405号(10年5月)

地球温暖化対策とくらし・社会@


低炭素社会づくりへの道筋

 現在、地球温暖化対策基本法案が国会で審議されています。
 この法案の特徴は、2020年までに1990年比で温暖化ガスを25%削減するとの目標が書き込まれ、過去何年にもわたり導入の必要性が言われながら見送られてきた、次の3つの重要な政策を実現すると盛り込まれている点です。
(1)「国内排出量取引制度」
(2)「地球温暖化対策税」
(3)「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」
 全地婦連では、環境NGOのグループとも連携し、具体的で効果的な対策を早期に導入することを求めてきました。
 基本法案の内容については様々なレベルで賛否もあります。しかし、これまで踏み込むことができなかった意欲的な削減目標の設定と、有効とされる政策の導入を明記したこと自体、非常に重要なことです。
 大幅なCO2削減に有効な方法・政策を導入すると、どうしても一定のコストが生じます。そのため、どのぐらいの努力が迫られる制度設計にするのかや、コストをだれがどう負担するのかで意見が対立し、政策論議が常に迷走してきました。
 コスト負担や国内の特に製造業への打撃が大きいのではないかと警戒する産業界と、産業界の意見に影響を受けた政治と経済産業省、一方で早期に効果的な政策を打ちたい環境省やNGO・専門家などによる提案内容は対立したままで、ほとんど調整されずに10年経過してしまい、現在も国内のCO2排出量は増え続けています。

低炭素社会化とくらしと負担

 鳩山政権では、過去の政権における足踏み状況を一歩踏み出して、意欲的な削減目標をかかげ、欧州を中心にすでに実施されている、CO2削減のための各種の政策も実施に向けて舵を切ろうとしています。
 たしかに、産業界だけでなく、国民生活にもある程度の負担が必要となる側面もありますし、厳しい対応を迫られる業種もあるでしょう。しかし、世界に先駆けて低炭素社会化を技術革新とともにリードできなければ、ものづくりでの国際競争力を保つことは難しくなるといわれています。
 加えて、資源の乏しい日本は、従来型のエネルギー・資源供給構造を変革できなければ、今後予想される世界レベルでのエネルギーや資源の獲得競争の中で、経済や暮らしのレベル維持が不可能となるかもしれません。
 厳しい状況におかれた農林水産業を活性化して、食糧自給率を上げ、森林のCO2吸収量増加と、土砂災害の防止、水源林の保全などを進める必要もあります。
 意識を変えよう
 低炭素社会づくりは、こうした現実を乗り越えていくための重要な処方箋でもあります。
 たとえば現在わたしたちの電気料金には、電源開発促進税が上乗せして徴収されており、これは原子力発電所の建設ならびに地元への還元に使われています。
 一方、ドイツで行われている環境税はCO2の削減を目的に導入され、電気料金等に(=エネルギー使用量に応じて)税が上乗せされる仕組みですが、低所得層には負担が生じないよう配慮され、税収は社会保障や産業支援・雇用拡大にも柔軟に使われています。
 国民の意識が変わらない限り政治(国)の姿勢は変わりません。
 国民一人ひとりが今の状況に危機感を抱き、具体的に声をあげて行動を起こすことが大切です。
 今後の政策動向に関心を持って行きましょう。

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