421号(11年9月)

安全な牛肉を届けるために罰則を伴う規制作りが進んでいます

 富山県等の焼肉店で発生した腸管出血性大腸菌による食中毒事件では、子どもも含め、死亡者や多くの重傷者が出たことがまだ鮮明に記憶に残っていると思います。
 この事件を受けて厚生労働省は、生食用食肉に関して罰則を伴う強制力のある規制が必要と判断し、生食用食肉の規格基準について審議しています。規格基準(案)の主な要素は次の3つで、食品安全委員会の評価結果を踏まえ、この10月の施行を目標に法改正などの手続きを進めています。

*対象食品を牛肉とすること
*対象微生物を腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌とし、腸内細菌科菌群をこれらの指標とすること
*対象微生物汚染の低減のため、原料肉の加熱殺菌など加工基準等を設定すること

食品安全委員会の評価

 食品安全委員会は、8月4日の「微生物・ウイルス専門調査会」で、この厚生労働省規格基準(案)についての評価を取りまとめ、パブリックコメントを経て、厚生労働省へ答申しました。具体的には次のとおりです。

(1)生食用牛肉が食される段階の目標菌数である「摂食時安全目標値(FSO)」については、国内で起きた過去の食中毒の最小発症菌数から推測して、0・04cfu/g(※)よりも小さな値とすべきであり、ヒトの感受性の個人差や菌の特性にも留意が必要であること。厚生労働省の(案)ではこの値を0・014cfu/gとし、食品安全委員会の示した数値よりも低くなっているが(3倍弱のリスク低減効果)、これはより安全な立場に立った目標値であると評価しました。

(2)加工時の目標菌数である「達成目標値(PO)」を、(1)の食する際の目標値(FSO)の1/10とすることについては、流通・調理時の適正な衛生管理下では相当の安全性を見込んだものとして評価しました(食される前までの過程での菌の増殖を踏まえた数値)。

(3)生食用食肉の加工基準に関しては、フードチェーンのできる限り上流から衛生管理されなければならないという理念に基づくが、厚生労働省から提案された加工基準は一定の食中毒リスクの低減効果はあるものの、必ずしも効果が得られない可能性があることから、微生物検査も組み合わせることが必要、と指摘しました。
 
※cfu/gは、菌数の測定単位

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