466号(15年6月)

消費者庁主催消費者月間シンポジウム開催

消費者法の展望

消費者月間シンポジウム
 消費者支援功労者表彰式の前日、5月25日に消費者月間シンポジウムが開催されました。基調講演は「消費者法の展望―個人的な経験から考える」。
 学習院大学野村豊弘名誉教授は、消費者法との関わりと消費者問題における関係主体の役割について、経験をもとに考えを話されました。
 まず、消費者法との関わりでは、国民生活審議会での手法や消費者契約約款の規制について。産業構造審議会、消費経済審議会等での割賦販売法や特定商取引法の改正等のお話。大学における消費者法の教育、国民生活センターや消費者教育推進会議との関わりについてお話がありました。
 次に、消費者問題における関係主体の役割では、行政、事業者、消費者・消費者団体、紛争解決の仕組みについて話され、望ましい社会の実現には関係主体の役割が重要と結ばれました。

パネルディスカッション=みんなでつくろう!消費者が主役の社会

 コーディネーターは板東久美子消費者庁長官、パネリストは伊東香織倉敷市長、全国消費者団体連絡会事務局長の河野康子さん、消費者関連専門家会議理事長の坂倉忠夫さん、東京大学大学院法学政治学研究科教授の山本隆司さんで、議論が交わされました。主な点は次のとおりです。

(1)どういう社会をつくるのか

 河野さんは「消費者・事業者・行政は共に情報の送り手であり受け手でもある、自ら学び考え選び行動することが重要であり、その前提として現状では情報提供と開示及び理解が不十分であるが、消費者の選択が社会のあり様を変える」。
 坂倉さんは「皆で消費者市民社会をつくることは、自立して継続可能な社会を形成していくことであり、そのためには(1)消費者志向経営(2)消費者教育(3)エシカル(倫理的)消費がポイント」。
 山本さんは「消費者が政策の中に消費者目線を入れていき、次に市場の中にも消費者目線を入れていくことにより、消費者利益を追求するのみではなく、消費を通じた社会形成に参画していくことが消費者主役の社会である。現状ではさまざまな団体が活動しているが、力を結集できないでいることから、協力して議論し合えるプラットフォームを組織化する必要がある」。
 伊東さんは「諸問題の根源に消費者問題があることから、行政では他部署との連携、さらには市民との連携が不可欠」と話されました。

(2)情報の提供と共有について

 河野さんは「選択には正しい情報の入手が前提だが、事業者側に大きな情報があり、消費者は受け身、知らされる消費者の権利の基盤整備が必要」。
 坂倉さんは「消費者志向経営への関心は高く、事業者は可能な範囲ですべてのステークホルダーを意識して情報を公開していく姿勢が必要である。安全と安心のギャップが開いており、それを埋めるのは信頼と丁寧なコミュニケーションであり、行政には基盤整備をしてほしい」。
 山本さんは「情報伝達の迅速性と正確性のトレードオフが難しい。情報技術の活用、ビッグデータを上手に使うことも今後の検討課題であるが、現状では消費者保護は不十分」。

(3)みんなでつくろう―プラットフォームづくりの重要性
柿沼会長のスピーチ

 山本さんは「消費者団体は財政的な脆弱と若い世代が参加しない、事業者は正当な評価がされていない、行政は制約があり動きにくいなど、それぞれが課題を抱えていることから、身近な部分から協働してはどうか」。
 坂倉さんは「プラットフォームは基盤であり共に考える場である。テーマに合わせて、できる人ができることから始めること、スモールサクセスの積み上げを、次の一歩へつなぐコーディネーターが必要」。
 河野さんは「地域の担い手は限定されている、先ずはさまざまな主体が知り合うことからスタート」。
 伊東さんは「キャラクターなども使い、分かりやすく伝えることを心掛ける」。
 最後にコーディネーターの板東長官は「プラットフォームは各主体が集う場であることから、人材(コーディネーター)の養成が必要であること、消費者・事業者・行政の三者の連携と協働の積み重ねによって、消費者市民社会が実現する」と結びました。
 第2部では消費者支援功労者表彰の紹介があり、内閣総理大臣表彰を受賞した2団体、3個人のスピーチがありました。
 東京地婦連理事の中野三千代さんは、内閣府特命担当大臣表彰を受賞されました。