349号・350号

金利問題を考えよう〜ヨーロッパ・アメリカ・韓国の比較から
クレジット・サラ金・商工ローンで多重債務者激増

 全国消費者団体連絡会の2005年度第2回全体会に合わせて、多重債務と金利問題についての学習会がありました。講師はこの問題に携わってきた、宇都宮健児弁護士です。

多くのサラ金利用者が、不必要な利息を払わされている

 クレジット・サラ金・商工ローン……。これらの多重債務者は150〜200万人いるといわれ、生活や命の破壊に追い込まれる人が増え続けています。統計によると03年の経済・生活苦による自殺者は8897人、1日当たり24人以上の計算になります。
 現在日本では、公定歩合が年0・1%、銀行がさらに外部に貸し出す金利が2%以下、普通預金金利が0・001%という超低金利の状況にもかかわらず、これらのいわゆる消費者金融とよばれるものは、年25〜29・2%の超高金利になっています。
 ではクレジット・サラ金・商工ローンが高金利で営業できるのはなぜか。実は年15〜20%と制限金利を定めている「利息制限法」に罰則がないことと、刑罰が科される出資法の上限金利が現在29・2%となっているため、つまり間にグレーゾーンがあるからです。
 CMをつぎつぎと打っている大手サラ金業者も、この、年25%〜29・2%という利息制限法の制限金利に「違反」している、グレーゾーンの高金利で営業しているのです。

金利水準を低く抑えている独・仏

 日本では本来、経済的弱者を高金利から守ることが目的の「利息制限法」で、15〜20%を制限金利としているので、これを超えた部分は「法律上無効」なのですが、前述のように罰則がないため、違法と知りながらも業者は高く貸し付け、そして厳しい過酷な取り立ても行っています。
 一方ドイツやフランスでは、銀行が個人向けの消費者金融を担っており、金利も法律や判例で低く抑えられています。
 ドイツでは、「市場金利の2倍を超える金利は暴利で、無効である」とする判例が数多く出ています。したがってドイツには金利規制法がないにもかかわらず、消費者金融の金利水準は低く抑えてられているのです。フランスでは、フランス銀行が3カ月ごとに市場平均金利を調査・発表し、これが4/3倍を超えると、暴利貸借利率となり、刑罰を科せられるそうです。
 したがって両国には、日本のようなヤミ金融は存在しません。

不当に高い金利の引き下げを求める運動

 日本では、このような経営環境で巨額の利益を得た大手サラ金の経営者が、日本の長者番付の上位に並ぶという状況になっています。業界ではさらなる金融緩和と上限金利の引き上げを目指し政治・政策面で多様な活動を展開しているそうです。
 次回で、アメリカ・韓国の大変厳しい現実にも触れますが、宇都宮弁護士は、このような高金利を政治責任で下げさせる運動が必要であると、連絡会を作って多重債務者の相談にのりつつ、署名活動を始めています。

金利規制を撤廃し、生活破たん者を激増させた米・韓

 アメリカでは1980年代に規制緩和政策の一環として金利規制の撤廃・自由化が進められ、富裕層には金利低下の恩恵がありましたが、低所得層は逆に年数百%の高利貸し付けや、住宅を担保にするような略奪的貸し付けなどに巻き込まれ、社会問題化しているそうです。
 韓国でも経済危機後、クレジットカード利用促進政策をとり、金利規制は撤廃したところ、アメリカ同様の結果となり、夜逃げや自殺も急増。2002年に急きょ規制を復活させたものの、上限金利が66%とまだ高利であり、日本のサラ金業者の韓国進出もつづくなか、多重債務者問題は解決の糸口が見えていません。

 若者の危機

 両国の現実は、仮に日本でも金利規制を撤廃して自由化した場合、どような深刻な状況となるかを、如実に物語っています。
 加えて現在の若者は、CMの影響や銀行と消費者金融業者の提携が進んだことから、サラ金と一般の銀行を同様に考えている場合がほとんどということです。
 クレジットカードやサラ金を気軽に使ってよいと考える風潮は、しっかりとした消費者教育や青少年健全育成の観点にたった情報氾濫の制限いうものを、社会がきちんと考えてこなかった結果ではないでしょうか。
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