398号(09年10月)

エコナ関連商品に発ガン促進疑い物質
花王鰍ェ「特定保健用食品」取り下げへ

 花王(株)は「健康エコナクッキングオイル」とその関連商品に発がんを促進する疑いのある物質が存在するとして、9月16日にエコナ関連商品の販売自粛を決定。10月8日には「特保」(特定保健用食品※)を取り下げました(厚生労働大臣による許可の“失効届”提出)。
 近年欧州を中心に、グリシドール脂肪酸エステルという成分に発がん促進作用があるのでは?との議論があり、花王(株)がエコナ関連商品の検査を行ったところ、この成分が一般的な食用油よりもかなり高い濃度で確認されたためです。
 実はエコナについては、2003年に別の成分の安全性に対する懸念が厚生労働省の検討委員会で表明され、その安全性についても今も継続して国の「食品安全委員会」で議論されている状況です。

ぎりぎりまで特保取り下げ否定

 9月25日、東京で消費者団体が、食品安全委員会、厚生労働省、消費者庁、花王(株)の担当者を招き、〈緊急集会「エコナの安全性を問う会」〉を開催しました。
 食品安全委員会は「委員会での議論を経て科学的に危険性がみとめられれば勧告などを行う」と述べ、厚生労働省と消費者庁は「食品安全委員会で科学的な知見による何らかの見解が出されればそれに応じて対応を行う」といった型通りの答えの繰返しに終始。消費者から批判が続きました。
 特に消費者庁に対してはまだ発足したばかりとはいえ、「消費者の立場で仕事をするために出来たのではないのか」と落胆の声が相次ぎました。ちなみに特保の所管は厚生労働省から消費者庁へ移っています。
 花王(株)に対しては「実際に発がん促進性が疑わしい物質が検出されたのに、自ら特保の取り下げは行わないのか」「企業としての責任をどう考えているのか」との意見が相次ぎましたが「商品の安全性を確信しており、いまのところ取り下げは考えていない」との姿勢は変わりませんでした。
 結局、消費者庁の担当者が最後に「持ち帰って何らかの対応を検討したい」と述べ、この日の集会は終わりました。

消費者庁の発表で特保取り下げへ

 9月29日、消費者庁内に「食品SOS対応プロジェクト‐エコナを例にして‐」を発足、関係者のヒアリングと消費者委員会での議論を実施。
 また10月6日には全地婦連も加盟する全国消費者団体連絡会が、福島みずほ内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当)と長妻昭厚生労働大臣宛てに「エコナ問題に関する意見・要望」を提出。消費者庁が積極的にわかりやすい情報の提供とリーダーシップを発揮すること、花王に対して丁寧な消費者対応を要請すること、特定保健用食品制度の見直し(許可の更新制導入など)や認可プロセスを明らかにすることを求めました。
 そして10月8日、消費者庁から「当該許可に係る食品についての再審査を行うべき状況に至ったものと判断することができる」との結論が出されました。花王(株)が「特保」取り下げをおこなったのはこの直後です。
 日本を代表する大企業の責任の在り方が問われると同時に、これまでの食品安全行政の現実、そして新たに発足した消費者庁がいかにリーダーシップを発揮できるかに国民の食品安全がかかっていることなど、さまざまなことが明らかになった「エコナ問題」でした。

※特定保健用食品

 健康食品のうち一定の要件を満たすものを「保健機能食品」とする(平成13年4月1日より施行。食品衛生法及び健康増進法にもとづく)。規格基準を満たすものであれば個別に許可なく表示できる「栄養機能食品」と、個別に厚生労働大臣が表示許可をする「特定保健用食品」の2種類ある。「特保」は、「お腹の調子を整える」など特定の目的が期待できるとの表示ができる食品で、有効性や安全性等に関する科学的根拠に関する審査を受け、厚労大臣の許可が必要。

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