336号

  全地婦連では、7月16日、亀井善之農林水産大臣あてに、「米国産牛肉輸入早期再開に向けたBSE全頭検査見直し」に関する申し入れを行いました。

 申し入れのおもな内容は、次の通りです。
  「全頭検査を実施して約2年9カ月。BSEには未解明な部分も多く、日本の消費者の牛肉に対する信頼回復はいまだ途上にある。米国ではBSE検査体制がずさんで、02年以降、感染の疑いのある牛の4分の1以下しか検査されていなかったことも、内部監査で明らかになっていると報じられている。私たち消費者は安全とひきかえにしてまで、米国産牛肉を食卓に載せたいとは考えておりません」
  牛海綿状脳症(BSE)の発生に伴い、2003年12月からつづく米国産牛肉の輸入禁止。米国は日米両国実務者レベル協議などで「日本の全頭検査を見直し、米国産牛肉の早期輸入再開」を求めています。
  7月16日の朝刊各紙は、「内閣府食品安全委員会がBSE全頭検査見直しに向けた報告書案をまとめた」と報じましたが、実際、16日に開かれた内閣府食品安全委員会では、「若い牛を全頭検査の対象からはずしても人間が感染するリスクは増えない」とする報告書案に対しては、委員の中でも賛否両論あり、結論にいたりませんでした。
  しかし、米国のベネマン農務長官やべーカー駐日大使も、輸入再開がそう遠くないことをうかがわせるような発言(「実務者レベルでの話し合いに勇気づけられている」「具体的時期は分からないが、日本への輸入解禁は非常に近い」=日経ネットニュース)をしています。
  近い将来、米国の期待に応えようとする動きが日本側でも加速することが予想されます。
  しかし、牛肉に関する安全政策を大きく転換するのであれば、米国産牛肉の輸入再開問題とは別に、日本国内でも若齢牛に関しては、現検査方法では異常プリオンタンパクの検出はありそうもないから「月齢○○カ月以下は、全頭検査対象外としたい」などの説明責任を果たし、議論を尽くすのが道理ではないでしょうか。


「武器輸出3原則」見直し論と消費者
 

 7月20日、(社)日本経済団体連合会(経団連)は、「今後の防衛力整備のあり方について〜防衛生産・技術基盤の強化に向けて」を発表しました。
 日本経団連防衛生産委員会(委員長・西岡喬三菱重工業会長)では、かねて「新時代に対応した防衛力整備計画の策定を望む」(1995年)や「次期中期防衛力整備計画についての提言」(2000年)などで、防衛産業の立場から防衛産業や技術基盤の強化に関する要望を行っていますが、同日の発表では、「武器輸出三原則見直しの必要性」を、次のように述べています。
  「新時代に対応した安全保障基盤の確立に向けた具体的課題」の、防衛基盤の強化に向けた方策「輸出管理政策」の中で「現在、わが国では、武器輸出三原則をはじめとする輸出管理政策およびその厳格な運用により、防衛関連品・技術の輸出や交流、投資が厳しく制限されている。日本の防衛産業は世界の装備・技術開発の動向から取り残され…世界の安全保障の動きからも孤立しつつあり、…現行の輸出管理政策のあり方について再検討を行う必要性はますます増大している。…一律の禁止ではなく、わが国の国益に沿った形で輸出管理、技術交流、投資のあり方を再検討する必要がある」
  1週間後の7月27日、小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=荒木浩・東京電力顧問)でも、「産業・技術基盤」の項で、海外への武器輸出を禁止している「武器輸出三原則」について、「ミサイル防衛を米国との間で進めたり、米国以外の国と共同で装備の開発を進めることは、『死の商人』となることとは異なる」として、1976年の三木内閣が統一見解とした「武器輸出の全面禁止」は不合理だと結論づけ、事実上、武器輸出三原則の見直しを進める方向を示しました。
  来年は戦後60年、ここで日本の安全保障政策が大きく転換されようとしています。
  全地婦連は創設以来、個人の主義主張にかかわりなく、命を産み育てる性をもつ者の務めであるとして、「平和の構築」に力を注いできました。
  さらに「平等・開発・平和」は男女共同参画の柱です。その視点に立って、戦争の予防と平和の構築に向けた女性たちのエンパワーメントが求められています。
  私たちは安全保障政策論にも高い関心をもちながら、その上で消費者として、製品やサービスの選択とあわせて、この武器輸出見直し論を考えていく必要があります。

消費者基本法と消費者団体の新しい動き
  5月の通常国会で、消費者保護基本法を改正し「消費者の権利」を明記した「消費者基本法」が成立しましたが、今後は地方公共団体の消費者行政の充実強化につながるよう、各自治体の消費生活条例の見直し等も求められています。
  こうした背景のもと、消費者団体の発展とネットワークづくりをめざして、7月27日に東京の主婦会館で、全国消費者団体連絡会 (全国消団連:全地婦連を含む、中央・地方の各消費者団体43団体で構成) と、内閣府国民生活局共催の「第2回消費者団体交流会」が開催されました。全国から約70人の消費者団体関係者が集いました。
  最初に全国消団連の開会あいさつ、内閣府国民生活局の主催者あいさつにつづき、内閣府消費者企画課・丸山達也課長補佐から消費者基本法のポイントの説明があり、国民生活センター総務企画部・増山勝彦企画調整課長からは、消費者基本法においてはじめてセンターの位置づけがなされたこと(第25条)、新しい展開として裁判外紛争解決機能(ADR)の強化、消費者団体・NPOなど関係団体との連携強化、情報収集の迅速化と情報提供などの充実があげられました。
  次に主婦連合会仙台支部・勝又三千子会長から、宮城県内の消費者団体による、仙台市消費生活条例改正に際しての学習・要請活動の成果(市長申し入れの仕組み・「被害救済部会」の設置など)の紹介がありました。
  また、消費者団体の役割発揮と財政強化をテーマに、NPO法人青森消費者協会(NPO法人化から、県の消費者センター事業受託までの経緯)、NPO法人コンシューマーズ京都(京都消団連のNPO法人化・組織運営)から、それぞれ組織改革や事業・財政的自立を目指した取り組みについて、力強い報告がありました。
  最後は分散会。5・6人のグループに分かれ、各団体が取り組むことをキーワードとしてまとめ、懇談しました。

消費者政策のさらなる充実が求められる
 
保護される消費者から権利主体としての消費者へと、自立した消費者像が私たち市民一人ひとりに求められ始めましたが、その権利が守られるためには、消費者行政の充実はもちろん、消費者教育の機会がきちんと与えられること、そして事業者に比べて情報などの面で格差のある消費者を、支援できる消費者団体の存在が不可欠です。
  欧州連合では「消費者政策5カ年戦略」を挙げ、その中で消費者・消費者団体の育成を目的として、消費者教育ツールの開発や消費者団体への財政支援、能力開発援助など(消費者団体のスタッフを対象とした特別訓練。組織運営・ロビー活動・消費者法体系ほか)を実施しています(日本生協連の報告)。
  消費者保護基本法の制定から36年たちますが、今、わたしたち日本の消費者自身のあり方、消費者団体の使命・活動のあり方、そして消費者問題に取り組む個人・団体を支援する社会システムのあり方そのものが、再び大きく問い直されているといえるでしょう。

消費者基本法のポイント
主な改正事項
(1) 基本理念の新設=安全の確保等を「消費者の権利」として尊重すること、消費者の自立の支援等を盛り込む 
(2) 事業者の責務等の拡充=事業者は情報提供や自主行動基準の作成等に努める、消費者は知識の修得等に努めること 
(3) 基本的施策の充実・強化=消費者契約の適正化、消費者教育の充実等 (4)消費者政策の推進体制の強化=消費者基本計画の策定、旧来の消費者保護会議を消費者政策会議として機能を強化