459号(14年11月)

第62回全国地域婦人団体研究大会 福島県で開かれる

 第62回全国地域婦人団体研究大会が、10月19日・20日に、福島県会津若松市の公立大学法人会津大学、會津風雅堂を会場に、「世界に誇れる安心、安全な“うつくしま ふくしま”の新生」〜次世代に持続可能な環境を〜をテーマに、全国の会員2000人が集い開催されました。2011年の東日本大震災で未曾有の被害を受けた福島県で、予定通り全国大会が開催できたことに、地元福島県の会員をはじめ全国の会員が感動をもって参加しました。また、今回の大会は、第52回北海道・東北ブロック大会、第65回福島県女性大会としても開催されました。

柿沼トミ子会長
齋藤幸子福島県会長
講師の柳澤秀夫さん

 第1日目は、会津大学の講義室や講堂をお借りして、5つの分科会を開催しました。世界初といわれる「地震・津波・原発事故・風評」の四重苦の福島県では、復旧、復興の道のりはまだまだ厳しい状態ですが、大会中は快晴に恵まれました。
おそろいの桜色のジャンパーで、福島県の会員の温かなおもてなしの心いっぱいの笑顔に迎えられ、美しく色づき始めた木々に囲まれた広大な大学構内の会場に足を踏み入れると、元気な福島の印象が大変強く参加者の心に残りました。
 分科会終了後は、東山温泉御宿東鳳へ移り、懇親会。全地婦連柿沼トミ子会長、福島県齋藤幸子会長の挨拶に続き、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の安藤よし子局長、株式会社ちふれ化粧品の片岡方和代表取締役社長の来賓挨拶や、歯舞漁業協同組合から福島県への感謝状の贈呈などが行われました。また、懇親の席を盛り上げようと、会津彼岸獅子をはじめ福島県の伝統芸能やフラダンスが披露されました。
 2日目は、會津風雅堂を会場に、全体会が開かれました。オープニングは、会津婦人会保育園児35人の「白虎隊」。そのりりしい姿に拍手が鳴りやみませんでした。
 開会行事では、全地婦連柿沼トミ子会長が、復興に前向きに取り組みながら、全国大会の開催を実現させた福島県の皆さまに謝辞を述べ、女性が活躍する社会作りに、地域活動の現場から積極的に参加していくことの重要性や、中華全国婦女連合会との交流など、民間での女性の交流の重要性を認識しながら、今後も活動を続けていきたいと挨拶しました。
 福島県の齋藤幸子会長は、開催決定後、東日本大震災に遭いながらも本日まで前向きに力を合わせて活動を続けてきたことを報告しました。
 続いて内閣府特命担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣の祝辞の代読ののち、佐藤雄平福島県知事、平出孝朗福島県県議会議長、室井照平会津若松市長が挨拶に立ちました。
 記念講演は会津若松市出身の、NHK解説主幹の柳澤秀夫さん。「記者生活37年から見えてきた世界、そしてふるさと“ふくしま”」と題して、現在担当している朝の番組「あさイチ」のエピソードを紹介しながら、テレビというメディアのあり方やふるさと会津への思いを語りました。
 テレビの世界は、基本的には予定調和の世界だけれど、今のあさイチにはそれがない。生で肌で感じたことを大事にしていく番組で、それが面白味につながっていると思う。テレビは普通、100の情報を20に削ってテレビのフレームにのせていっている。そのことが、ゆがんだ現実を映し出すことになることもある。テレビの中に全ての真実が映し出されているわけではないことは、承知しておく必要がある。
 こうして故郷に帰ってくると、しみじみと故郷っていいなと思う。「ならぬことはならぬ」を大切にする風土の中で、背筋をぴんと伸ばして、前を向いて生きていきたいと願っている。後ろばかりを振り向いていてもどうしようもない。前を向かないと、自分の進む道筋は見えてこない。これからもきちんと背筋を伸ばしていこうと話しました。
続いて、宣言・決議を採択しました。

全員で「全地婦連の歌」を斉唱

各課題で熱心な討論 分科会の報告

 全国地域婦人団体研究大会の初日には、5つの分科会が開かれました。その様子を報告していただきます。

第1分科会 男女共同参画の推進

助言者=千葉悦子福島県男女共生センター館長/福島大学うつくしまふくしま未来支援センター天野和彦特任准教授


 階段状の大講義室へ百人余の会員が参加し、従来と異なる場所は少し緊張の雰囲気を漂わせる開会となった。
 事前計画と当日打ち合わせのタイムスケジュールに大きな食い違いがあり、運営関係役員は困惑し、肝心のテーマ確認の徹底もせず天野先生の基調提言となった。
 60分の提言の中で、突如として襲い来る自然災害の様子を阪神・淡路大震災、中越大震災、東日本大震災と比較し、共通点、特異点を見直し、客観的に分析し、復興へ向けた足場作りが大切であり、何よりも心の復興、人間性の復興を重視すべきと結ばれた。
 休憩なしで第2の提言は千葉先生である。飯舘村の復興を男女共同参画の視点で分析し、女性パワーの躍進は、災害を冷静に受け止めいち早く地域住民の将来に向けての行動力の促進力となり牽引力となり得ると結ばれた。
 提言後、積極的な質疑応答、意見交換があったのに、十分な時間をとれず、参会者の不満と不平が尾を引き、反省材料となった。

第2分科会 食と健康

助言者=福島県保健衛生協会・吾妻明子いわき地区センター長/ヘルスケア・トレーナー、心理相談員浦山北斗さん/福島県農林水産部農産物流通課主幹・和田山安信さん

 福島県民の検診を受託している保健衛生協会から、震災前後の検診結果について報告があった。震災後は全体的に肥満度、中性脂肪、血糖値が上昇していた。これは原発事故で避難を余儀なくされた方々に顕著であった。外出の機会や野菜摂取が減り、外食が増えたことによるものと推察された。
 県農林水産部からは、震災後の放射線被害による農産物の検査の方法や、安心して購入していただくためのPRの方法、風評被害払拭に向けた熱意ある取り組みなどの報告があった。
 参加者からは放射線被害に対する県民調査についての質問や、福島県産農産物が安全であることをもっと分かりやすく消費者に示してほしいなどの意見が出され、参加者から福島へエールが送られた。
 2人の講話の間には、手軽にできるストレッチングや、健康寿命を伸ばす筋力トレーニングの方法が紹介され、楽しく体を動かしリフレッシュできた。

第3分科会 環境・エネルギー

助言者=加藤康司日本大学上席研究員元教授・東北大学名誉教授/東之弘いわき明星大学教授

 タイムキーパーとして重要な任務をあずかり、緊張の中で第3分科会が開催された。
 はじめに環境とエネルギーをどう見るか、多くの例を挙げ話をされた。競争と戦いに明け暮れる男性たちに警告を発し続けた3人の女性(レイチェル・カールソン、デニス・メドウズ、シェリー・アンダーソン)の話をされ、日本にも発し続ける女性がいるが、男社会はそれを取り上げてくれることはない。
 また、最終エネルギーを考えたとき、あらゆる技術はよくなっているが、必要とするエネルギーは2014年を境に減っていき、再生エネルギーが進んでいくのではないか。
近年は猛暑日や大雨の日が続き、二酸化炭素が増えてきており、地球温暖化は深刻である。
 日本には資源がなく深刻な問題であり、そのためには省エネルギー(無駄遣いをしない)が大切であることを話されました。

第4分科会 高度情報化社会

助言者=清野正哉会津大学文化研究センター上級准教授/弁護士田代圭さん/弁護士植田高史さん

 素晴らしいお天気に恵まれた大会、第4分科会は、休憩も5分という充実した内容でした。3人の講師から持ち時間をしっかり使って基調提言をしていただき、個人情報やIT教育について活発な意見、質問も出されました。講師それぞれから指導助言がありました。
 高度情報化社会では、どれだけ情報が多くとも、それらを扱う能力が重要。これらの能力を培うために、大学や各弁護士会といった専門家と協力し、情報教育を通じて情報を扱う能力を高めていくことの有用性も確認されました。「要は料理と同じで、どれだけ豊富な食材があっても、その食材を扱う能力がなければ、良い料理はできません。情報を扱う能力は、食材を料理する能力と同じなのです」と言われたことばが心に残りました。
 情報に使われるのではなく、情報を正しく使うことの必要性や重要性を改めて感じた分科会でした。

第5分科会 日新館教育から現代を学ぶ

助言者=宗像精日新館館長

 宗像先生は「什(じゅう)の掟」について、年長者の言うことに背かず礼をつくす。嘘を言わず卑怯な振る舞いや、弱いものいじめはいけない。ならぬことはならぬ。人として恥ずべき行いをしてはいけないと、当たり前のことを教えている。五常の仁義礼智信については、日本人はいかに感性に優れた国民か、もっと感受性と情緒性を学ぶことが重要と指摘されました。
 また、子どもたちに教えている「あいづっ子宣言」には、会津を誇る心を持ち、夢に向かって頑張ることが盛り込まれ、会津藩校日新館教育が伝承されている。
 今なぜ、ならぬことはならぬのか? 家庭、学校、社会教育はもとより、あらゆる所で当たり前のことが成されていないからであり、人として何をなすべきかを深く考えてほしいと先生は強い問題提起をされました。
 その後、福島県ならではの企画で、一刀流剣詩舞道の実演があり、息を凝らした会場は静寂につつまれました。