429号(12年5月)

どこへいくのか!?国民生活センター

■国センの見直し問題

 消費者庁、消費者委員会が設立されて、本年9月で3年を迎えます。消費者行政の司令塔、監視役との大きな期待を受けて発足した両組織ですが、予算や事務局規模がまだまだ不十分です。
 消費者庁及び消費者委員会設置法の附則3項では、3年以内の検討が約束されていましたが、なかなか着手されず、3年目を迎えていました。
 ところが、独立行政法人改革の中、2010年12月7日、突然、国民生活センターの在り方の見直しとして、直接相談、研修施設の廃止が決まり、組織の見直しとして、「消費者庁の機能を強化する中で、独立行政法人制度の抜本的見直しと並行して、消費生活センター及び消費者団体の状況等も見つつ、必要な機能を消費者庁に一元化して法人を廃止することを含め、法人の在り方を検討する」と行政刷新会議関連の閣議決定が行なわれました。
 国民生活センターは苦情相談業務、情報の収集業務、普及啓発業務等を担う組織として1970年に発足、その後、商品テストや相談員養成等を行ってきました。地方消費者センターの支援業務も大きな役割の一つです。地方で解決困難な案件を国民生活センターで引き取りあっせんする経由相談の利用は年々増えており、地方消費者行政にとって、なくてはならない組織となっています。

■茶のしずくにも対応できなかった消費者庁

 これに対し、福嶋長官は、いわゆるプロパー職員(他省庁からの出向者ではなく、消費者庁生え抜きの職員)がいないことが原因の一つである、と釈明しましたが、委員からは、「プロパー職員がいれば消費者目線が持てるという問題ではないだろう」との指摘が相次ぎました。
 国民生活センターからは、「センターの機能はすべて相互補完しあうものであり、一体性が重要」とのこれまでの主張が再度行われました。
 第5回の消費者庁ヒアリングの中では福嶋長官が、茶のしずく石鹸の件について、「厚生労働省が調査しまとめた資料の中で社名を公表しないと判断したものを、消費者庁として社名公表をすぐに決められたかどうかは、かなり難しいケースだったと思う」との発言がありました。
 本来、こうした問題に迅速に対応するために消費者庁が設立されたのであり、これは非常に問題のある発言だったといえます。

■反対する消費者団体

 先の閣議決定に対し、消費者団体等は「国民生活センターがこれまで果たしてきた役割は大変に大きく、すべての機能を守るべきである」と反対しましたが、消費者庁と国民生活センターは、両者の代表をメンバーとしたタスクフォースでの検討を開始し、2013年度からの消費者庁への一元化を決定しました。
 これを受けて、政務3役による会議が開催され、細野大臣が「試行・検証を実施し、然るべき時期に政務として判断する」と決定。さらに、国民生活センターの在り方に関する検証会議が設置され、消費者団体、学識経験者、弁護士、地方消費者行政等の委員が参加の上、7回にわたり審議し、「国民生活センターを国に移管するのが現実的としながらも、政府から独立した法人との選択肢も留意する」という中間取りまとめを行いました。
 しかし昨年末の12月27日、山岡大臣が「国への移管が妥当とし、附則3項に基づいた検討を行なう会議体の設置」と発表、現在「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」が開催されています。
 検討会は、検証会議のメンバー3人に新たに学識経験者や消費者団体の代表等を加え、これまでに6回開催され、地方行政、消費者団体、事業者団体等からのヒアリングを実施してきました。
 そこで多く出されたのは「消費者庁が消費者行政の司令塔としての力を発揮していない」という意見です。消費者庁は、短時間にわずか200名の出向者で設立されたため、機能発揮が難しい面があるとの意見もでましたが、やはり残念だとの声が多く聞かれました。

■消費者庁の機能発揮を

 消費者行政の司令塔の役割を果たすために、何をすべきか、国民生活センターの在り方だけに議論をまとめるのではなく、消費者庁や消費者委員会の在り方もあわせて真剣に議論し、体制を整えていくべきです。
 行政法学者からは、国民生活センターの消費者庁への一元化が、法的には妥当であるともとれるような発表も続いています。
 しかし、万が一消費者庁へ一元化された場合、消費者の視点に立った相談・あっせん、商品テストやADR(裁判外紛争解決手続)が、現在のように柔軟性をもって実施されるのか、また、消費者庁を含む各省庁へ自由に意見提出ができるのかについては、大きな疑問があります。
 松原大臣は、消費者団体と意見交換の機会を頻繁に作っています。公式に開催される会議との関係が不明瞭ですが、政務決定を行う大臣として、多くの意見を聞こうという姿勢は評価できます。
 今後、急ピッチで議論が進むと予想されますが、学者の理論上・法解釈上の見解で組織の在り方を議論するのではなく、現場に密着した「消費者目線」での検討を重ね、結論が導き出されることを、強く望みます。

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