355号
独占禁止法が改正されました  
21世紀にふさわしい競争政策の展開と消費者の利益のために

 消費者団体が大きな社会問題として昔から注視して来た談合問題ですが、橋梁談合などで再び問題がクローズアップされています。全地婦連も加盟する全国消団連でも経団連へ申し入れを行ったり、公正取引委員会に取締りの強化を要請しました。そういった企業の不正な取り引きなどが、国民経済の発展や消費者の利益を損ねてしまわないよう、企業の違反行為を取り締まるのが独占禁止法で、この法律を運用するのが公正取引委員会です。その独占禁止法が昨年改正され、今年の1月4日から施行されています。

◆独占禁止法とは◆

 公正取引委員会のパンフレットによると、 「私たちの生活する自由経済社会では、さまざまな事業者が自由に商品やサービスを提供し、消費者が欲しいものを選べる仕組みになっています。こうした中で事業者は、市場における公正かつ自由な競争に参加し、商品の品質向上、技術開発、低価格化などによって、自らの商品やサービスを消費者から選んでもらえるよう事業活動を行います」「そこで、公正かつ自由な競争を促進するために制定されたのが『独占禁止法』です。私的独占、不当な取引制限(カルテル・談合)、不公正な取引などを禁止しており、国民経済の民主的で健全な発達、及び消費者の利益を確保することを目的に、公正で自由な競争を促進しています」とあります。(図1)

◆より公正な取引へ◆


 改正により違反した事業者に対する懲罰が厳しくなり、さらに談合などの違反内容を自主的に告発した事業者に対しては、課徴金を減免する制度を導入することで、問題の発覚を早く促す仕組みになりました。また刑事告発を目的とした調査の場合、裁判所の許可をとって捜索を行う反則調査権限の導入で捜査手続きが明確になりました。
 日本の競争政策は欧米に比べてゆるいものでしたが、市場経済の活発化や、公共工事の入札談合で、私たちの税金が無駄遣いされている現状の中で、ようやく日本も見直しがはじまっています。
今回の改正後も引き続き政府は内容の改善を検討しており、それに合わせて全国消団連でも有識者なども交えて、学習・検討を重ねています。

◆独占・寡占◆

 事業者が単独で、もしくは他の事業者と手を組み、不当な低価格販売などで競争相手を市場から排除したり、新しい事業者の参入を妨害して、市場を独占するのが「私的独占(排除型)」です。
 また有力な事業者が株式の取得、役員の派遣などにより、他の事業者の事業活動に制約を与えて市場を支配しようとするのが「私的独占(支配型)」で、これらの行為は違法となります。もちろん、良質で手ごろな商品を提供する事業者が、正当な競争の結果として市場を独占するようになった場合は違法ではありません。

◆カルテル・入札談合◆

 カルテルは、事業者・業界団体構成者が、相互に連絡を取り合いながら、商品の価格や販売数量を取り決める行為で、商品価格を不当につりあげると同時に、効率の悪い企業が生き残ることで経済を停滞させるため、世界各国で厳しく規制され、国際カルテルへの参加も禁止されています。
 入札談合は、公共工事や物品の公共調達に関する入札の際に、参加する事業者が入札の事前に相談して受注事業者や受注金額などを決めてしまうもので、厳正な競争が目的の入札をゆがめ、適正な価格と品質の維持が難しくなります。

◆不公正な取引◆

  不公正取引には、複数の事業者が共同で特定の事業者との取引を拒絶する(取引拒絶)、取引先や販売地域によって商品やサービスの対価に不当に大きな差をつけたり取引条件で差別する(例:競争相手と競合する地域でのみ過剰な低価格で販売する)、不当に安い価格(実質仕入れ価格を大幅に下回るなど)で継続して販売し、他の事業者の事業活動を困難にさせる(不当廉売)、競争相手が必要としているもの(原材料など)を高価な価格で買い入れて、入手困難にさせる(不当高価購入)といった行為のほか、抱合せ販売、再販売価格の拘束、優位的地位の濫用(下請法で細かく規制)、競争会社に対する内部干渉などが該当します。

身近な景品表示法も関係します
 
 消費者にとって身近な問題の、虚偽・誇大な表示や広告による不当な誘引や過大な景品をつけての販売も不公正な取引にあたり、独占禁止法の補完法である「景品表示法」で厳しく規制されています。

◆罰則など◆

・課 徴 金
 価格・供給量・購入量・シェア・取引先を制限するカルテル・談合・支配的独占を行った事業者には、課徴金が課せられます。違反行為を繰り返した場合は基準算定率に50%加算、早期にやめた場合には20%軽減した額となります。(図2)

図2 課徴金の算定

・罰  則
 独占禁止法の違反を行った場合、それを決定した個人も刑事罰を受け、事業者や事業者団体にも罰金が科されます。

・差し止め請求・損害賠償
 不公正な取引方法によって著しい損害をうけたり、損害を受ける可能性がある消費者・事業者は、裁判所に訴えてその行為を差し止めることや、損害賠償の請求ができます。

◆自主申告で減免◆

 事業者自らが関与したカルテル・談合について、その違反内容を公正取引委員会に報告した場合、課徴金が減免されます。
 早期に報告した場合ほど減免される割合が高く、これによって問題の発覚を早期に促します。(図3)

図3 課徴金減免のしくみ

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