468号(15年8月)

北方領土ビザなし訪問 64人が国後・択捉島を訪問

 7月2日から6日まで、2015年度北方四島交流訪問事業が行われました。全地婦連から、川崎市の岩本孝子副会長、東京都の飛田恵理子理事が参加、国後島と択捉島を訪問しました。岩本さんと飛田さんに訪問の様子を報告していただきます。

日本文化を通した交流は大成功!
川崎市副会長 岩本孝子
5メートル四方の日本庭園造り
ホームビジット先で

 国後島・択捉島の都市部では、空港や校舎の建設、道路の舗装などインフラ整備が急ピッチで進み、実質的なロシア化を目の当たりにしました。ロシア政府のクリル諸島社会経済発展計画によるものです。一方、郊外には温泉もあり、多様な動植物が生息しています。
 今回の主な事業は、小城春雄先生の漂流物調査、能面の文化交流、日本庭園造り、墓地清掃、施設見学など、盛りだくさんのスケジュールです。
 現地の素材を使った日本庭園造りは、庭師を中心に両国が草の根レベルで汗を流し、共同作業を行いました。何よりも、今後の維持管理や発展的創造の継続こそが本物のつながりをつくるものと希望を持ちました。
 超一流の能面師による体験型文化交流も、参加者の心を魅了し大成功でした。また、ホームビジットではお抹茶を点て、簡易ながら一式をプレゼントすると、ホストは茶の湯に関心があったようで、大変喜ばれました。日本の伝統芸術・文化のパワーを感じずにおれません。根本的なこととして、私たち自身が日本のよさ日本文化の素晴らしさを伝承することで、世界の平和を築いていくことができると実感しました。
 訪問団員の役割は、心の通う交流を図り相互理解を深め、返還要求運動を推進することです。10月29日(木)午後に、川崎商工会議所で「元島民の北方領土を語る会」を開催します。ぜひ、お越しください。

北方領土への旅は返還の道筋を思い巡らす
東京都理事 飛田恵理子

 ウクライナ情勢の影響で、今年は7月2日に根室を出港し6日に帰る国後・択捉2島訪問が、初めての交流訪問になりました。
 児玉泰子団長以下北連協の団体、政治家、マスコミ、元住民など総勢64人の訪問団。全地婦連からは川崎市と東京都の各1名が参加しました。
 3日に国後島へ入域後、代表グループは「行政府」を訪問。女性の地区議会副議長から、島の人口は1万人余りで平均年齢34歳と聞いて驚き、サハリン州政府代表からは「学校や道路など、インフラ整備に力を入れている」と説明を受けました。広場の巨大なレーニンの胸像は威圧的でした。
 その後人工的漂流物の定点調査へ。土煙の悪路に悩まされながら海岸へと到着し、回収を急ぎました。知床半島がはっきり見えるこちらの浜辺にも、ハマナスが色鮮やかに咲いており、複雑な思いに駆られました。
 4日、択捉島では5人の専門家(能面師3人、庭師2人)を中心に、能面作りと講話、能面体験、5メートル四方の日本庭園造りなど、日本文化への理解を深め、共に汗をかく交流が行われました。現地の子どもや大人105人が参加する盛況ぶりでした。
 5日朝の寂しい紗那墓地のお墓参りでは、戦争で引き裂かれた家族を思いました。若いママと息子のホームビジット先では、一緒にビンゴゲームで遊び、近所で紗那寺の仏像らしき戦前の座像を見つけました。
 夕食交流会の後、択捉から国後を経て6日の午後根室に戻りましたが、北方領土への旅は、返還への道筋を思い巡らす、貴重な機会となりました。

根室港のえとぴりか号に番号順に乗船 海岸清掃後に漂流物調査のお話