358号
消費者・市民とテレビCMのあり方に関する調査がまとまりました
〜メディアのもつ社会への影響を読み解く力を育もう!
(千葉県連合婦人会・全地婦連)  
 ここ数年企業の倫理・社会的責任が問われる課題が多く発生し、それは健康・生命・財産にかかわる食品、自動車、保険など多岐にわたります。
 そして企業や商品のイメージを伝えるのがテレビコマーシャル(CM)などの広告・宣伝です。
 しかし4月に過酷な取立てで行政処分を受けた消費者金融「アイフル」のCMに見られるように、受け身で受け取るのでなく、広告・宣伝の内容と企業の活動の実際・商品の信頼性が正しく結びついているのかどうかや、ライフスタイル・価値観に与える影響にも意識を向ける必要がありそうです。
 2005年1月〜3月、消費者・市民の目を通してCMの影響や意味を明らかにしてみようと、千葉県連合婦人会(大塚満子会長)が主体となり(2004年度の全地婦連「全国に広めたい事業」による)、全国の加盟団体・市民のみなさんの協力を得て、CM調査を実施しました。
 その一部をご紹介します。詳細は全地婦連へお問い合わせください。

全国で調査にご協力下さった
会員・市民のみなさま、本当
にありがとうございました。

よいと思うCM

 よいと思うCMに挙げられた企業の上位を見ると、サントリー(主にお茶)、花王(シャンプー等)、ハウス食品(カレー等)、ライオン(歯磨き等)、トヨタ(自動車)、アリコ(保険)、P&G(食器・衣類用洗剤)、ナショナル(空気清浄機等)、アイフル(消費者金融)、日産(自動車)、アサヒビール(お茶・ビール等)、ネッスル(コーヒー)です。
 上位10社を選んだ理由は、「分かりやすい」「楽しめる」を挙げる人が多く、それに加えて「子どもに安心して見せられる」という条件がはいると、好感度がより高まることがわかりました(ハウス食品・花王など)。
 なお、アイフルが上位10社に入っており、良いと感じた理由に、他の選択肢に比べて人数は少ないながらも、「子どもに安心して見せられる」とした人がいました。

よくないと思うCM

 よくないと思うCMについては、この紙面では具体的な企業名は挙げませんが、一番多かったのは、この調査を行った時期に大量に流された「保険」のCMでした。
 理由としては、「誇大である」「誤解を招く」が際立って多くあげられていました。その他の保険関係全てを足すと、よくないCM全体のうちの18・3%を占めました。
 次に多かったのが、やはり消費者金融で、上位10社のうち3社を占め、さらに複数の消費者金融の企業名や、消費者金融とのみ記載した分を合わせると、よくないCM全体の13%を占め、理由としてはやはり、「誤解を招く」「子どもの成育・教育上よくない」という選択肢が際立って多くあげられていました。
 ほかに化粧品関係やシャンプーを扱ったCMが、「誤解を招く」「誇大である」といった理由とともに上位に入っています。
 多くの人が、CMを冷静に見ていることが分かりましたが、同時に、あまり深く考えずに、その映像や全体の雰囲気で受け入れている人も少なくないことが分かります。

子どもとテレビ

 子どもとテレビの関係については、テレビの内容も無視できないものの、現実にはテレビやゲームに長時間のめり込むことで、生活リズムが崩れることがより問題だと指摘されています。
 もちろんきちんと生活リズムをつくっている親もいる一方で、強く意識していないケースもあるようです。
 今回の調査では、中学生以下の子どもがいる場合、テレビを一日平均どのぐらい見ているか、見ている時間の長さに心配はないか、テレビの見方に何らかのルール(時間帯・食事の間の約束・宿題のあとなど)があるかなど、主にだれとテレビを見ているか聞きました。
 子どものいる238世帯の回答からも、ルールの有無とテレビを見る時間の長さに関係があることが分かります(下段のグラフ参照)。
 生活リズムや、だれといっしょにテレビを見ているかなど、家族関係のあり方も含め、テレビとのよい関係を、大人が子どもとともに作っていくことが大切なようです。


CMの影響とメディアを読み解く力

日本弁護士連合会主催の多重債務問題シン
ポジウム。日弁連会長も解決を目指し力強い
あいさつ=6月15日 東京イイノホール
 この調査のアドバイスもされた千葉大学藤川大祐助教授は、「どんな番組やコマーシャルも、事実の一部を切り取り、組み合わせたり、ストーリーを作って「構成」されている(=意図を持ってつくられている)こと。またスポンサーの影響もあること。従って完全に客観的なメディアというのはそもそも成立しない」と指摘しています。
 2005年2月22日、NHKと民放各社で作る「放送・番組向上機構青少年委員会」が主催したシンポジウムでも、メディアを読み解く力(メディアリテラシー)に関してコメントがありました。
 「子どもたちは、かなりのことは無意識には知っているので、それを意識化することがメディアリテラシー教育の課題です。例えば、小学校低学年の児童に“スポンサー”というものを教える授業をやっています。アニメーションとかヒーロー戦隊ものなどの子ども向け番組について、誰がお金を出してこの番組を作っているのかを考える授業をするわけです。そういったものを全部踏まえた上で、番組を見て、買いたくなったものを買うかどうか、それは自分で判断しようと、考えてもらうのです」
 現在、消費者金融と多重債務者の増加が問題となっていますが、テレビコマーシャルによる明るいイメージの広告も大きく影響しています。
 この作られたメディアを読み解く力と、企業の社会的責任について考えることは、今の大人にこそ必要かもしれません。

「消費者問題・経済生活」のページへ
「子育て・教育」のページへ