373号(07年9月)
たずねるシリーズ9
−全国青年司法書士協議会−
 今回は、若き司法書士たちが所属する、全国青年司法書士協議会をご紹介します。多重債務者、失業等でホームレスに陥った人、生活保護世帯などの弱者支援、離島など司法過疎地の支援、児童養護施設での出前講座など、幅広く活躍しています。



 全国青年司法書士協議会(以下、全青司。伊見真希会長)には、法律実務の専門家である、20〜40歳代を中心とした若手の司法書士が加盟しています。市民に身近な法律家として、巡回法律相談のほか、市民法律教室を開催して、契約等の基礎知識、サラ金・保証人・自己破産、悪質商法、相続・遺言、成年後見制度などの知識の普及も図っています。
 全青司は、全国消費者団体連絡会(全地婦連も加盟)にも入っており、サラ金・クレジット等による多重債務問題や、司法制度改革など、消費者運動でも重要な役割を果たしてきました。
 また、社会的弱者・経済弱者の側に立って活動してきた経験を踏まえながら、現在の日本国憲法が、いかに私たちの人権や福祉、くらしの問題と密接なかかわりがあり、どのように国民を守る役割を果たしているかについても、全国消費者大会などを通して、わかりやすく発信しています。

消費者金融問題で当番司法書士ホットライン

 大変多くの犠牲者を出してきた多重債務問題を解決するため、昨年12月に貸金業法が改正されて、貸金業者に認められる上限金利が大幅に引き下げられましたが(グレーゾーン金利問題)、「上限金利引き下げ運動」においても、全青司は相談活動とともに、全国キャラバンを展開するなど、プロの法律家としての実務力発揮はもちろん、汗を流しながらこの運動を盛り上げました。
 相談活動ですが、すでに2006年6月から全青司としてホットラインを設置。裁判所から訴状や支払い督促が送られた人などが電話をすると、常駐する司法書士が相談内容を聞き、希望者には最寄りの当番司法書士を紹介する仕組みです。
 全国438の簡易裁判所すべてについて、当番司法書士を決めて対応。悪質商法による被害、賃金の不払い問題などにも対応してきました。


自らの人権とくらしを守る力を身に付けてもらいたい

 さまざまな事情で、児童養護施設に預けられる子どもたち(2004年10月現在で、全国556施設に約3万600人)がいますが、こうした頼る親族がない/少ない子どもたちは、若くして社会に出て行くことに伴って、一般家庭の若者よりも、潜在的により多くのリスクを背負う傾向にあります。
 全青司では、こうした子どもたちが、自らの人権や生活を守る権利を発揮する力を養うことができるようにと、児童養護施設への出前講座も行っています。毎年全国の施設へ文書で講座の開催を呼びかけ、昨年は要請のあった約20施設で、消費者問題などを中心に、くらしに身近な問題と具体的な対処の方法等について、同じ若者の視点にたって話をしています。これは社会的に大変意義のある活動です。

司法過疎サポートネットワーク

 離島などの司法過疎地の支援に活躍するメンバーもおり、現在この活動はNPO法人「司法過疎サポートネットワーク」の活動へとつながっています。
 同ネットワークでは、司法書士、弁護士、税理士などの専門家が活動しています。
 たとえば東京には11の人の住む島がありますが、2001年から小笠原島で相談会を開始し、NPO設立後は、11の全島で法律相談や法律教室を開催しています。
 同ネットワークの立ち上げメンバーの一人、後閑司法書士によると、何十年と法的支援のなかった土地なので、解決困難な問題が多い。にもかかわらず、相談できずに問題を抱え込んでしまうことも多いため、いろんな法律教室を行ったり、時には一緒にゲートボールをやって交流を図る努力もしているそうです。
 2005年6月からは、約5年にわたって全島避難を余儀なくされた三宅島へ、避難解除後に帰島してきた島民の支援を行うため、同ネットワークで法律税務相談所を開設し、常駐のスタッフが活動しています。

ホームレス総合相談ネットワーク

 全青司のメンバーと弁護士や支援団体が2003年に立ち上げた「ホームレス総合相談ネットワーク」の活動は、失業、多重債務問題や家族問題などを契機に、ホームレス状態なってしまった人たちへの法的支援を行うものです。
 ホームレス状態にある人の多くが「安定した居場所がない」とみなされることによって、たとえば郵便を受け取る、職をさがす、医療を受ける、住まいをさがすといったことが困難となります。
 また、住民票や戸籍が知らないうちに他人によって移動されたり、賃金の未払いや不当解雇など、さまざまな問題に直面しています。
 そこで、路上法律相談会・施設法律相談会などを行っています。
 このように直接法的支援が届くことによって、生活保護の申請や社会サービスについての情報提供を行うことができ、それぞれが背負っている問題の解決を見出すことで、安心して生活の再スタートができます。

これからも市民のための法律家として

 全青司の大変ユニークかつ評価されるところは、それぞれがプロの法律家として日常の仕事に従事しているにもかかわらず、全青司という場にともに集い、若い力と専門性を束ねあいながら、必要に応じて他の専門家や市民団体とも連携し、社会性の高い多様な活動にフットワークよく取り組んでいるところです。
 全青司のメンバーは、全国各地にいます。くらしと法律の問題は、経済の自由化や少子高齢化の時代に、とても大切な分野となります。
 消費者問題や、女性のくらしの問題、地域活動などで悩まれるようなことがあれば、ぜひこうした市民性と若さあふれる専門家の存在を思い出してください。
http://www.zssk.org/

 
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