387号(08年11月)

第47回全国消費者大会(報告)

 11月4日、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、第47回全国消費者大会が開催されました。全地婦連も毎年実行委員団体として企画・運営に参画。今年も昨年に続き環境分科会を担当し、地球温暖化問題に取り組みました。また同様に実行委員団体として参加している東京地婦連のほか、北海道、岐阜、鳥取、徳島、福岡県地婦連代表の参加もありました。午前の全体会は、貧困・格差問題に取り組む湯浅誠さんの講演で、午後は5分科会で議論。以下消費者大会実行委員会による要約を下敷きに報告します(税・社会保障、平和分科会は割愛)。

●食
  食料価格の高騰、輸出規制、バイオエネルギーと食料争奪などの課題が国際的に勃発する中、日本でも食品価格が値上がり生活を圧迫。一方、農業者は資材費・燃料代などコスト高騰により生産を続けられないほど危機的状況に陥っています。
  そこで基調講演としてフリージャーナリストの青沼陽一郎氏から「日本の食は海外に依存している〜中国の食品工場訪問レポート〜」と題し、ご報告いただき、それを踏まえ、生産者代表の竹村氏(JA全青協)・消費者代表の阿南氏(消団連)・小売業者代表の仲谷氏と小松氏(イオン)、それぞれの立場からパネルディスカッションを行い議論。最後に消費者は食品選びに知識を深め、生産者はもっと自分たちの置かれている状況をPRし、消費者と生産者、小売業者の良い関係が食の安全・安心につながるよう出来ることから取り組むことを確認しました。  冒頭の各団体活動報告では全地婦連から、明かりを消して温暖化問題への意識を深める「月見夜楽」や、レジ袋削減の力強い取り組みを紹介。

●環境
  冒頭の各団体活動報告では全地婦連から、明かりを消して温暖化問題への意識を深める「月見夜楽」や、レジ袋削減の力強い取り組みを紹介。
  基調講演は、国立環境研究所地球環境研究センター主任研究員の高橋氏から「温暖化を止められないと何が起きるか?」のテーマで行われ、現在観測されている多くの温暖化の影響事例と、今後予測される日本国内の影響について解説(例:平均気温2度上昇の場合、東京は今の鹿児島と同じ気候になり、35度以上になる猛暑日は年間25日程度に増加)。また最新の研究から水資源、森林、農業、人の健康の面で予測される影響にも具体的に触れ、早急な温室効果ガス大幅削減の取り組み開始の必要性を強調。
  ディスカッションでは環境省から国の温暖化対策内容、東京都環境審議会委員の牛島弁護士からは環境確保条例の内容について、(株)リコーからは環境負荷削減の中長期目標を明確に掲げた注目すべき取り組み、生協の組合員参加の省エネ活動の報告があり、気候ネットワークからは2度上昇までに抑えるため2050年までに日本の温室効果ガス80%削減の必要があることと、対策に不可欠な政策の早期導入を訴える「MAKE the RULE」キャンペーンの呼びかけがありました。質疑応答も実施し、最後に温暖化対策を大きく進めるためには経済面も含む社会の仕組みが必要であることを訴えました。

●消費者政策
  国が消費者行政一元化の議論を進めている中、地方消費者行政のあり方を考える企画として開催。最初に池本誠司弁護士(写真)が地方消費者行政の相談体制の充実と、啓発や事業者規制は相談業務とも連動したシステムを検討すべき、自治体自らが国の政策に盛り込むべき理念を要求していく時だと報告。
  また全国消団連の「都道府県の消費者行政調査」報告もあり、全国で週4日以上の窓口開設は39・2%、PIO‐NET端末機設置は18・5%。斡旋率は4・4%。一般会計予算に占める消費者行政予算は0・0097%(97年度は0・02%)。消費者被害が全国で多発する中、予算、職員数、相談員数も全て減少傾向にある地方消費者行政の実態が浮き彫りになりました。

講演 「反貧困 誰もが安心して生きられる社会を。
これは『彼ら』の問題ではない」
湯浅 誠さん
 
 湯浅さんが事務局長を勤めるNPO法人「自立サポートセンター・もやい」には、全国から食べていけないとのSOSがひと月に100件ほどあり、多くが20〜30代の若者です。彼らはいま急速に食べていけなくなっています。そして、仕事からはじかれている、家族に頼れない、親も年金生活で頼れない、役所との接点がないところが共通しています。しかも現実に、生活に困ったらどこに相談したらよいのかわからない。生活保護、多重債務対策など法律があってもどうアクセスしたらよいかわからねば意味がないのです。
  セーフティーネットの効かない社会の中で「今日明日食うためならどんなところにも行く」NOといえない労働者になっている。人が保障されるラインが低すぎる。
 湯浅さんは、誰かを切り捨てていくのでなく、全体の底上げを考える事が大切。働けば食べられる社会にし、社会保険・生活保護などのセーフティーネットをもう一度強くすべきと訴えました。

【湯浅誠さんのプロフィール】
   NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長、反貧困ネットワーク事務局長他。90年代より野宿者支援に携わる。「ネットカフェ難民」問題を数年前から指摘し火付け役になる他、貧困者を食い物にする「貧困ビジネス」の告発など、現代日本の貧困問題を訴え続け、メディアにも登場。著書に『反貧困』(岩波新書)、『貧困襲来』(山吹書店)など。1969年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。
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