445号(13年9月)

立ち入り禁止区域の浪江町へ(福島県)


津島地区内国道114号トンネル
 福島県の原発被害地区双葉郡8町村、双葉郡連合婦人会(8婦人会)は現時点で、(1)避難指示解除準備区域(2)居住制限区域(3)帰還困難区域‐‐に線引きされ、住民は生活基盤の崩壊から県内外に避難生活を余儀なくされ、「帰りたくても帰れない」状況です。

福島県婦人団体連合会会長 齋藤幸子

 7月26日、県婦連役員20人は、立ち入り禁止地域の浪江町を訪問しました。浪江町婦人会松本トミ子会長の協力で、町から通行許可証の交付を受け、マイクロバスで福島駅西口を午前10時に出発しました。
 梅雨明け前の悪天候の中、道路の両側が雑草に覆われた阿武隈山系、国道114号線を走り、太平洋沿岸の浪江町へ向かいました。
 0・25マイクロSvを超えると鳴る線量計を持参しましたが、途中連続して警報が鳴り続き、車内の最高計量で9・69マイクロSvと高い場所も通り、車外の数値を想像して恐ろしさを実感しながら検問所を通過、70キロを走行して浪江町役場に到着しました。

荒れ果てて、ゴーストタウンに


倒壊したままの家屋
 ここからは町の職員の方にも同乗していただきました。町内は立ち入り禁止区域で、震災当時のままです。稼働しているのは信号機だけで、荒れ果ててゴーストタウンになっていました。
 津波被害に遭った請戸地区(800世帯)では、280人余の方が亡くなり、建物すべてが跡形もなく、津波にのみこまれました。自衛隊や警察官のみなさんの防護服を着た作業のおかげで、海岸地区は平地の荒野となっていました。一隅に立つ慰霊碑に一同礼拝し、ご冥福を祈りました。
 悲惨な説明の中でほっとしたことは、請戸小学校では日常の避難訓練のおかげで、全校生徒が無事に避難したということです。訓練の重要性を実感しました。この浜の前方に東京電力福島第一原子力発電所の建物が見えると説明されましたが、残念ながら霧で確認できませんでした。マスメディアから惨状は把握していたつもりでしたが、実際に訪れて想像以上の現状に胸を痛めました。
 原発事故災害収束実現、風化阻止のため、来年福島県で開催する、第62回全国地域婦人団体研究大会。福島からの発信を自覚して、福島駅に午後4時着。155キロ走行の有意義な視察研修の旅でした。

希望をもって
福島県婦人団体連合会評議会(浪江町婦人会長) 松本トミ子


少しでも前向きに生きようと自らもボランティア活動

 そのような中でも、受け入れ先の婦人会や近所の方たちの温かい支援をいただいて、少しでも前向きに生きようと自らもボランティア活動に参加する会員も多数いて、心強く思います。
 7月26日には福島県婦連の役員が、「自分たちの目で被災地を確かめよう」と、浪江町職員の案内で視察をしてきました。
 町内では、崩れたままの家屋や塀を目の当たりにし、沿岸部の請戸地区では津波被害で土台だけになり、草原のような状態になった所に漁船が横たわる惨状はとてもつらい光景でした。交差点の一角に作られた慰霊塔の前で黙とうを捧げ、涙しながら帰路に着きました。

命がけで働く原発作業員


この先帰還困難区域につき通行止め
=浪江町津島地区
 いまだに収束しない原発ですが、中で働く作業員の中には「おれが行って全部が終了するなら、なんぼ線量を食ったっていい」と、命がけで作業している人が多いと聞きます。
 ネズミや動物の被害で帰れると思っていた家にはもう帰れないので、新しい土地で生活をはじめたという人もいますが、どこにいても命がけで頑張っている人を忘れず、希望を持って前向きに生活していきたいと思っています。