471号(15年11月)

第63回全国地域婦人団体研究大会

第63回全国地域婦人団体研究大会 福岡県で開催

1500人余が参集

「全地婦連の歌」を斉唱

 第63回全国地域婦人団体研究大会が、「歴史に学び、未来に夢を馳せ、やさしい心で創る安心・安全な地域社会〜よりそい、つむぎあう心温まる社会を」をテーマに、10月1・2日、福岡県ヒルトン福岡シーホークで開催され、1500人余が全国から参集しました。一般財団法人自治体衛星通信機構理事長の久保信保さんの特別講演「東日本大 震災と日本の消防」で開会、5つの分科会に分かれての熱心な討議、懇親会、2日目の全体会では臨済宗大徳寺派宗務総長の戸田実山さんの記念講演「迷いの在処、(宗教と文化)」と続き、華やかな雰囲気の中で開催されました。

【1日目】
特別講演「東日本大震災と日本の消防」
元消防庁長官・一般財団法人自治体衛星通信機構理事長 久保信保さん

久保信保さん

 久保さんが消防庁長官に就任した翌年の2011年に東日本大震災が発生、指揮を執られた経験談でした。
 火を消すだけが消防の仕事ではなく、「水火災または地震等の災害を防除し、およびこれらの災害による被害を軽減することを任務とする」と、消防組織法に明記されています。消防庁の正職員は200人弱であるのに対し、常備消防は16万人、消防団は86万人、婦人防火クラブは138万人と、日本の消防の実働は市町村が担っています。
 そのため阪神・淡路大震災の時にはまだ全国的規模の応援のシステムがなく、混乱を極めました。平成15年に消防組織法の改正で、応援体制の仕組みが整備されましたが、実際に指示権が発動されることはなく、東日本大震災で初めて私が、緊急消防援助隊の出動を全国に指示しました。
 福島の原発事故と消防の関係では、原子炉への注水作業は本当に消防の仕事なのか、消防庁といえども直接の指揮命令権があるわけではなく、「依頼」するしかありませんでした。消防組織の位置づけ、国策で事故対応する隊員の保障など、課題は残っています。
 いくら自衛隊や消防が助けてくれるといっても大災害では119番はつながらず、駆けつけるにも時間差はあります。
 まず、「自分の身は自分で守る」ことです。そのためには自主防災組織を作り、議論を深めてほしい。子孫が安心して暮らせるために、婦人会の役割は大きい、と結ばれました。

【2日目】

長戸田実山さん

 オープニングは数々のコンクールで受賞し、CDを発売するなど全国的にも話題になっている精華女子高等学校吹奏楽部の心躍る演奏でした。
 1日目の分科会報告に続き、開会行事では、全地婦連柿沼トミ子会長が、私たちの経験と実績を、次代を担う若い世代にどのように伝えていくかという縦軸と、地域の行政、他の女性団体、地域の男性の協力も借りながら活動をする横軸が大切であり、各県のリーダーにかかっています。地域に大きな力を広げていきましょうと、挨拶しました。
 福岡県の木下幸子会長は、福岡県には日本の近代化を象徴する世界文化遺産と世界記憶遺産が2つあることを紹介し、46年ぶりとなる福岡県での全国大会への歓迎の言葉を述べました。
 続いて内閣府武川恵子男女共同参画局長、文部科学省河村潤子生涯学習政策局長のご挨拶、塩崎厚生労働大臣の祝辞(代読)、小川洋福岡県知事、井上忠敏福岡県議会議長、高島宗一郎福岡市長から祝辞をいただきました。
 記念講演は、臨済宗大徳寺派宗務総長戸田実山さん。「迷いの在処、(宗教と文化)」と題して、文化を支える背景には宗教があるが、何をもって文化というのか定義づけるのは難しい。水墨画における「余白」など、日本では「間」にも役割があり、文化の要素の一つとなる。何もない、何もないが意味がある、という奥の深いお話をされました。

分科会の報告

第1分科会【環境】
「突発的な豪雨・竜巻・落雷 いま地球は…」
講師/日本気象協会気象予報士 松井渉さん

松井渉さん

 突発的な大雨に伴う災害が各地で発生しています。そのあまりのひどさに心を痛めます。情報が速やかに伝えられる現在、最小限に被害を抑える努力と情報を生かして対処する、日頃の心構えが必要と思います。
 最近の台風、集中豪雨、竜巻などの原因はやっぱり地球温暖化によることが多いようです。竜巻は昔なかった、というより写真を撮っていなかったからなのか分からない。そして竜巻情報は難しい。ひまわり8号が2分30秒に1枚写真を撮っているから今後に期待したい。地球温暖化を防ぐのはとても大変なので、地温暖化に対してどうすればよいのか、備えていく必要があると思います。先生のお話は会場の皆を引きつけて、とても熱心に勉強しました。

第2分科会【福祉】
「地域に見守りの目を」 ― 地域大家族化と健康まちづくり ―
講師/福岡県すこやか健康事業団 理事長・会長・医学博士 瓦林達比古さん

瓦林達比古さん

 人は家族を作り、組織を作り、社会を作ることによって生存し続けてきた。「個の命」の平均寿命が長くなった。「種の命」は次世代へ命をつなぐことで成り立つ。
 人は教育をつなぎ次世代へ渡していく。「21世紀型市民」(時代の変化に合わせて社会を支え、改善していく能力や資質を持った人材)の育成のための基盤となる生涯教育は、幼少時から。
 少子高齢社会先進国の日本に、人口増加は期待できない。団塊の世代をピークに出生数が2分の1以下にまで減少。そこで、団塊世代の行動が問われる。
 地域完結型の「健康まちづくり」を進めよう。
 基盤は住民。つながり和(輪)ができる。若い世代へのキューピッド役や接着剤も大事。垣根を越えた課題解決型の連携が求められている。命の尊さの認識には母性を含めた親の教育が必須。明るい地域社会再生には、多くの組織の横の連携を密にし「地域大家族化」による見守りを増やすことが必要。健康寿命を延ばすことや団塊の世代の力が求められる。

第3分科会【教育】
「高度情報化社会に対応する青少年健全育成」
講師/福岡県警察本部生活安全総務課安全安心まちづくり推進室長警視 佐矢野俊さん

佐矢野俊さん

 社会情勢の変化に伴い刑法犯罪は増加し、特に子ども、女性、高齢者への犯罪が一向に減少しない。大都市圏での犯罪が多く、犯罪は環境が左右するのではないかと思う。被害者に目を向け、思いやりの心が大切である。
 犯罪抑止の3要素は「領域性」「監視性」「抵抗性」であり、防犯カメラの設置、落書きの小まめな除去、また、ひとり暮らしの女性については男性用の傘や靴が玄関に置いてあるだけでも有効となる。インターネット犯罪も増加の一途であるが、犯罪の起きにくい法整備が望まれる。
 人と人との絆を大切にするボランティアを子どもが小さい時から教え、見て見ぬふりをしない、犯罪の起きにくい環境、地域活動への積極的参加、社会を動かしていく力を。世界幸福度ランキングの「安全」について、日本は上位にあると聞く。今こそ目配り気配りのできる婦人会でありたい。そして青少年健全育成の一助となれば幸いです。

第4分科会【組織】
「男女共同参画社会の実現をめざし、種々の課題を抱える婦人会の取組を通して解決の糸口を探る」
講師/福岡県教育庁社会教育課社会教育班長 近藤真紀さん

近藤真紀さん

 テーマ・カフェという手法で、花組「活動で気になること」星組「思い出深い活動」空組「活動の強み、弱み」とテーマがつけられ、さながら宝塚を彷彿するネーミングのグループ分けから始まり、カードワーク方式で自由に意見を出し合った。次世代リーダーの育成、男女共同参画づくり、他団体との連携、行政とのよりよい関係、活動資金のねん出方法など、組織が機能する方策について多くの意見が飛び交った。
 少子高齢社会を迎え、地域創造、人口減少など社会の変化の中、伝統と強固な組織力をもち地域を熟知し、これらを支える婦人会の持てる力と知恵を寄せ合い、これからも必要とされる婦人会になるために、さらなる組織の再構築と地域における女性リーダーとして努力しなければならないことを痛感した。
 まとめとして助言者より、テーマは別なのに共通のものが多かった。また、組織を機能するために必要な視点とは活動の目的は何か、その活動の成果や課題をそのままにすることなく、意識をもって傾聴することが大事である。
 そして地域の真のリーダーとしてその力を発揮してほしい。男女共同参画社会の実現を目指して種々の課題を抱える婦人会の取り組みを通じて解決の糸口を探してほしい。今こそ、それぞれの地域の活動と組織の活性化に大いに期待したい、と締めくくられた。

第5分科会【歴史】
「長崎街道シュガーロードの旅」
講師/日本経済大学講師 竹川克幸さん

竹川克幸さん

 長崎街道とは、豊前小倉を起点に海外の窓口であった肥前長崎に至る五十七里の道程に宿場二十五が置かれ大名の参勤交代、長崎奉行や郡代、さらにオランダ人等外国人の江戸参府、商人、文人、長崎への遊学生、幕末の志士など旅人の往来が多い重要幹線でした。
 また砂糖や菓子、珈琲、薬など南蛮渡来の交易 献上品の伝来、漢字、蘭学の技術、医療、語学など最新知識の伝播など異国文化、情報も行き交う「文明のシルクロード」文化の十字路であり、今年世界遺産となった八幡製鉄所の高炉下も通っている400年の歴史の道となりました。
 象やラクダが通ったのは当時の将軍が呼んだもので白化粧をした小象であった、など歴史の秘話なども披露されました。
 坂本竜馬、西郷隆盛、篤姫も通った「テレビドラマの顔とはすこーし違いますが」とユーモアDれる当時の写真の紹介がありました。
 「長崎街道とは、シュガーロードの旅とは」今も残る史跡、文化財、街並み風情、建造物、景観、歴史等「長崎を知らずして江戸を知ることなかれ」の言葉もあるように異国文化、日本文化のルーツ、江戸期の食文化、九州の食文化(和華蘭)、人の心がみちを経由して伝播していった、と締めくくられ、もっと知りたい、旅してみたいとロマンをかきたてる楽しい分科会でした。

⇒宣言・決議