407号(10年7月)

全地婦連リーダー研修会報告
〜男女共同参画・消費者問題・地域社会

 6月15・16日、国立女性教育会館(ヌエック、埼玉県嵐山町)で、全地婦連のリーダー研修を開催し、約100人が参加しました。初日は、雨の心配をよそに真夏を思わせる太陽のもと、全国の地婦連会員が埼玉県の川越駅に集合し、はじめにちふれ化粧品の工場を見学しました。

1日目


「ちふれ化粧品について学ぶ」

 川越駅からバス2台に分乗して走ること約30分弱、工場の前で社員さんたちに迎えられ、用意いただいた会場に着席した後、全地婦連の中畔会長と、(株)ちふれ化粧品の松井社長よりあいさつがありました。その後、2つのグループに分かれて、ちふれ化粧品の誕生と発展を詳しくまとめた映像で学び、工場見学も行いました。
 今では当たり前ともいえそうな「消費者の視点に立った商品づくり」を、非常に早くから実現してきた地婦連と(株)ちふれ化粧品の努力の軌跡に改めて思いを馳せました。こうした歴史を、今後の地域での普及活動にも結びつけていきたい、といった意見が多く聞かれました。

「DV(配偶者暴力)防止」

 その後、同じ会場で「配偶者暴力(DV)」についての研修も行いました。これは、内閣府男女共同参画局が作った映像「配偶者暴力防止のために〜配偶者暴力防止法のしくみ」(制作は(株)桜映画社)を見て、DV問題の現実と、配偶者暴力防止法そのものの仕組みと、行政、警察、医療機関、シェルターなど、被害者の支援がどのような形で行われているのかについて学びました。35分でたいへんわかりやすくまとめられており、こうした啓発教材や学びの機会を通じて、これからはどんな地域でも、DV問題をもっと当たり前に話題にできるようにしていくことが大切であることを共有しました。
 DV研修のあとは、再びバスに乗り込んで国立女性教育会館へ移動です。40分ほどで会館に到着し、各自部屋に入ったあと夕食をいただき、その後、研修棟の会場に再集合して、神田道子国立女性教育会館理事長の講演を伺いました。(概要は次号で報告します)


2日目

 2日目は、男女共同参画と消費者問題がテーマです。朝食後、前日同様、研修棟に移動して講義を聞いたり、グループ協議などを行いました。

「男女共同参画と私たち」

(1)男女共同参画第3次基本計画について
内閣府男女共同参画局推進課長 藤澤 美穂さん

  今年度は、2005年に策定された国の男女共同参画基本計画の見直しの年で、年内の閣議決定を目指し、国民の意見も求めながら検討が進んでいます。
  そこで、藤澤内閣府男女共同参画局推進課長より、男女共同参画会議基本問題・計画専門調査会で行われた10年の振り返り・反省と、4月にまとまった第3次基本計画策定のための中間整理を提示していただきつつ、これから社会全体として取り組んでいくべき課題について考えました。

(2)男女共同参画と防災
 災害・防災分野では、どうしても男性主導になりがちで、女性は炊き出しなどの後方支援のみが期待されがちです。しかしそれだけでは、地域の安全安心に十分つなげることはできません。あたらしい時代の防災には、「男女共同参画」を欠かすことができないのです。
 そこで、全地婦連で防災を担当する事務局・浅野より、こうした災害・防災分野での女性のリーダーシップの発揮と、女性の視点を盛り込んだ取り組みを進めることの重要性について説明し、理解を深めました。

*女性ゆえの災害時の困難に対する理解(増大する家事や家族の世話の負担、衛生問題と健康、家族関係、仕事との両立困難、など)
*女性の視点による防災対策の改善(防災活動における固定的な性別役割分担の見直し、避難所の基準や救援物資の整備、女性の視点による地域での相互支援の在り方検討、女性支援や妊産婦の救援が災害時でも着実に行われるような市町村の対策マニュアルの改善)
*地域防災組織での女性の参画(地域全体の意思決定の場への参画)

くらし・地域と消費者政策

(1)出し合おう!くらしと地域における消費者問題
(2)高齢者・若者・女性を消費者被害から守るために
(3)意見交換・発表
消費者庁参事官 加藤 さゆり さん

 はじめに、参加者が事前に集めてきた身近な消費者被害の情報について、グループで報告しあいました。自分や、家族・親族知人・地域で見聞きしたことだけでも、多くの消費者被害が起こっていることが実感できました。
 半分寝たような状態やいらいらしているような状態のときにサギに引っ掛かりやすい、警察が話すと信用する、家族構成を調べていて催眠にかけるようにうまく話をしてくるので誰かに相談することが大切、クーリングオフ期間が過ぎていても相談すると解決することがある、といった、未然防止の知恵や相談の重要性なども共有できました。
 その上で、加藤さゆり消費者庁参事官より、消費者庁誕生の背景、地方消費者行政の重要性や、消費者被害の未然防止・拡大防止と消費者教育の重要性についてお話いただきました(=写真)。消費者教育は地域での啓発・学習も含みます。
 消費者団体の役割として、どんな消費者問題が起こっているか情報をつなぎ、地域で助け合う見守りネットワーク活動なども大切で、こうした情報や取り組みを、地域から市町村・県・全国でつなぎながら消費者の権利を守る取り組みが重要であると指摘されました。

<消費者被害事例>

  オレオレ詐欺に引っ掛かった、古い布団の引き取りサービス後に新しい布団を買わされた、同窓名簿に名前を載せると2〜3万請求された、栄養食品のねずみ講、息子が婦女暴行で示談が必要だからと言われ振り込もうとしたら銀行員にとめてもらうことができた、家を建てた際ムクの材料のはずが集成材だった、大学生の息子がタッチ商法で女性に声かけられ50万円のサプリメントを購入、携帯電話を水に落としたので電話番号を教えてとの連絡が入ったが話の途中で詐欺と判明、10年前に床下が湿っているといわれ工事したが次に耐震工事をしようとしたらひどい工事をされていたと判明、葬式用の積み立てサービスで返金依頼したら20%しか返さないと言われたが消費者センターに相談したら30%返ってきた、など

第3次男女共同参画基本計画 中間整理の特徴と具体的取組例
(内閣府資料より引用、一部省略)
  1. 国際的な概念や考え方を重視する
    ジェンダー、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ等の概念や考え方の重視

  2. 実効性あるポジティブアクション(積極的改善措置)を進める
    「2020年30%」(指導的立場への女性の進出を30%)の目標達成に向けて、強力なリーダーシップの下、取組を加速するための実効性あるポジティブ・アクションを進める
    ・ポジティブアクションの積極的な推進(クウォータ制、公共調達や税制等におけるインセンティブの付与の検討、2015年までの中間目標の設定)
    ・政治分野への働きかけ

  3. 世帯単位の制度・慣行を個人単位の制度・慣行へ移行する
     税制、社会保障制度、家族に関する法制などについて、男性片働きを前提とした世帯単位の制度・慣行から、個人単位の制度・慣行への移行に向けた見直しを行う。

  4. 雇用問題の解決を進める、セーフティネットを構築する
     M字カーブを解消し、女性が当たり前に働き続け、暮せる賃金を確保できるよう、雇用問題にしっかり踏み込む。貧困など、さまざまな困難を抱える人々の自立支援、女性であることでさらに複合的な困難を抱える人々への男女共同参画の視点に立った支援を行う。
    ・同一労働・同一賃金の実現に向けた実効性ある施策の検討
    ・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」における数値目標の達成に向け、実効性ある取組を推進。
    ・採用や女性管理職・役員の登用について、具体的な目標設定など、実効性ある推進計画策定の働きかけ
    ・母子家庭の生活の自立に向けた就業・子育て・生活支援、養育費確保のための方策の検討
    ・外国人への教育、住宅、就労支援、多言語での情報提供等

  5. 男性、子どもにとっての男女共同参画、地域における男女共同参画を進める
    すべての人が男女共同参画を自分の問題としてとらえられるよう、男性への積極的なアプローチや、子どもの頃からの男女共同参画の理解促進を図る。地域における方針決定過程への女性の参画を進める。
    ・男性が育児・介護休業等の両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備
    ・男性が経験を活かして地域活動に参画し、生きがいのある生活を送るための支援
    ・子どもの頃からの男女共同参画の促進と将来を見通した自己形成の支援
    ・自治会、商工会など、地域における方針決定過程への女性の参画拡大に向けた取組

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