475号(16年3月)

女性のためのくらしとお金の教室シンポジウムin愛知

パネリストのみなさん

 全地婦連は公益財団法人消費者教育支援センターと外資系金融機関シティの実施する金融経済教育支援の一環として、中高年の女性を対象に「女性のためのくらしとお金の教室」を2011年から全国11県で実施し、1000人を超える皆さんが参加されました。この事業が今年度で終了するに当たり、女性のためのくらしとお金の教室シンポジウムin愛知が2月28日に、愛知県名古屋市のウィルあいちで開催されました。

名古屋市・ウィルあいちで開催

 教室は、1年目の基礎講座(4日間)と2年目の応用講座(2日間)で構成され、主な内容は「女性の生き方」「セカンドライフに必要な生活費」「遺言や相続」「無理なくできる家計管理の方法」など、中高年の女性がこれから直面するであろうお金に関する不安の解消を図り、よりよいくらしをおくるために役立つプログラムとなっています。
 今回のシンポジウムは5年間の教室の振り返りを目的とし、この教室の検討委員6人に全開催県の代表が参加しました。

有馬真喜子さんの基調講演

 はじめに、消費者教育支援センターの前理事長でジャーナリストのNPO法人国連ウィメン日本協会理事長の有馬真喜子さんが「世界と地域から考える〜女性の生き方と生活設計力〜」と題した基調講演を行いました。
 有馬さんは、私たちは、家族の一員、地域の一員、県の一員、国の一員、世界の一員である。地球規模で考え、地域を見据えて活動するThink Globaly Act Localyが大切だと指摘され、次のように述べました。
 世界にはさまざまな人たちがいる、先進国の人もいれば開発途上国に住んでいる人もいる、戦乱の地に住んでいる人もいる、男性も女性もいる。世界のいろいろなところに人がいることを認識し、その人たちの暮らしを少しでもよくするために、自分たちが何について努力すべきか考えることが大切です。
 今、国連では、地球規模での環境の不安定な状態を受けて、持続可能な地球を作るために「ミレニアム開発目標 持続可能な開発のための2030アジェンダ」を策定しています。主なものを挙げると(1)極度の貧困と飢餓の撲滅(2)初等教育の普及(3)ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上(4)乳幼児死亡率の削減(5)妊産婦の健康の改善(6)HIVやマラリア等の抑制(7)開発のためのグローバル・パートナーシップの推進など等が規定されています。
 現在の私たちの暮らしは、多くの無償の労働で支えられています。育児や介護もそうですし、地婦連の地域活動もそうです。大変なことですが、そのことによって私たちは生きがいや居場所を持つことができているとも言えるでしょう。自分たちの存在証明として、人と地域がつながっていると実感しながら暮らすことの大切さを感じます。
 この4月に女性活躍推進法が施行されます。ある一定規模の企業や自治体に女性の雇用割合や育児休業等が義務付けられます。しかし、女性が仕事を持ち続け活躍し続けるためには、家庭で、地域での無償の労働がそれを支えることが必須です。
 女性が社会の中で仕事をしていくことが大事と認識され、女性が大いに期待されています。女性はかつての何かをしてもらう存在から、自分自身が行動する人(actor)にならなければなりません。そして、無償の仕事を社会が認めていくことが必要です。
 また、世界を意識したときに、私たちは消費を見つめなおさなければなりません。昨今、エシカル消費という言葉がよく使われます。地産地消、フェア・トレード、児童労働の排除等、隣人のことも世界のことも考えながら、消費者市民社会のよりよい市民であるために、自分の行動を考えていきましょう。

開催県代表の事例報告

 この後はくらしとお金の教室の振り返りで、開催県を代表して、富山県婦人会、愛媛県連合婦人会、愛知県地域婦人団体連絡協議会が次のように事例報告をしました。
 富山県の岩田繁子会長は、教室が大変に好評で、その後も県婦人会として、自主的に講座を継続させていること、熱心な男性参加者が妻も誘って参加するなど、広がりがありました。
 愛媛県連合婦人会の川崎美代子副会長は、教室開催にあたり広報に工夫をした結果、婦人会のない地域からの参加者が多く、地婦連を知ってもらう好機にもなり、若い男性参加者からも好評だったと報告しました。
 愛知県の山田久子参与は、愛知県は尾張と三河というまったく違う気質の二つの地域があり、ワークショップでも意見をまとめることは大変だったとのエピソードを紹介しながら、マネープランの作成や消費者被害に遭わない方法など、大変好評との報告でした。
 最後は6人の検討委員会委員によるパネルディスカッションです。コーディネーターは椙山女学園大学教授の東珠実さん、パネリストは、シティグループマネジング・ディレクターのガイ・マシューズさん、弁護士の安彦和子さん、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん、北見久美子さん、全地婦連の前事務局長で幹事の夏目智子さんです。
 ガイさんは、女性が働く割合が6割、男性との給与差があり、家庭の財布を握っているのは女性なのに、金融商品に対する知識が少ないというのが日本の特徴で、ぜひ、多くの女性へ金融教育をということでこの取り組みが始まったことを紹介されました。
 夏目さんは、全地婦連は設立当時から消費者運動を積極的に取り組んでいたものの、体系的に消費者教育に取り組む機会がなかったこと、企業とタイアップして事業を進めるよい機会となるなど、全地婦連にぴったりの企画であり、積極的に取り組んできたこと、各開催地でも大変好評だったことを報告しました。また、実際の取り組みでは基礎講座で4日間、応用でも2日間同じ参加者に連続して参加してもらうという企画は、日ごろから多忙に活動している地婦連の会員にとって厳しい条件だったが、組織力と会長をはじめ役員の皆さんの強いリーダーシップで、全教室が成功裏に開催できたことは大変にありがたいことだったと話しました。
 井戸さんは、マネープランに取り組む人が増えたことは大変よかった。老後の生活費についてマスメディアでよく取り上げられているが、それは都心部の平均的な費用であることが多く、実は必要な費用は地域や家庭によって大きく違ってくる。ぜひ、今後も自身のマネープランを立て続けてほしいと話しました。
 北見さんは、自身の年金について不安に思っている人が多いが、調べれば分かることであり、ぜひ、きちんと把握してほしい。マイナス金利について心配されている人も多いと思うが、慌ててお金を動かしてもいいことはない。世の中からワンテンポ遅れるくらいがちょうどいいと思って、慎重に行動してほしいと話しました。
 安彦さんは特別寄与の制度について、詳しく説明されました。生前お世話になった親族等に通常の遺産とは別にお礼の意味をこめて財産を譲渡する場合に使える特別寄与の制度ですが、遺言書等にきちんと書きこみ、遺産とは別であることを明記しないといけないとのことです。いわゆる無償の労働に対するお礼として特別寄与を主張しても法的に認められることは難しいので、生前贈与なり遺言書などで、お世話代であり、遺産には組み込まないことを明確にしておく必要があるというお話しに参加者も熱心に聞き入っていました。
 最後に東さんが、有意義なセカンドライフを送るためにも、自らの家計を数字できちんと把握した上で、心を豊かに人の交流を大切にし、必要な情報を積極的に収集し、自らの健康を保ち、さまざまな役割を果たしていきましょう。また、これまで学んだことを多くの人に発信していきましょうとまとめました。

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