395号(09年7月)

リーダー研修会を国立女性教育会館で開催しました!

<男女共同参画、製品安全、農業、生活困難問題、などを取り上げて学習しましたが、地域で具体的に生かすにあたってのヒントはこちらです>

男女共同参画のナショナルセンターである国立女性教育会館に全国から約100人が集まる
 6月24・25日と、埼玉県嵐山町の国立女性教育会館(ヌエック)において、全地婦連リーダー研修会を開催しました。北は北海道から南は沖縄まで、各地の代表約100人が参加して、多いに学び交流しました。

 開会では中畔都舍子全地婦連会長の主催者あいさつと、神田道子国立女性教育会館理事長からあいさつがありました。
 事例報告に学ぶ「地域婦人会のネットワークをどう強化していくか」で、各地の3つの取り組み事例から、婦人会の地域での諸団体等との関係づくり、特に自治会との関係を中心に、実際にどのような工夫や成果、課題があるのか共有。その上で10数名に別れ、研修室で地域での関係づくりについて協議しました。

前千葉県知事 堂本暁子氏の講演は男女共同参画を柱に

  続いて堂本暁子前千葉県知事による講演です。「地域における男女共同参画の取り組みの重要性」をテーマに、1999年の男女共同参画社会基本法制定前の議論・政治状況や、新党さきがけの党首として堂本氏自身が関わられた法律制定のプロセスと、それを裏でしっかりと支えた各界の女性たちの活躍などに触れました。
 さらに、女性対象の医療やDV対策など、県政での取組みも振り返りつつ、女性の視点・参画が非常に重要であることを繰り返し熱く語られました。
 夕食のあとは、ラウンジでグループ協議の報告を兼ねた情報交換・交流会も開催しました。

消費者問題、農業政策、生活困難者への対応

 2日目は、くらしと地域社会に関わる複数の問題と政策について、専門機関・省からのお話です。
  製品安全、標準化、農業政策、男女共同参画の視点にたった生活困難層への対策などについて、考えました。

【リーダー研修会報告<1日目>

(1)事例に学ぶ&(2)グループ協議

 共通テーマは「地域婦人会のネットワークをどう強化していくか」です。
 最初の事例報告では特に自治会・町内会との関係に着目。よい関係を築きながらも、婦人会の独自性や男女共同参画の意識・視点をどう確保していくのか、小地域から県レベルまで、参考になる3報告がありました。
 その後のグループ協議では、婦人会活動を行う上で関わりの考えられる、4群について(町内会・自治会/行政・学校など/他の女性団体や消費者団体・社協・NPO等の民間団体/その他事業者・大学など)、具体的にどのような関わりがあるかをフセン紙に書き出し、模造紙に貼り付けて、そうしたネットワークづくりの効果だけでなく、苦労や解決方法なども話し合いました。

(3)講演(男女共同参画社会基本法制定10周年記念)

「地域における男女共同参画の取り組みの重要性」
堂本暁子 前千葉県知事

基本法制定前後の動き
 1994年に全閣僚を本部員とする男女共同参画推進本部が設置され、第二次橋本内閣発足にあたり、自民・社民・新党さきがけの3党が、男女共同参画社会の推進体制強化について合意(1996年)。その後基本法と基本計画の策定へと進んだのですが、自民党の橋本首相の両脇を女性党首(土井さんと堂本さん)が挟むという、日本ではなかなか見ることが出来ない構図が成立したこと。政党内や内閣府に、有能で男女共同参画の問題にたいへん熱心な女性たちがおり、女性同士のネットワークと理解ある男性たちの中で、男女共同参画推進の芽をつぶさないように、守り育て、法律の制定まで至った経緯を語られました。

県政や地域の視点から女性外来・DV対策など
 県知事となって力を入れたことの一つが保健政策の見直しで、日本ではじめて実現した女性外来の開設はその後全国に広がりました。
 当初は庁内で理解されずに苦労しつつも、欧米の政策情報も取り寄せたりしながら「女性は男性のミニ版ではない」と、独自の保健・医療政策を実現。DV対策も担当者増員や予算の確保、DV予防教育、被害者の一時保護施設に託児機能をつけるなど幅広く取り組みました。
 また、全地婦連の女性の視点から考える防災学習会の取り組みなどを例に挙げながら、地域における地道な男女共同参画の取り組みの重要性についても触れられました。

女性が意志決定の場に存在することの重要性
 こうした多くの困難を乗り越えながら政策立案・実現過程に関わってきた経験や、女性の地位向上や人権について話し合う国際会議の場に日本人女性がほとんどおらず、議論に乗り遅れがちな現実から、物事が議論され決まっていく過程に女性がいることの重要性を重ねて指摘。
 そして、地婦連が地域を基盤に男女共同参画の取り組みを長年にわたって続け、過去数年のうちに起こった、男女共同参画の後退につながる動きがあったときにも、それを押し返すために行動したことを大きく評価していただきました。

(4)情報交換・交流

 第1日目の夜は、食堂で夕食をとったあとラウンジコーナーに移動して、一休み。そして、誰ともなく盛り上がるなかで、「ふるさと」のコーラスがはじまりました。
  さらにグループ協議の結果を発表しながら、各地の活動の様子について共有したりと、おしゃべりもはずみました。

 翌朝は曇り空であったものの、すがすがしい空気と木々の緑の中で食後の散歩を楽しむ人も。
 2日目も充実した研修となりました。

【リーダー研修会報告<2日目>

(5)「製品安全と安全性確保に向けた取り組み」

 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の製品安全センター北関東支所燃焼技術課長の並木英夫氏が講師で、機構の紹介と、経済産業省とともに進める、製品事故情報の収集と調査・原因究明、対応の取り組みの実際を説明。
 FF式暖房機やガス給湯器による一酸化炭素中毒死、といった事故はもちろん、長年の使用により劣化した扇風機による火災、デスクマットやビニル手袋による皮膚障害など、事故の実態と事業者への指導や回収命令といった対応などの具体的な報告がありました。
 事故件数の多いのは、家電製品では電気ストーブ・エアコン、燃焼機器では石油ストーブとガスこんろです。
  また、古い扇風機から火災が発生するなど、長期使用で劣化したことによる事故も増えており、注意を呼びかけています。

(6)「標準化の果たす役割と課題」

 (財)日本規格協会規格開発部消費者関連標準化推進室の永田智子氏は、標準化とは品質・性能等についてのルール(=規格)を作ることで、誰もが共通して製品などを安心・安全に使えるようにするために大切と説明。
 JIS(日本工業規格)は日本のルールとして標準化の内容を明文化したものですが、国際的な規格(ISO)や、各国ごとの規格もあります。
 例えば、シャンプーとリンスを見分けるために容器についている小さな突起は、「JIS S 0021」=高齢者・障害者配慮設計指針に定められていて、シャンプーのみにつけるようにルール化されています。
 トイレットペーパーも「JIS P 4501」で紙の幅や1ロールの長さ、芯の直径や円筒形であること、衛生的で水にほぐれやすいこと等をルール化。だからどの会社の製品に取替えてもスムーズに使えるのです。
 (財)日本規格協会は、今後は「こういう製品や分野でも規格が必要では?」といった、消費者目線での規格づくりに力を入れて取組みたいとしており、今回も研修参加者全員にアンケートを配布して、後日意見を書いてから協会に返送してもらうことにしました。


(7)「農政改革の展開方向」

厳しい日本の農業

 農林水産省大臣官房政策課山口靖氏は、はじめに日本の農業・農村が直面する厳しい現実と(農業従事者のほとんどが昭和一桁世代で高齢化、過去15年間で農業所得が半減、約5千集落が過去10年間で農業集落機能を喪失等)、中長期でひっ迫が予測される世界の食料事情(栄養不足人口の増加、穀物・大豆等の国際価格の大きな変動や継続的な高騰傾向等)について解説がありました。
  そして食料自給率向上のための米政策・水田農業政策のあり方の検討や、農地の集約、多様な経営体の参入、耕作放棄地の活用、農産漁村のもつ国土保全等の機能発揮支援など、農業と農産漁村の発展を促す政策づくりについて、どのような議論が行われているか報告していただきました。

農業政策の検討課題

1☆米・水田政策
  転作や休耕田など、生産調整で米価の下落を抑えてきたが、減反をしない生産者に対する減反実施者の不公平感や、生産意欲の低下、大豆・麦等の作物の作付けが拡大しなかったといった課題がある一方で、米の消費量が昭和37年から半減し、すべての水田で米を生産すれば、米価下落で大規模生産者でも経営が成り立たなく可能性がある。そこで不公平感を解消しつつ生産調整のあり方を見直し、将来の世界の食料需給のひっ迫を考慮し、麦・大豆・米粉・飼料用米の生産の定着・拡大の推進策などを検討。

2☆農地改革と担い手育成
 農地集約の加速化(相続税の見直しや公的機関による農地再配分)、所有者が判然としない耕作放棄地を所有者の同意なしで利用できる仕組みの創設、農地貸借規制や農業生産法人の出資規制の見直しによる多様な経営体の参入や連携の促進、農の雇用事業の充実・新規農業者の農業機械等の導入支援を進めていくことになります。

3☆農山漁村の機能発揮支援
 水田や山林の維持は、下流の洪水防止機能に貢献(年間8兆2千億円強の効果)。グリーンツーリズムなどの観光需要、バイオマス資源の活用による大量の電力供給の可能性など、その機能自体を評価し、国をあげて農山漁村を支えるという地域政策の視点が重要。
 そこで、企業やNPO法人をはじめとする多様な主体の協力と参画を得ながら、地産地消・農産品の加工直売・観光・介護支援など、地域資源を活用して将来にわたり地域社会を維持していく事業を展開する地域マネジメント法人を育成・支援したり、バイオマス産業・アグリヘルス産業などの新産業創出支援などについて、あらゆる層の連携により、我が国の総力をあげて取組んでいけるようにする。

(8)「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」

 内閣府男女共同参画局調査課長の酒巻哲朗氏は、現在、経済的困難に加えて、教育や就労機会の不足、健康面での障害、地域社会での孤立などの社会性活上の困難も含めた、生活困難者が増加している現実とその構造について説明。
 特に、女性の貧困率の高さ、女性全体と若年の男女における非正規雇用の増加、女性・子どもへの暴力、貧困の再生産(貧困な家庭の子が成長してまた貧困に陥る)など、困難者が増えて一般化する傾向にあります。
 問題の背景に意識・社会のしくみの面で男女共同参画が不十分といった要因があることも指摘しました。

家庭・企業・社会での男女共同参画の視点しくみを!
 男女別の問題分析と支援のあり方を考えることは勿論、根底にある性別役割分担意識にもとづく社会構造・制度のひずみの解消など、多様な取り組みを進めていく必要があります。

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