424号(11年12月)

第59回全国地域婦人団体研究大会
秋晴れの三重県で開催!

伊勢安土桃山文化村で行われた全体会であいさつする中畔全地婦連会長
  11月17・18日、三重県の賢島宝生苑と伊勢安土桃山文化村を会場に、第59回全国地域婦人団体研究大会を開催しました。秋晴れのさわやかな日差しに、美しい英虞の海と輝く島々を見下ろす賢島宝生苑。初日はこの格式ある旅館を会場に、分科会と懇親会が開催されました。

 初日はお昼過ぎに受け付けを済ませたあと、5つの分科会で熱心に学び、意見交換を行いました。

 また、夜の懇親会には翌日の全体会で来賓あいさつをいただくみなさまと、志摩市長、三重県の関係部局や分科会で助言をいただいた専門家のみなさまにもご臨席を賜り、三重県ゆかりの舞踊などが披露される中、素晴らしい交流のひと時を過ごしました。


全体会で行われた東日本大震災の義援金の目録贈呈の様子
(第4次支援として岩手・宮城・福島の3県に各1,000万円を贈呈)
  2日目は、伊勢安土桃山文化文化村で全体会を開催しました。
 主催者あいさつに続いて、内閣府・文科省・厚労省のみなさまと、三重県知事の代理として副知事、三重県議会議長、伊勢市長のみなさまより来賓あいさつを賜り、記念講演として神津カンナさんのお話を聞きました。

【主な来賓の方々】   (懇親会・大会ともに)
      ※他にも多くの方にご臨席賜りました

内閣府男女共同参画局総務課長 木下  茂様
文部科学省大臣官房審議官
(生涯学習政策局担当)
伊藤 洋一様
文部科学省生涯学習政策局局長 板東久美子様
厚生労働省大臣官房審議官
(雇用均等・児童家庭・少子化担当)
石井 淳子様
三重県副知事(知事代理) 安田 敏春様
三重県議会議長 山本 教和様
伊勢市長 鈴木 健一様
志摩市長 大口 秀和様
(株)ちふれ化粧品代表取締役社長 片岡 方和様

  一日目の分科会は次の5つのテーマで、助言者やシンポジストによる貴重なお話を伺い、質疑応答で内容を深めました(概要は下段を参照)。
  (1)男女共同参画
  (2)総合防災力アップ
  (3)健康づくり
  (4)環境問題
  (5)青少年健全育成
  また二日目は、伊勢安土桃山文化村で全体会が開催されましたが、伊勢神宮ゆかりの古式ゆかしき雅楽と舞によるオープニングです。
  古来より神をまつり神と共に生きてきた伊勢の歴史と文化を感じながら、来賓のみなさまの心温まる祝辞を頂戴したあと、神津カンナさんによる記念講演で環境問題を中心に現代社会で生きる心構えなどについて考えました。
  続いて前日の分科会のまとめの報告を受け、内容を共有しました。
  最後に、大会宣言・決議が読み上げられ、採択されました。

分科会概要

(1)男女共同参画〜地域における男女共同参画推進
  助言者の柏木はるみ三重県男女共同参画センター所長は事例を紹介。一つは東日本大震災による原発事故で避難所となった郡山市のビッグパレット福島での女性専用スペースの設置と支援活動の様子、二つ目は三重県男女共同参画センターが平成21年に作成した『三重の女性史』から、三重県初の女性代議士、教育委員会選挙に立候補した女性、そして三重県婦人会連絡協議会3代目会長の岩下かねさんを紹介。戦後日本が民主主義国家へ向かおうとする混乱期に、地域に根差しつつ「平等」「発展」「平和」のために尽力してきた女性たちの姿に学びました。

(2)総合防災力アップ
  シンポジウム形式で、東日本大震災の被災3県からの報告をもとに、今後の防災活動について協議しました。
  及川公子岩手県婦協会長は、内陸と沿岸地域との距離が非常に遠いながらも、4月以降、物資を直接被災地域に届ける活動を継続していること、今になって被災者のみなさんの心の疲弊が出ており、仮設住宅にお住まいの会員さんを訪ねての傾聴ボランティアなどの必要性を感じている、と報告がありました。
  三浦絢子宮城県婦連会長は宮城では亡くなった方の数が大変多く、会長の地元の東松島市も大変甚大な被害を受けています。
  ご自身は他地域へ所用で出かけていましたが、自宅一階が津波の被害を受け、何よりも地元と連絡が取れず会員のみなさんの安否がわからない状況に気がおかしくなりそうであったこと、その後みなさんの安否確認と支援のため、各地を訪ねた様子について報告がありました。
  齋藤幸子福島県婦連会長からは、地震・津波・原発・風評被害の4重苦に先の見えない避難生活を強いられるという、福島県民の置かれた状況が報告されました。会長の地元は川俣町で、原発事故直後、数千人の避難者を町として受け入れ、会長自ら日赤奉仕団の陣頭指揮をとり、毎日数千食の炊き出しを行い支援しました。

(3)健康づくり〜子どもの健康を守るために・寝たきりにならないために
  平岡健康開発研究所所長の平岡令孝さんは、近年の子どもたちの体力低下と、3〜9歳ごろは身体能力の基盤が作られる重要な時期であること、運動習慣とともに食生活も大変重要であることを指摘。超高齢社会を迎える中で各自が体を鍛え、将来介護や支援をできるだけうけなくて済む体作りが必要と述べ、旬子の「美意延年」(楽しい気持ちで心配ごとがなければ寿命も延びる)の極意は、一人でも多くのひとと出会い・語らいあい・笑顔を与えることであると述べました。

(4)環境問題〜食の安全・安心の確保・暮らしとエネルギー
  21世紀のエネルギーを考える会・みえ事務局長の服部勝さんは、資源の乏しい日本が今後も持続的に発展していくため、脆弱なエネルギー基盤の改善が重要だと指摘。
  三重県農水商工部農畜産室副室長の後藤健治さんは、食糧自給率向上をめざす「みえの地産地消運動」について、生産者と消費者との関係づくりが新たな価値の提供やライフスタイルの提案につながり、環境づくりにもつながっていると紹介しました。

(5)青少年健全育成〜子どもを見守り育てる活動
  助言者は伊勢市教育委員会教育長の宮崎吉博さんです。長年の中学校教員の経験から、「今も昔も子どもたちは変わらず健気で元気」で、失敗してしまった時にはその悔いる気持ちに寄り添うことや、大人が子どもの知識や感情レベルを確かめ、正しい判断ができる土台を作ることが大切で、子どもが感情的になっている時こそ、自分が今この子なら?と想像し、冷静に関わっていくことが必要、といいます。大人の果たす役割の重要性とそのあり方について意見交換しました。

記念講演
      エッセイスト 神津 カンナさん

  日本のエネルギー自給率は原発以外で4%前後。食糧自給率も40%を切り、日本の国力は脆弱と感じる。ガスもLNGも中東などに依存し、今後は高値で購入せざるを得ないかもしれない。
 一方、地震大国の日本で原発を維持するのも、再生可能エネルギーを一気に増やすのも難しい。コスト削減、省エネ、節電などあらゆる努力が必要で、技術開発による新たなエネルギーの可能性を考えることも重要。
 また、日本は電気料金が高い、と言うが、欧州はもっと高い。それは北海油田が産出のピークを過ぎてしまい、各国とも様々な国から石油等を輸入しているため。日本も今後は腰を低く構えて、節約も含めて様々な方法でエネルギーを確保していく必要があるだろう。
 ただ、日本人は数字のリテラシーが不足している傾向にある。
 無添加とか無農薬というが、「無」や「ゼロ」を絶対視してしまうと、それ以外のものをなかったことにしてしまうことにもつながる。無添加以外のものは認めない、0・11といった数値もゆるさないといったことがそう。それでは日常は暮らせない。
 いま日本は様々な課題を抱えているが、そういう中にあっても日本が沈没しないように、ありったけの知恵で生きていく構えが必要であろう。

《宣 言》
  いま、私たちは、経済の疲弊、政治不信、年金や医療などの社会保障制度の硬直化、悪化する環境問題などによって、将来への不安を募らせ、暮らしが揺らいでいます。さらに東日本大震災は未曽有の被害を我が国にもたらしました。
  私たちは、これまでの地域と暮らしに根付いた取り組みや成果を引き継ぎ、地域社会の安定と持続可能な社会の発展をめざし、一人ひとりの絆を大切にした地域づくりの先頭に立って、諸問題の解決に一層努めます。併せて東日本大震災からの復興に向けた取組を支援してまいります。
  私たちは、本研究大会で協議した成果を全国に発信し、直面する諸問題の解決のため関係機関への提言を行なうこと、安全・安心な地域社会づくりを推進することを宣言します。
《決 議》
1.  男女共同参画社会基本法が制定され12年目を迎え、第3次基本計画が進んでいます。固定的役割分担意識を解消し、尊厳を持って個人が生きることのできる社会を目指し、私たちは、女性の活躍の場をさらに拡大し、各種審議会や懇談会等の政策・方針決定過程への参画の機会を捉え、生活者としての率直な声を届けます。
2.  東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故は、エネルギー政策を根本から見つめ直す課題を私たちにもたらしました。地球温暖化防止のために、持続可能なエネルギーによる活力ある国づくりと快適な暮らしを実現していくための政策を考えなければなりません。私たちは、日々の暮らしの中で、一層具体的な活動を通して二酸化炭素の削減に取り組むことが求められています。
 また、生活に深刻な影響を与えている放射能汚染については、適切な情報公開と除染を強く求めていきます。
3.  我が国は、少子高齢や人口減少社会の到来、厳しい地方の財政状況等を背景に、社会全体に閉塞感が広がり、住民の声が届きにくい状況にあります。私たちは、「新しい公共」の主体となり得る意欲と多様な力を備えていることから、地方主権の今こそ行政はじめ多様な主体と連携・協働し、積極的に地域コミュニティーを再生する役割を担っていきます。
4.  消費者庁が発足し2年が経過しましたが、様々な消費者被害が増加し続けており、国民の安全・安心を確保することが大きな課題です。私たちは、消費者庁並びに地方消費者行政のさらなる充実・強化を求めていくとともに、消費者被害の未然防止や拡大防止のために地域活動を通して消費者啓発活動に取り組みます。
5.  安全で安心できる食料を確保していくことは国の責務です。現在、日本の食料自給率は40%を切る、極めて低い水準となり、国内での食料自給率を一層高める必要があります。私たちは、生産者と消費者の顔の見える関係づくりを大切にするとともに、流通事業者も一体となった地産地消や食の安全に取り組みます。
6.  子どもたちが、安心して心豊かに育つことができる環境づくりが一層求められています。私たちは、人と人との絆を信じ、共に育ちあうことのできる「居場所と出番」の提供に努め、次代を担う子どもたちの健やかな成長に向けた人的ネットワークづくり支援に取り組みます。
7.  全国的な病院・医師不足などの医療問題、年金問題や介護の担い手不足など、社会保障政策に関わる深刻な問題が不安を招いており、その深刻さが増しています。私たちは、誰もが住み慣れた地域で安心してくらせる社会保障政策の実現を求めていくと共に、生涯を通じた女性の健康と命を守る活動を進めます。
8.  あらゆる国の核兵器廃絶の推進を目指し、非核三原則の法制化を求めます。戦争体験の次世代への伝承を積極的にすすめるには、正しい過去の歴史認識こそが、未来への道標となります。日本が二度と戦争をしないよう、現憲法をしっかりと守り、沖縄の基地問題にも取り組みます。
9.  北方領土四島一括返還の早期実現にむけて関係機関へ要請します。併せて、歯舞昆布等の頒布や、元島民の話を聞く会等を通して、私たちは家庭や地域から国民世論の喚起を目指します。

2011年11月18日                          
第59回全国地域婦人団体研究大会

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