動を目指します。

報告(3)

女子校生と作った防災ずきん

岐阜県会長 竹中昌子さん
竹中常任理事

 毎年大垣桜高校の新入生は男女とも防災ずきんを手作りするほど、防災意識の高い高校ですが、「自助」から「共助」へという、地域への広がりが足りないと考え、さまざまな世代と一緒に防災ずきん作りに取り組みました。
 この防災ずきんの輪は婦人会にも広がり、地域との絆を深めました。高校生が講師、婦人会の役員が作り方を習い、地域の会員に普及しました。燃えないカーテン生地を使い、中にバスタオルや生理用品などを入れ、クッション性をプラス。普段は枕やクッションとして、いざという時には頭にかぶって避難。縫い目をほどけば元のバスタオルとして使用できます。婦人会で作った防災ずきんは、ひとり暮らしのお年寄りにも届けました。身近な材料で、自分たちにできる防災に関心をいだくきっかけとなったと報告しました。
 質疑応答では、在宅避難者への支援物資の配給について、首都圏と地方での違い、住民リーダーの必要性、生活を立て直すのは女性の力が大きいことなど、参加者・発言者からさまざまな意見が出ました。

健康体操

 最後に、吉田静子さんを講師に、全員で「どんぐりコロコロ」「北国の春」を大きな声で歌いながら、エコノミークラス症候群の血栓予防、ストレス解消の健康体操を行い、散会しました。