382号(08年6月)
輸入農畜産物の抜き取り検査
〜輸入業者が行って適正さが保てるのか!?
 わが国の食料自給率が39%にとどまるなか、農畜産物の輸入量は、輸入農畜産物を原料とする加工品も含めて年々増大しています。また、輸入品目も拡大し、その経路も多様化しています。
 そこで全地婦連では以前から、食の安全・安心の確保の観点から、輸入農畜産物の水際検査体制の充実に向けて、予算と人員の拡大を求めてきましたが、十分な対策がとられずにいました。

勧告の内容

 こうした中、5月23日付で総務省は「輸入農畜産物の安全性の確保に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を発表。
 勧告によると輸入畜産物は動物検疫制度、植物は植物検疫制度、水産動物(生きているもの)は水産物検疫制度があり、輸入農畜産物の検疫が適正に行われなければならないところ、問題が多々あることが分かります。
 そこで以下の勧告が出されました。
 (1)畜産物や植物の輸入検査が法令に則して適正に行われていない。農林水産省に対して、検査内容、結果の確認・点検の実施の徹底、検査の計画的な実施を勧告。
 (2)輸入食品の食品衛生法の蓋然性を把握するために検疫所が行うモニタリング検査は、毎年度策定する計画で輸入食品等の個別品目にかかる検査項目別に定める検査予定数が達成されていないため、厚生労働省に対して、原因分析、改善方策の検討、次年度以降の計画策定等への反映による信頼性の確保等を勧告。
 (3)家畜防疫官が行うべき畜産物の輸入検査時の検体抽出作業を、家畜防疫官の立ち会いのないままに輸入業者等が行っている状況、家畜防疫官・植物防疫官が鉄道・路線バスによる移動が可能な区間等について、輸入業者等の社用車での送迎を受けている状況がみられたことから、家畜防疫官自らによる抽出作業の徹底、公共交通機関等の利用の徹底を勧告。
 今後、総務省では、勧告から1カ月後をめどにその後の改善状況のフォローアップを行うことにしています。
 
輸入業者任せ

 総務省が輸入農畜産物の検疫体制を監視・評価し勧告したことは一定の評価をしながらも、その勧告内容は、輸入業者に輸入農畜産物の抽出検査を任せ放しにしてしまうなど、驚きの内容となっています。
 政府は、2009年4月をめどに、消費者・生活者の視点に立った新しい消費者行政新組織「消費者庁」の設置を表明したところですが、改めて、食の安全・安心の最前線を担っているという官の役割、使命を再認識し、襟を正して仕事をしてほしいものです。
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