383号(08年7月)
全地婦連リーダー研修会を開催しました!
  国立女性教育会館(ヌエック)で約100人学ぶ
  〜地域医療・男女共同参画・消費者政策など幅広く
研修会の様子と池坊保子文部科学副大臣
 6月18・19日と、埼玉県嵐山町にある国立女性教育会館(ヌエック)において、全地婦連のリーダー研修会を開催しました。各都道府県市から約100名の参加があり、2日間にわたる研修は充実したものとなりました。
 1日目の開会では、中畔全地婦連会長の主催者あいさつに続き、池坊保子文部科学副大臣‖写真と、神田道子国立女性教育会館理事長より、来賓あいさつをいただきました。  研修の最初は「地域医療を守ろう〜女性たちのとりくみ〜」で、3つの地域から実践事例の報告があった後、小田泰子日本女医会会長のお話と助言をいただきました。
 次に、仕事と生活の調和がとれる社会づくり(少子化対策含む)を考えるためのテーマで厚生労働省から。さらに消費者新行政組織の必要性について内閣府国民生活局よりお話がありました。
 2日目は、一昨年度より展開している防災学習会の成果の共有を行った後、「ガス警報器の設置について」で、ガス警報器工業会からのお話。最後に、「くらしをみつめつづけて〜全国的ネットワーク組織 地婦連の活動の特徴と今後の課題」と題して神田国立女性教育会館理事長の講演に引き続き、参加者からも発言。活動における悩みや効果的な事例、好事例などを共有し、明日からの活動の糧を得ました。

全地婦連リーダー研修会の報告(1日目)


3人の実践報告者(左)と小田日本女医会会長(右から2人目)鈴木国立女性教育会館事務局長(右端)
●アドバイザー
  小田泰子日本女医会会長
●コーディネーター
  鈴木優子国立女性教育会館事務局長
●事例報告
*羅臼町女性団体連絡協議会(北海道)
「羅臼町国保病院の夜間救急等復活を求める活動」
*南会津郡東部(西部)婦人団体連絡協議会
(福島県)
「更生病院と県立病院でお産と妊産婦検診を求めるとりくみ」
*宮城県地域婦人団体連絡協議会
「健康と医療を考える中央集会のとりくみ」

(1)地域医療を守ろう〜女性たちのとりくみ〜

 病院の縮小・閉鎖や産科不足などに悩む地域の医療を、どう守り育むのかについて考えました。
 まず各地の事例報告です。羅臼町では国保病院の診療大幅縮小に対して署名活動でその維持を訴え、南会津では産科医療の維持を求めて大規模な署名活動を行い知事に要望、これを県婦連もバックアップしました。宮城県では、小田女医会会長も所属されている、宮城県医師会と連携をしながら、長年にわたり健康と医療を考える集会を継続開催している様子が報告されました。

医師不足と女性医師

日本女医会
会長 小田泰子先生
        
          

 続いて、日本女医会の小田泰子会長の「医師不足と女性医師」のテーマでのお話です。
 まず、日本の医師・看護師は、米国の5倍の入院患者と8倍の外来患者を診察しており、なのに病院の72・8%は赤字であることなど、根本的な矛盾や問題状況を指摘。
 また、若い女性医師が増加(29歳以下では35・3%)しているが、医師全般の劣悪な労働環境に加えて、新参者は先輩の決定には従うのが当然で、女性の意見は聞かない・とおらないといった風通しの悪い医療現場の現実に、やる気をなくして去る女性医師が多いという現実を指摘しました。
 小田先生は、日本における女性の政治・経済活動への参画度合いが、国際的にも非常に低いという現状を示しながら、仕事は人間の根源的欲求であり、社会参加は喜び、そして従属関係から抜け出し自分らしく生きるためにも、またいざというときの生活の安定のためにも(夫の病気や死別・離婚など)、普通の女性が仕事を続けられる社会・職場・家庭であるべき。
 そして、女性医師が働き続けられるようにするためには、女性が主体的に提案し、発言し、責任を持たせる場を作ること、女性のリーダーを増やすことが不可欠であると強調しました。
 宮城県医師会では、産休・育休中の女性医師からの問い合わせをきっかけに、医師会の会費の減免を検討しているそうですが、大切なのは、その後復職し活躍してくれるかどうかが大切といいます。つまり、その後の姿勢が女性全体の評価を左右するからです。
 白馬の王子や魔法使いは現れてくれないのだから、女性一人ひとりがパイオニアとして、知恵と識見をもって、未来を切り開いていくことが重要であると述べました。

(2)仕事と生活の調和(ワークライフ・バランス)〜私たちにできること〜

厚生労働省職業家庭両立課
課長 定塚由美子氏
                          

                                    
 現在女性は第1子を産むと7割が退職。また子育ての年代の就労率が低くなる傾向が若干上向いていますが、これはこの世代で結婚しない、結婚しても子どもを作らない女性が増えているからです。
 実際には結婚して子どもを二人以上産みたい女性が多いのに、それが実現されない背景には、雇用不安定で収入の低い男性の増加、多くの女性が非正規雇用や育児休業が利用できない職場にいるなど、経済的基盤や雇用・キャリアの将来の見通し・安定性が見込めないことが原因です。
 実際に育児休業が取得できる職場の女性の出産確率は高く、長時間労働の家庭では低くなっています。夫婦間の家事育児の分担度合いが高く、育児不安率が低いと女性の出産意欲、就業継続意欲ともに高くなっているそうです。
 若い男性も仕事と家事やプライベートの両立を望みますが、仕事優先の長時間労働が現実です。
 政府は仕事と生活の調和を実現するため、政府は「憲章・指針」を策定し、企業と働く人、国民、国・地方自治体のそれぞれが努力をしよう!と各主体の役割を示しました。

地域に求められて いるもの

(1)理解と普及
・ワークライフバランスは社会・地域・国民・企業のいずれにとっても良いことずくめで、明日への投資であるとを理解し広める。それぞれに適した実践を行う

(2)実践している企業への理解・共感
・ワークライフバランスを実践する企業の理解と評価。中小企業における必要性の理解の促進。
・くるみんマーク(次世代認定マーク)の普及

(3)個々人の多様性や多様な生き方を理解する
・個々の男性・女性の生き方や働き方はさまざまであることを理解する(例:専業主婦であれ働く母親であれ。また子育てへの父母の関り方も)

(4)消費者の視点
・サービスの背後にある働き方を考える(例:24時間・深夜・年末年始営業は本当に必要か)

(5)地域でできる支えあいによる支援
・子育て支援、見まもりへの「地域力」の発揮。地域の祖母力・祖父力、子育てNPO、ファミリーサポートセンター等

(3)新組織実現に向けて〜消費者行政の現状と課題

内閣府国民生活局
総務課長 川口康裕氏

                                                          

  政府は現在、新消費者行政組織の設置を目指していますが、川口課長ははじめに、これまでの消費者問題事例をいくつか挙げ、たとえばおなじおもちゃでも形態や仕様によって所管の省庁が違ったり、製品事故や詐欺の被害を受けても、法律や所管の谷間にあることなどから、迅速に対応できず犠牲者を増やしたり(例:パロマのガス湯沸かし器改造による死亡事故)、消費者救済が不十分で、原因の製品や責任ある事業者があまり取り締まられないという状況についてわかりやすく説明。
 そして、消費者新行政組織が、相談窓口の一元化、情報の一元化、消費者の身近な問題を取り扱う法律を幅広く所管・共管、新法の立案等による対応を行い、強力な総合調整権限・勧告権限をもつことにより、左図のような現在の問題構造が解決されるとして、詳しい内容についても解説いただきました。


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