476号(16年4月)

第54回全国消費者大会
〜消費者の対話、選択、行動で一歩前へ

第54回全国消費者大会=3月11日〜12日、四谷

 国際消費者機構が呼びかける3月15日の「世界消費者権利の日」に  国際消費者機構が呼びかける3月15日の「世界消費者権利の日」に合わせ、第54回全国消費者大会は3月11日・12日に四谷のプラザエフで開催されました。メインテーマは「民主主義をあきらめない!〜消費者の対話、選択、行動で一歩前へ〜」。11日には4分科会と特別分科会、12日の全体会には来賓の板東久美子消費者庁長官のご挨拶もありました。2日間で延べ489人が集い、全地婦連からは17人が参加しました。分科会、全体会の報告です。

「消費者政策」分科会

未来をつくる消費者市民社会
 〜今、私にできること〜

講師/川端伸子さん(公益社団法人あい権利擁護支援ネット)
事例報告/山本明さん(東京都消費生活部)、清水茉美さん(全国大学生協連)、岩岡宏保さん(NPO法人埼玉消費者被害をなくす会)

消費者政策分科会

 高齢者の消費者被害の現状について聴きました。他人から見ると、明らかな悪質商法であっても、「自分の意志、自分のお金でやったこと」「あの人はいい人だった」と、当事者が被害に遭ったという自覚がないこともあります。高齢者に限らず、人間の権利として、それはそれでということになりますが、こうしたことが起きないようにするにはどうしたらよいかを考えることが必要です、と話されました。
 再発防止には、民生委員や社協、婦人会員が見守りをし続けること、地域でふれ合い、声をかけ続けることが大切だと思いました。
 事例報告では立命館大学に在籍している清水さんが、例えば、フェアートレードって何? 社会貢献度の高い商品って何? ということを学んだり、親元から離れ初めて一人暮らしをする学生に向けた、消費者トラブルの最新情報や消費者被害に関する動画の発信など、われわれ保護者世代が不安に思っていることを少しでも安心させる活動をしている若者に対し、心からエールを送りたいと思いました。
 今、私にできることは地域婦人会の会員として、地域の見守りや、若い人たちへ交流の声かけを気長にやり続けることが、会員の増強にもつながると改めて感じました。次時代を担ってゆくであろう、青少年たちとのつながりも大切に、私たちが今やっている活動を伝えていくことも大切だと思いました。消費者問題でもそうだと思います。

「環境」分科会

気候変動対策(パリ協定)と電力自由化

講師/平田仁子さん(NPO法人気候ネットワーク)、新川達也さん(電力取引監視等委員会)

環境分科会

 北陸新幹線開業1年目にして、初の上京です。快適な道中を楽しみ、全国消費者大会の会場へ向かいました。
 環境分科会には70人ほどが集い、今回のテーマ「気候変動対策(パリ協定)と電力自由化」について平田仁子さんから、新川達也さんからは電力自由化について説明がありました。
 昨年COP21で歴史的合意となったパリ協定では今世紀下半期までにCO2排出を実質ゼロとすることが決まりました。
 4月からは、これまでの地域で決まっていた電力会社を消費者が自由に選べるようになります。しかし、何を基準に電力会社を選べばいいのでしょうか。
 講師の平田さんのお話では、すでに200近くの事業者が小売り電気事業者として登録申請を行っていますが、それらがどんな発電方法を行うのか、消費者へもっと情報提供をするべきだとの指摘もあり、価格、サービスはもちろんですが、石炭発電はもうこれ以上建設してはいけないと強調されました。
 温暖化による深刻な被害が指摘されている今、消費者も、便利や安価というキャッチフレーズに惑わされることなく、賢い消費者になるよう、今回のようなセミナーに参加したことは、大変有意義でした。

「食」の分科会

食のグローバル化を考えよう
 〜台所からみたTPP〜

問題提起/山浦康明さん(明治大学法学部講師)、山弥生さん(農林水産省)
パネルディスカッション/コーディネーター山浦康明さん、パネリスト/志澤勝さん(日本養豚協会)、森田満樹さん(消費生活コンサルタント)、内田聖子さん(NPO法人アジア太平洋資料センター)、山弥生さん

食分科会

 今、TPP協定は関心の高いテーマです。まず、TPP交渉の経緯、項目内容の詳しい報告を聴きましたが、専門用語が多くて難解でした。
 農業・経済・食の分野における問題として、食品表示、添加物使用、農薬等の不安が話題にされ、有識者・生産者・消費者の意見を聞きました。
 食品の国際ルール「衛生植物検疫」(SPS)措置の中で、人や動物が貿易に対する不当な障害をもたらすことのないように保障され、人の健康または生命の保護を確保するための措置をとる権利があることを知り安心しました。
 食卓には健康面や価格面でどのような影響をもたらすか、日本人の生活すべてに関わる内容で、無関心ではいけないと思いました。
 私たちは生産者への応援を惜しまず、地域社会で今まで伝承された食文化をつなぎ、今後も消費者の目線からTPP協定に関心を寄せ、内容を確認しながら情報伝達と活動を続けていきたいと思います。

「社会保障」分科会

どうなる! 日本の社会保障〜医療・介護のあり方を問う

講師/横山壽一さん(金沢大学教授)、花井圭子さん(労働者福祉中央協議会)

社会保障分科会

 初めて参加しましたが、専門的で高度な講演など少し難しい大会でした。
 私は保健師という立場もあり、「医療・介護のあり方」に関心を持ち、この分科会を選択しましたが、参加者は意外に少なく46人でした。
 講師の横山さんは、「社会保障は憲法9条・25条で守られ、生存権・生活権は無条件に保障されていることが根本にある」と主張され、その理念に、「自助・共助・公助」を持ち込むことは別の問題であるとされ、ハッとしました。
 しかし、これから社会保障関係費は削減傾向にあること、軍事費増加が見え隠れする予算案のあり方に不安を覚え、質問もしました。
 花井さんは身近な話題からケアマネージャーの業務など、消費者から見た課題を取り上げ、地域包括ケアシステムを分かりやすく話されました。
 たくさん資料をいただき、あらためて読み返しています。婦人会は地域代表として、県の審議会や医療福祉の会などの委員として参加し、意見を出しています。
 54回も重ねて行われてきたこの消費者大会はとてもよい勉強になりました。来年も参加したいと思いました。

特別分科会

5年目の3・11
 〜被災地の実態から日本を考える

講師/古川美穂さん(フリージャーナリスト)、馬奈木厳太郎さん(弁護士)
被災地からの報告/野崎和夫さん(宮城県生協連)

特別分科会

 どう学び、それをどう生活や考え方に生かすのか難しいと思いながらも、生協の専務理事やジャーナリスト、弁護士と幅広い肩書きの登壇者から、どんな切り口で発信されるのか、楽しみでもありました。会場には震災支援の岩手県の煎餅やケーキ、クッキー、手作り品が販売されていました。
 最初の被災地宮城からの報告では、被災地に吹く3つの風を「風化」「風評」「風当たり」と表現されました。生協の立場から、日々生活者(消費者)を目の当たりにしているからなのでしょう。
 古川さんは創造的復興として新しい東北をつくることを提唱しながら、東北各県の復旧復興へのスタンスに違いがあることを話されました。
 宮城県はショック・ドクトリン型(トップダウン・中央や企業との連携)。岩手県はなりわい型(ボトムアップ・地域重視)。福島県は災害進行形であるとのことでした。
 馬奈木さんは、救済に奮闘している姿が強烈な印象として残りました。
 3人の話を聴いて、被災地の実態を思いながら、この国のエネルギー政策はどうあるべきなのか、それにより暮らしはどうなるのか、次世代に渡すものは何なのか、これから進む方向の選択肢をいくつか提案される方の話も聞きたいと思いました。
 参加者に偏ったものの見方をさせないためには、登壇者の人選は難しいものと、つくづく感じた分科会でした。
 地元でもエネルギーの学習をしていますが、今後もより学ぶ機会を持ちたいと思いました。

全大会

民主主義をあきらめない!
 〜消費者の対話、選択、行動で一歩へ

講師/中野晃一さん(上智大学教授)

講師の中野晃一さん

 消費者大会には初めて参加しましたが、会場に着いて、一瞬、男性の数の多さと、「民主主義」と冠のついた大会テーマに驚きました。
 老若男女すべての人が消費者であり、暮らしは政治に直結していることを痛感しました。
 いま、TPPや安保法制、原発問題や貧困と格差など、国民の生命と生活が脅かされています。中野さんは、「今の政治を容認するか否かの選択に、この国の民主主義が維持できるかどうかがかかっている」と、熱く語りました。
 現在当たり前の民主主義や立憲主義は、長い歴史のなかで人々が苦難の末に勝ち取ったもの。油断するとすぐに失ってしまいます。それは、報道への介入、世論操作、言論統制から戦争へと突き進んだ歴史が証明しています。
 幸い新しい市民運動が広がり、若者たちが頑張っています。民意の反映されない小選挙区制を廃止させ、今ある民主主義を失わないために、学習と一歩の行動を! と思いました。

→消費者問題・経済生活