480号(16年8月)

第47回 北方領土復帰促進 婦人・青年交流集会

元島民のお話を聴き、グループ討議

 7月16日、北海道根室市の道立北方四島交流センターニ・ホ・ロで、「日ロ関係の現状と北方領土問題の展望」をテーマに、北方領土復帰促進婦人・青年交流集会が開催されました。全地婦連からは56人、日本青年団協議会からは28人が参加しました。

山崎義喜さんの報告

 はじめに山崎義喜さんの報告、「北方領土の返還運動とは何なのか」がありました。山崎さんは現在会社員ですが、上智大大学院時代に、地婦連と青年団の北方領土返還連動をテーマに修士論文を書きました。
 報告では、沖縄返還連動に取り組んでいた地婦連や青年団協議会が、ごく自然に国民運動として北方領土返還運動にも活動を広げたことを紹介しました。元島民のみなさんや外交を担う政府とともにこの運動の重要性がその時から認識されていたことがよく分かりました。

山崎速人参事官の報告

 5月に色丹島をビザなし訪問した内閣府の山崎速人北方対策本部参事官から、写真と動画で交流様子が報告されました。人口が約3000人の色丹島の様子がよく分かり、日ロの民間レベルの交流の重要性が伝わる報告でした。

山内聡彦さんの講演

NHK解説委員
山内聡彦さん

 NHK解説委員山内聡彦さんの講演、「日ロ関係の現状と北方領土問題の展望」では、ウクライナ危機で暗転した日ロ関係でしたが、5月6日に半年ぶりに非公式ながら首脳会談がソチで開催されました。
 両首脳が通訳だけを同席させて行った3時間余の首脳会談では、日本から8項目にわたる経済協力、領土問題についての新たなアプローチについて提案されたとのことです。
 この新たなアプローチについては、当面は領土問題より協力関係の強化を優先するという意味ではないかとの憶測も出ていますが、日本との関係強化、中国一辺倒は避けたいというロシア側の思惑もあると見られています。
 日本側としては、日ロ両国の歴史認識の相違の中で、受け入れ可能な解決策をどう見出していくのか、外交政策が重要となっています。2018年のロシア大統領選挙までは交渉の正念場となり、プーチン大統領の政治決断を引き出すためにも国民運動を盛り上げていくことが重要です。

歯舞漁協訪問も

 元島民の古林貞夫さん、中田勇さんも、引き揚げ時の悲惨な様子や、返還運動への熱い思いを語りました。その後は、 7班に分かれてグループ討議、意見交換を行いました。
 盛りだくさんの根室集会でしたが、運動継続の重要性を再認識し、有意義な集会でした。
 全地婦連の参加者は、集会前に歯舞漁業協同組合を訪問、おなじみの全地婦連用の早煮昆布の包装作業を見学しました。小倉啓一代表理事組合長にもご挨拶できました。北方領土が目の前に見える納沙布岬も訪れ、その距離の近さを改めて実感しました。

感想

千葉県会長 渡邉 年子

 交流集会は、照屋仁士日本青年団協議会会長の主催者代表挨拶で始まり、来賓の谷内紀夫北海道北方領土対策根室地域本部副本部長、長谷川俊輔根室市長よりご挨拶がありました。
 元上智大学院生の山崎義喜さんの報告に続き、色丹島のビザなし交流訪問について、内閣府北方対策本部参事官山崎速人さんは、「色丹島は風光明媚で温暖、道路はほぼ未舗装だが、住民は親日的」と報告されました。
元島民の古林貞夫さん(国後島泊出身)と中田勇さん(色丹島出身)の島での体験談は、生活の苦労がヒシヒシと感じとれました。
 戦後71日年目早を迎えた今日、一日も早く北方四島返還が実現されるよう、新たな気持ちで活動に取り組んでいきたいと思います。
 日本は経済を中心に領土問題を進展させたい考えですが、ロシアは日本からの投資や大型の経済プロジェクトに期待しています。2018年のロシア大統領選挙までに進展がありますように。
 グループ討議では、「領土問題が解決しても、二世、三世には故郷ではないのでどうなのか」「地元に帰って署名運動ができたらよい」などの意見が出ました。

秋田県副会長 吉田萬里子

歯舞漁協では昆布の袋詰め作業を見学

 秋田県地域婦人団体連絡協議会からは4人が参加、歯舞漁協で全地婦連の参加者と合流し、私たちがいつも利用している貝殻島産棹前早煮昆布の袋詰め作業を見学しました。(婦)印のついた袋に丁寧に目で確認し、正確に袋詰めしている作業に安心感を覚えました。
 納沙布岬の北方館では、国後島は久保田藩(後に秋田藩に改称)が支配していたこと、男鹿半島方面はじめ秋田県内から多くの出稼ぎ者がいたことなどの説明を聴き、岬では目の前の水晶島を確認し、四島返還実現の日まで燃やし続けている「祈りの火」に願いを込めてきました。
 交流集会では、遠くは鹿児島県はじめ各県の全地婦連参加者、道内婦人会員、日青協関係者らが一堂に会しました。
開会式、報告、講演等があり、夕食後はパネルディスカッションで元島民2人のお話を聴き、グループ討議が行われました。
 「戦後71年を迎えた今、自分はロシアの人たちと一緒に島で暮らしてもよいと思うようになった」という元島民のお話に対し、決して諦めの気持ちではないはずだと思うが、今後の問題提起の一つとして捉えなければならないことではないか、という意見がありました。
 時間がなく十分な意見交換ができず残念でしたが、交流会に参加した皆さんは熱い意見を持っており、一日も早い返還を心から願っていると思いました。この集会に参加できたことを大変うれしく思います。

→北方領土問題