464号(15年4月)

第53回全国消費者大会に参加

消費者の選択と行動で未来をひらこう!
暮らしをより良くするために、今、必要なこと

第53回全国消費者大会=3月14日、四谷の主婦会館プラザエフ

 第53回全国消費者大会は「世界消費者権利の日」に合わせて3月13日・14日に四谷のプラザエフで「消費者の選択と行動で未来をひらこう! 〜暮らしをより良くするために、今、必要なこと〜」をメインテーマに開催されました。13日には消費者政策、食、環境・エネルギー、社会保障の4つの分科会と特別分科会、14日には全体会が開かれて、2日間で延べ473人が集い、全地婦連からは17人が参加しました。当日の分科会や全体会の報告です。

消費者政策分科会

消費者市民社会の実現に向け、いま私たちに求められること
講師/萩原なつ子さん(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)

消費者政策分科会はワールド・カフェ方式で

 萩原なつ子さんを講師に、ワールドカフェ方式で行われました。
 消費者市民社会とは「個々の消費者の特性および消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が、現在と将来の世代にわたって、内外の社会経済情勢および地球環境に影響を及ぼすものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会」とされています。
 そのためには自ら情報収集し、理解し、実践する、課題解決に向けて身近な周囲の人や社会に働きかけるなどとしています。これまで個人のこととして捉えていた消費者問題を、社会全体のこととし、人びとの連携により解決しようとするものです。
 ワールドカフェでは、顔の見える人との関わりが大切であり、その連携により安心で平和な社会づくりができると盛り上がりました。お茶もありリラックスしながら有意義なひとときでした。

環境・エネルギー分科会

環境立国より環境立国!!
講師/飯田哲也さん(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)・吉原毅さん(城南信用金庫理事長)・山ア求博さん(NPO法人足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ事務局長)

 3人の講師が基本的な考えを話したあと、質疑応答があった。
 飯田さんは、東日本大震災から4年も経たが、汚染水処理ほか未解決の問題が多いなか、現政権は原子力発電の再稼働を許可したことはおかしい。また日本では自然エネルギー(太陽光発電、風力、地熱、バイオマスなど)の買い取り価格低下現象が起きている。デンマークやドイツの自然エネルギーの成功例などを話された。
 吉原さんは、原子力発電が安全であるとの神話が広がっているが、そうではない。1億円節電すると地域では地産地消である自然エネルギーの4億円の効果がある。知恵と工夫が経済を活性化する。
 山アさんは東京23区で市民発電所を建設し発電事業にのり出した経験や売電事業も始めたこと。都内ではすでに20団体が同じ活動をはじめているし、他県でも増えている。小規模発電事業が抱える課題はあるが、政策提言を続けているなどと話された。
 日本では会津電力、ほうとくエネルギー、しずおか未来エネルギー等の「ご当地エネルギー」が急速に広がりつつある現状を聞くと、自然エネルギーは地域を豊かにし、地域コミュニテイを生み、地域を活性化している。国の専管事項から地域からのエネルギー政策へと転換していかなければいけないのではないだろうか。
 火力発電と自然エネルギーで十分まかなわれる。明るい未来は脱原発と、具体的な例を聞いて刺激を受け、考えを新たにした人が多かった。(山口県会長 林登季子)

食分科会

どうする?日本の食と農〜健やかな命をはぐくむために〜
講師/アーサー・ビナードさん(詩人・俳人・随筆家)

講師のビナードさんも一緒にグループ討議
 はじめにこの1年間の食をめぐる情勢(農政改革やTPP、自給率目標引き下げなど)について説明があり、その後アーサー・ビナードさんの講演がありました。
 ビナードさんは日本文化に造詣が深く、「食と農」に関しても経済的・社会的・文化的視野からどう守っていくかを熱く語られました。独立国家であるならば、自前のエネルギーと食料自給率の向上は欠かせないこと、TPPは日本の“農”を衰退させるだろう、農(agriculture=植物を育てる、飼育する。土の文明)を単なるビジネス(agribusiness)にしないこと。大切なのは“消費”の向こう側にあるカラクリを見抜く力をつけるとともに、身近なところから行動を起こすこと‐‐など、多くを教えられ、気づかされました。
 講演後のグループ討議でも、ビナードさんのお話に共感する声が多く、「食」を守る行動であることの認識で一致しました。
 食料自給率39%にもかかわらず、美食・飽食を好み、食品ロスにもやや無頓着になっている日常を反省し、会議を終えました(愛知県副会長 浮邉美砂代)

社会保障分科会

公平な負担ってなに!?〜社会保障制度の変化と財源問題を考える〜
講師/芝田英昭さん(立教大学コミュニティ福祉学部教授)

 医療と介護とその財源について、国の方針とその問題点が出され、一見正論のように聞こえる中に潜むカラクリに気づかされた分科会でした。
 その要旨です。
 医療は、自分の健康は自分で管理する自己責任論を基調とし、患者申し出療養として自由診療が拡大され、食品の効能をうたった機能性表示食品販売と「自分の責任で、選ぶ環境は整備します」と、医療や健康増進産業を成長戦略として育成する、としている。
 介護は、支援を地域ボランティアと有機的な連携を図る等とある。
 問題は、医療格差をますます拡大させ、国民を不健康にさせかねない。介護は専門家が対応していた領域を、ボランティアがとはいかがなものか。
 財源は、国には借金があり社会保障にもお金がかかり、若い人たちの負担も大きく消費税増税もやむを得ないと思わされているが、税負担の現行の仕組みを知れば、財源がないのではなく、応能負担になっていないのがよく分かる。(北海道副会長 平間育子)

特別分科会

憲法がめざす国民が主権者の社会
講師/中村梧郎さん(報道写真家)・伊藤真さん(伊藤塾塾長・弁護士)

 全国各地から各種団体の参加で、それぞれの講師の素晴らしい話に引き込まれ、参加者の皆さんの活発な質問、意見を聞き、感心しながら納得し、驚きの連発でした。
 特別分科会は、憲法についての知識ということで、日常の生活の中では憲法を深く考えたこともなく、今回の講演では憲法について頭の中に叩き込みました。
 戦前の日本‐戦後の日本、憲法価値の転換、日本は71年間戦争を続けた。戦後の憲法で一人ひとりを大切にするに変わった。
 また法律と憲法の違いも改めて知りました。法律は国民の自由を制限して社会の秩序を維持するためのもの、国民に対する歯止め。憲法は国家権力を制限して国民の人権を保障するもの、国家に対する歯止め。憲法を考えたことがありますか、憲法を知ったらこれからの生活、生き方が変わると思います。
 講師のうたうような流れるような話術に引き込まれ、夜7時までの講演が、あっという間に終わっていました。(熊本県宇城市会長 藤田洋子)

全体会

消費者の選択と行動で未来をひらこう!
〜暮らしをより良くするために、今、必要なこと〜

講師/中村梧郎さん(報道写真家)・伊藤真さん(伊藤塾塾長・弁護士)

山家悠紀夫さん

 135人が出席し、まず消費者庁の板東久美子長官が来賓挨拶をしました。続いて各分科会から報告がありましたが、前日の分科会が充実した内容であったことをうかがわせるもので、分科会に参加する意義を確認しました。原則として1つの分科会にしか参加できなかったので、全体会の報告は、参加できない分科会の内容も聞くことができ、よい試みでした。
 山家悠紀夫さんの講演は、暮らしを良くするために、どのような社会を目指すべきかの内容で、(1)アベノミクスと暮らしの未来(2)日本経済と暮らしをよくするためにどうすればよいかの2点について、データを使いながら分かりやすい解説を聴きました。
 1990年代半ばに登場した構造改革は、今も進められているが、その具体的な政策は「規制緩和、小さな政府、強きを助け弱きをくじく」ことであり、企業が儲かるような経済構造にすることを目的とする財界の意向に沿った政策である。
 構造改革下の日本経済は、企業収益は増えたが、正規雇用は減少、賃金は低下、経済は縮小した。アベノミクスの欠陥は、人々の暮らしが危機にあるという視点が全く入っていないことである。従って暮らしはさらに悪くなるだろう。
 では、どうすればいいかを考えると、(1)労働環境の抜本改善を図る(週40時間労働で暮らせる社会に)(2)社会保障制度の再構築を図る(誰もが、安心して暮らせる社会に)(3)地方経済の再建を図る(どこにいても、豊かに暮らせる社会に)(4)アジア諸国との協調を図る(平和のもとで暮らせる社会に)の4つを示されました。問題は誰が、どのようにして実現するかであると、重い課題を参加者一人一人に投げかけて講演を締めくくりました。
 全国消費者大会に参加して、さまざまな事象を経済の側面から切り込んで考える必要性を強く感じながら、静岡から参加した3人は、帰路につきました。(静岡県NPOふぁみりあネット 高木・榑松・行平)