460号(14年12月)

全地婦連幹部研修会開催

 2014年度全地婦連幹部研修会が11月20日、埼玉県嵐山町の国立女性教育会館で開催され、全国から約100人が参加し今年度の研修テーマ、「国土強靭化」「北方領土問題」について熱心に学びました。

全地婦連幹部研修会=11月20日、埼玉県嵐山町国立女性教育会館

国土強靭化と地域活動

 2014年6月3日に国は国土強靭化基本計画を策定した。これは、国土強靭化基本法に基づいたもので、国土強靭化に係る国の他の計画等の指針となるものとされている。これに基づいて、都道府県計画が策定されることが努力義務とされており、市町村の計画へとつながっていくものである。
 基本目標として、(1)人命の保護(2)国家・社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持される(3)国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化(4)迅速な復旧復興を挙げている。
 基本法制定の際の議論で、共通認識とされたのが、日本の国土は脆弱であるということだった。この脆弱な国土をどう強靭化していくかが、基本法の精神になっている。5年ごとに見直されることになっている計画だが、それぞれの地域の実情にあった計画がたてられるかどうか、きちんと見ていくことが重要である。
 災害は常に想定外で起こる。その想定外に備えることが危機管理である。結局、最後に耐えるのはわれわれ市民であり、ソフト面が強くならないと災害に強い国にはなれない。
 私たちが地域活動として被災者に対して何ができるか、いくつかの取り組みをみてみよう。東日本大震災の際、東京都の取り組みで好評だったのは、「中古車の貸し出し」で、ガソリンを満タンにした中古車を自由に使っていただくという取り組みだった。
 被災地に物資を送るという支援は一般的だが、時期と品目を選ぶことは大切である。物資があふれかえり、避難している人たちのスペースが制限されている避難所も多く見かける。炊き出しをどこまでやるかも常に課題になっている。不安でいっぱいの被災者、ものすごいストレス状態にある人たちへの炊き出しは大変に有効だが、炊き出しに適した環境ではない。悪条件の中で、どこまでやるかが問題になってくる。自分たちの持っている戦力、材料、被災者の状況等を考慮して、たくさん議論をしながら取り組んでいるのが現状である。
 関東大震災の時の後藤新平のようなリーダーシップが必要との声があったが、今、成熟社会の対策として学ぶとしたら、将来を予測して都市作りをしていく点だろう。関東大震災後に作られた同潤会アパートや横浜の山下公園が、その後果たした役割は大きいといえるだろう。
 ただ、被災地であっても、その地に住み続けたいと願う被災者が圧倒的に多いことも忘れてはならない。このことこそ、国土強靭化での大事な視点になる。

北方領土問題研修会

講師の山内聡彦さん

 この研修会は、独立行政法人北方領土問題対策協会との共催で、毎年開催しているものです。
 まず、内閣府北方対策本部山本茂樹審議官が、国としての最近の取り組みを紹介しました。続いてNHKの山内聡彦解説主幹の講演、「プーチン訪日延期〜どうなる北方領土交渉〜」がありました。
 北方領土問題は、これまで何度も進展の期待と挫折を繰り返してきた。今年のプーチン訪日の予定が来年に延期となったのもその一つである。
 最近の日ロ関係は、最悪から好転へと動いてきた。2010年のメドベージェフの北方領土訪問で関係が最悪になったところ、11年の東日本大震災に、ロシア国民の弔意の表明をきっかけに関係が上向き、12年のプーチン、安倍政権発足で関係は好転した。
 両国の信頼関係も増し、ロシア側もシベリア極東の開発を進め、アジア太平洋への進出を図りつつ、中国一辺倒ではないバランスのとれた関係を求めており、それは日本の思惑とも合致している。
 しかし、ウクライナ危機が起こり、欧米は対ロ制裁を実施。孤立化するロシアは、中国に接近し欧米に対抗しようとしている。板挟みの日本は、ロシアと対話を維持しつつ、G7と対ロ制裁で協調もしている状況である。
 これまでどうなっていたかを整理してみよう。北方4島(歯舞、色丹、国後、択捉)は一度も外国の領土になったことのない日本の固有の領土であり、ソ連は、日ソ中立条約を無視して対日参戦し、日本の降伏後に4島を占領した。ソ連時代、北方領土は忘れられた辺境の地であり、日本の支援で自力開発の道を模索していた。ソ連との領土交渉は、思うように進まず、首相は3回しか訪ソしていないし、ソ連は領土問題の存在すら認めていなかった。
 ロシアとの領土交渉で失われた3つのチャンスがあった。92年ソ連崩壊直後、ロシア側から2島返還、2島継続協議の秘密提案があったが、日本側が拒否。97年のクラスノヤルスク合意では、2000年までに平和条約締結に全力をつくす、98年の川奈提案では、ウルップ島と択捉島の間に国境線、日本の主権を認めれば返還時期には柔軟対応すると提案したが、ロシア側は拒否し、エリツィンは退陣した。01年のイルクーツク首脳会談で、日本は歯舞・色丹は返還協議、国後・択捉は帰属を協議と提案したが、ロシア側は拒絶した。
 では、今後どうなるのか。プーチンは、かねてより「ひきわけ」という言葉を使っている。どんな引き分けなら日本側も受け入れられるのかが問題になってくる。4島一括返還や2島返還、2島継続協議というかつての提案は二度と実現しないと言われている。国民の大半が返還に反対し、ロシア国内のナショナリズムが高まってきているからである。
その中でプーチンが決断できることは何なのか。2島返還+共同経済開発をどう考えるのか。ロシアの専門家は、今後中国の介入が顕著になる前に、早目の妥協が必要という意見を述べている。日本として、プーチンと真っ向勝負をし、経済協力を武器に返還を勝ち取る道を歩むのがよいのではないか。

ビザなし交流に参加して

 本年度のビザなし交流に参加した徳島県の藤田育美会長と吉成由美子副会長が報告を行いました。吉成副会長はたくさんの写真をもとにロシアの人々と交流につとめたことやえとぴりかの船内の様子を紹介。藤田会長は、北方領土問題については理解をしているつもりでも、学びが足りなかったと反省した。1回のビザなし渡航にもたくさんの税金が使われており、参加した人は、地域や全地婦連ではもちろん、あらゆる機会を得て、報告していくべきである。これからも北方領土返還運動を盛り上げていきたいと熱く語りました。

藤田育美徳島県会長
吉成由美子徳島県副会長